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水族館の“イルカショー”に動物愛護団体が危惧「生け捕りの時点で虐待は始まっている」

週刊女性PRIME / 2021年8月26日 5時0分

東さちこさんの団体職員が撮影した番組出演のトレーナーによるイルカ殴打シーン

 コロナによって息苦しい生活を強いられている昨今。生活様式は一変した。しかし、そんな人間たちの欲のために生活様式を一変させられるものたちがいる。それは生活様式などという生ぬるい表現からはみ出すほどの“変化”。

《何気ない日常の裏側で、日本を支える人たちがいる。私たちの知らないところで、どんな働きをしているのか?》(番組HPより引用)を伝える、武井壮がMCを務める番組『BACKSTAGE』(TBS系)。

 8月8日の放送では、『しながわ水族館』のイルカショーの舞台裏を取り上げた。2歳のイルカ『ミント』に演技を教え、ショーデビューまでの3か月に密着。

狭いプールが死の原因になることも

 しかし、内容や水族館の施設について、動物愛護団体からだけでなく、SNSなどで一般人からも批判が相次いだ。その理由は。

「日本で最も水深の浅い最悪の施設」

 番組を見てそう話すのは、動物愛護団体『PEACE』代表の東さちこさん。

鯨類を小さな水槽に閉じ込めて飼育すること自体、世界的に批判があるのに、まるでショーを宣伝するかのような内容で驚きました。深さ3・5メートル、面積約150平方メートルの“巨大プール”などと言っていましたが、こんなに浅いプールはほかではありえず、とても狭いプールです。

 イルカは100メートル以上深く潜ることができ、行動範囲は100平方キロメートル、 東京ドームの2000倍を超えます。とても本来の生態を発揮できる施設ではないことを、番組では視聴者にきちんと伝えるべきだと思いました」(東さん、以下同)

 水族館のイルカは野生を捕獲したものが多いという。

「海から捕獲され、水族館に入れられたイルカは、それだけで死ぬことがありますが、死因の1つに、壁への激突があります。まっすぐ泳げることはイルカにとってとても重要です。水族館でイルカを飼うこと自体、無理があるということをテレビ番組はもっと報じてほしいと思いました」

 問題はプールの大きさだけではない。

「ペンキははげ、サビも目立ち、老朽化が激しい施設で、廃止を考える時期であることは撮影スタッフも見てわかったはず。なぜこの水族館を取り上げたのか疑問です」

 飼育環境の問題もあるが、イルカを飼育すること自体、世界的に禁止が進んでいる。

「飼育基準を厳しくしたイギリスで'93年にイルカの飼育がなくなったことをはじめ、世界各国でイルカの展示が廃止になったり法的に禁止されたりしています。

 これは欧米諸国に限らない世界的な流れで、インドはイルカを“人格を有する存在”と定め、飼育を禁止しましたし、韓国でも、新規に水族館にイルカを入れることが法的にできなくなりました。野生から捕獲したイルカを消費し続けているのは、日本と中国です」

生け捕りした時点で虐待は始まる

 しながわ水族館のイルカショーは今年1月、存続について品川区議会でも議論がなされた。世界的に批判されていることから、「長期的に継続するものではない」としながらも、「イルカは品川区のイメージキャラクターとして浸透しているため、代わりになるものを考えるのは難しい」と現在も継続中だ。


 東さんが代表を務める団体の職員は、番組に登場したしながわ水族館のトレーナーの“調教”を目撃していた。

「イルカを叩いているのに気がついたので撮りました」と話す動画では、トレーナーはイルカの口先を叩き、言うことを聞かないイルカに対し、苛立ち、あきれているような表情だ。

「力いっぱい殴っているわけではないですが、トレーナーの苛立ちは伝わってきます。番組にあるような、子どもをあやすような調教ばかりではないということ。キラキラと表面的に都合よく伝えるのではなく、現実としてイラついたり、そのような場面、感情もあることを伝えるべきだったと思います。

 また番組では、ミントの母親である『バニラ』は“推定14歳”と伝えられましたが、この“推定”は、野生のイルカだったことを意味します。金属音の恐怖で捕獲し、死んだ魚を強制給餌で食べさせ、長距離輸送のストレスにさらす。そして芸をしこむ。野生由来のイルカにとって生け捕りにされた時点で虐待は始まっているといえます」(『PEACE』職員)

 MCの武井は番組でショーについて「イルカに無理をさせてない」と話した。

ショーでさせている動作自体が、野生では行わない不自然なものばかりで、まさに“無理をさせる”ものです。浅いプールで、体長2~3メートルにもなるハンドウイルカに高いジャンプをさせたり、速いスピードで泳がせたりすること自体、イルカに無理を強いています。イルカたちは、床や壁に体を激突させないよう、体をくねらせたり無理なターンを強いられたりしています」(前出・東さん)

 しながわ水族館に虐待や今回の番組の件、ショーの継続などについて問い合わせたが、「すべての質問にお答えできません」という返答。

芸をしないことが「間違い」

 同様の質問を、番組を制作したCBCテレビにも問い合わせた。

「'15年に、WAZA(世界動物園水族館協会)の決議を受け入れ、JAZA(日本動物園水族館協会)は“会員施設への追い込み漁からのイルカの導入を禁止”しています。しながわ水族館はJAZAの会員であり、WAZAの決議に則り、また法律や協会のルールを順守し、イルカを含む動物たちの飼育、施設の管理を適切に行っていると認識しています。

『BACKSTAGE』は、さまざまな現場で働く人々の仕事への思いを伝えることを番組のコンセプトにしています。今回は、そのコンセプトのもと、上記でお伝えしたことを踏まえて取材を行い、番組を構成いたしました。放送をご覧になった方のさまざまな声については、貴重なご意見として承りたいと考えます」

 飼育や施設の管理を“適切”に行っているのであれば、水族館側はこちらの質問に、誠実に答えられるはず。両者に“認識”のズレがあるのだろうか……。

 番組HPには今回の放送について以下の紹介文が載せられている。

《言葉がわからないイルカに「演技を覚えさせる」だけでなく「間違いを直す」方法とは?》

《集中力が続かないミント君。根気よく向き合い「間違い」を正す方法とは?》

 イルカのミントは番組中、芸をしない場面で多数“間違い”とナレーションが当てられた。人間のために海で暮らすはずが水槽に入れられ、望んでもいない芸をしないこと、覚えないことははたして“間違い”なのか……。

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