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手作り模擬人工衛星「缶サット」世界へ挑戦 「桃太郎」から着想 法政二高物理部、全国大会で優勝

カナロコ by 神奈川新聞 / 2023年6月7日 11時0分

生徒たちが手作りした缶サット=川崎市中原区

 高校生が手作りした空き缶サイズの模擬人工衛星「缶サット」の技術や創造力を競う全国大会で、川崎市中原区の私立法政二高物理部が優勝した。上り詰めた頂からは、さらに道が続き、26日からスペイン・グラナダで行われる世界大会に挑む。同部は日本の昔話から着想を得て、缶サットに“キジ”を意味する「フェザント」の名を冠した。主要メンバーの生徒6人と部員全33人の思いや技術をつぎ込んだキジが日本から飛び立つ。世界の空を舞うか─。

 「本当にみんな頑張っていたからうれしさより、安心が勝った」。部長でプロジェクトリーダーも務める3年の谷口響さん(17)は、3月の全国大会を振り返る。缶サットを作動させる基板作りを任された3年の山岡優斗さん(18)は「メンバーはそれぞれ長所がある。全てが合わさったから勝てた」と語る。

 同部が優勝した「缶サット甲子園」は宇宙飛行士の山崎直子さんが会長を務める団体が主催する。制作目的や独創性、上空に飛ばして回収したデータを分析するといった達成度のほか、それらの内容を発表する事前事後のプレゼンテーションも含めて総合的に評価される。

 同部の缶サット「フェザント」(キジの意)は、着想は日本のおとぎ話の「桃太郎」から得た。同部では当初、「災害時の人命救助」で役立つ缶サットを目指していた。物語と照らし合わせれば、自然災害が鬼で、救助隊が桃太郎となり、空から情報収集する役割を担うキジがフェザントだ。

 「世界の舞台を見据えていた」と、“桃太郎”案を考えた2年の土門達洋さん(16)。世界で戦うならば「日本らしさ」を取り込みたかったという。

 高さ約12センチのフェザントは位置情報を取得し、内蔵するカメラで空中から地上を撮影できる。写真で被災者の発見やがれきなどの障害物を把握し、位置情報を自作アプリを用いて地図アプリに落とし込むことができるという。

 完成までの猶予は3カ月ほどだった。本体を3Dモデリングで設計し、制作した3年の塩津碧威さん(17)は「重力の影響でデータ通りにはいかなかった」と開発中の難しさを語る。それでも全国大会までに修正し、優勝にこぎ着けた。アプリを開発した3年の竹村颯太さん(17)は「役に立つと認められてうれしかった」と胸をなで下ろす。

 技術者の面々の想いと技術力を発表したのは、3年の林美聡さん(17)。「しっかり伝えないといけない」。プレッシャーは大きかったが、「みんなが円陣を組んでくれて、落ち着けた」とほほ笑む。林さんは世界大会で英語によるプレゼンに挑戦する。

 同部は世界大会に向け、スポンサーや寄付を受け付けている。問い合わせは同部顧問の上山勉教諭電話044(711)4327。

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