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地下アイドル・月乃のあさん自殺から1年、母が明かす「死の間際の炎上」と遺書の真意

週刊女性PRIME / 2021年9月30日 11時0分

月乃のあさん

 1年前の9月30日、地元・名古屋でアイドル活動をしていた月乃のあさん(享年18)が市内のビジネスホテルの屋上から飛び降り自殺した。インターネット上の誹謗中傷が一因だった。母親は、月乃さんが活動してきた証として、写真集を作成。今年9月20日には都内でお別れ会をした。

 月乃さんが《死にたい》とツイートしたのは自殺の3日前の27日。午前中、SNS「インスタグラム」で、ホテル屋上から動画を配信した。足をぶら下げ泣きながらこうつぶやいた。《(私が)死んだら悪い大人たちちょっとは反省してくれるかな?って思っちゃって》。これを視聴していたファンが場所を特定し、警察に通報。無事に保護された。母親(42)は言う。

「私は当時、脳梗塞で倒れ入院していたため、そばにいてやれませんでした。娘がこの動画を配信中に《死なないと約束できる?》とケータイからメッセージをしました。娘は《できるよ》と約束してくれました。配信後も《すぐ(屋上から)降りなさい》と送ると、《いま帰る》と返事がありました」しかしこの3日後、月乃さんは自殺してしまう。

死の間際の炎上

 死のうとしたのは、ネット上で非難されたからだ。きっかけは、5月から働いていたコンセプトカフェ内でのトラブルについてのツイートだった。

「娘は、カフェのオーナーとのトラブルをツイッターでつぶやいたんです。すると、信頼していた女性が娘に怒ってツイートをしたんです。女性の知人2人も加わりました。そのことが原因で匿名掲示板でも叩かれたんです」(母親、以下同)

 当時、月乃さんは、精神的に不安定だった。《死にたい》ツイートの2週間前の9月13日、過量服薬(OD)しながら動画配信もしていた。そのことがわかり、脳梗塞で入院していた母親の代わりに、オーナーが月乃さんの部屋に行った。このとき、トラブルが起こった。

「私は娘を信じていますが、『これは、信じる、信じないの問題ではなく、(対人トラブルを)ツイッターにあげてはダメ』と言いました。娘は『わかった』と言っていましたが、トラブルのもととなったツイートを消さなかったんです」

 こうしたことがあり、月乃さんはカフェを辞めた。

 一年前の9月27日の夜、月乃さんは友人4人と市内のカラオケボックスで一緒に死のうとした。しかし、このうちの1人が通報、警察に保護された。母親の入院先には精神科があるため、母親は病院で待ったが、月乃さんは姿を見せなかった。

「娘は『またアイドル活動を始めるから、入院するわけにはいかない』と言っていました。あのとき、強制的に入院させていれば、と思っています。ひと目会いたかった」

炎上のきっかけ

 このころ、ネット上での中傷は続いていた。「娘は匿名掲示板を自分でも読んでいたようです。つらかったと思います」

 前出の女性の知人も《死ぬ死ぬ詐欺をする元コンカフェキャスト》などとツイートした。それを見て、月乃さんは「なんでそんなこと言うの?生きていられない」と母親に電話で話していた。

「9月29日(自殺の前日)に娘はまたいなくなりました。電話やSMSはしていましたが、どこにいるかわかりませんでした。娘のファンの子と一緒に、飛び降りたホテルの部屋に泊まっていたようですが……」

 亡くなった30日朝、月乃さんは母親に《生きているよ》とSMSを送った。14時13分、《ママごめんなさい》との遺書めいたSMSを送信した。母親は警察に通報し、駆けつけた警察官は月乃さんの部屋に置かれた遺書を発見。その日の夕方、警察から「女の子2人が飛び降りた」との連絡があった。

アイドルとしての娘

「屋上に座っている2人を近くから見ていた人がいたそうで、すぐに自殺と判断されました。通夜には400人ほどに来ていただき、出棺のときは静かに見送ってもらいました」

 アイドルとしての月乃さんを、母親はどのように見ていたのだろうか。

「歌は苦手でしたが、ダンスは得意でした。ファンへの思い入れがあり、中途半端では終われないというのが本人にはありましたね」

 ただ、月乃さんは最初からアイドル活動に興味があったわけではない。

「もともとは引っ込み思案で、地元のアイドルと仲よくなり、手紙の交換をするようになったんです。悩みを打ち明け、慰められたりもしていました。交流が続いていたために『(そのアイドルの)グループに入りたい』と言うようになっていき、名古屋市内で歌う活動を始めました」

 中学のころに受けたいじめが原因で、高校は通信制に行きこのころから精神科に通った。1年生で中退。地元のアイドルをやめて、'18年に東京へ行き、講談社主催のアイドルオーディション「ミスiD」に出場した。結果、「死んだふりして生きているのはもう飽きた」賞をとった。また「ヲルタナティヴ」というアイドルグループに参加した。

「ファンは中学生から、“孫が好きで見ていた”というおじいさんまで幅広かったです」

「ツキノノア」母の活動

 母親が、月乃さんの自殺を公表したのは通夜の後。同時に、「ツキノノア」名義のアカウントを開設した。

 最近では、クラウドファンディングをし、写真集作成の資金にした。ネットなどで公表している写真のほか、子どものころの写真も加えた。

「金額に応じて、娘の私物も差し上げました。脳梗塞の後遺症があるため、私もいつどうなるかわかりません。そのため、大事にしてくれる人がいるなら渡したい」

 母親は現在、SNSを通じ、悩みがある人の相談に乗る。

「“今、ビルの上にいます”というものもあります。当初は、自分が体験していないのに、アドバイスができるのかと思っていましたが、今ではみんなの気持ちがわかる気がしています」

 なぜ相談に乗るのか。

「生きていてほしいんです。だって、残された人はつらすぎますから」

 一方、自殺のきっかけになった、ネットで中傷を書いたカフェ(前出)関係者3人とは話し合いをした。

「当時のことを考えると複雑な気持ちですが、ちゃんと向き合えてよかったです。憎み合うだけじゃなく、話し合うと通じることがあると思います。遺書には『AさんとBさんを憎み続ける』と書いてありました。私も《絶対に許さない》と思ったこともあります。でも娘もきっと、3人のことは許していると思います」(同)

 月乃さんの活動が記憶に残り続けてほしい。

 政府は刑法の「侮辱罪」を厳罰化する方針を固めた。プロレスラーの木村花さんが亡くなったことを受けたものだ。ネット上の誹謗中傷も減ることを期待したい。

《取材・文/渋井哲也》

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