お笑いテレビ裏方稼業③ 「鮫」の生い立ちについては深くは知らない。

太田出版ケトルニュース / 2015年1月6日 0時13分

太田出版ケトルニュース

「鮫」の生い立ちについては深くは知らない。
ただ、ヤツが在日韓国人であることだけは知っていた。
出会いは最悪だった。

何の後ろ盾もなく 東京にのこのこやって来た俺(柳田)の食い扶持は、
エロ風俗店の広告をとることだった。難しい話ではなかった。
フーテン生活で…自暴自棄だった俺は、関西でも似たような仕事をしていた。
人脈は必要ない。“開き直れば…”誰でもできる。要は、度胸だ。

今の風俗事情はまったく知らないが、当時、東京狙い目は池袋西口、大塚のピンサロ。
五反田、目黒の雑居ビルに入り込んでいるソフトSMクラブ。
コレらを、片っ端から飛び込み 営業を行う。
何軒かまわるうちに…男性社員の三行求人広告ぐらいはもらえる。

もちろん「前金(先払いのこと)」だ。
ヤツらも百戦錬磨だ。
俺が、持ち逃げする人間か?否か?すぐわかる。
ヘタを打つこと。不義理をかますことは、死活に直結する。

求人広告は、一行 幾らの世界だ。
屋号、連絡先、伝えたいこと。最低でも、二行はかかる。
1回からでも受け付ける事は可能だが まずそんな店はどこにもない。

突発的な三行広告は、誰かへのスパイ行為と見なされ ひじょうに危ない。
一文字を倍の大きさにすれば 縦横2マスの合計4マス。
存在感も 一気に増す。『飲食』『急募』『募集』『給与』にはじまり
『接待』『接客』『個室』。『コンパニオン』『S即金・日払い可』と字数が増せば売り上げも自然とあがる。だが、油断は禁物だ。「鮫」は、その最たるヤツだった。

場所は、大阪なんば。昔、新歌舞伎座があった裏手通り。
関西でもっともカビ臭い「裏ビデ」「SM」「ゲー」の密集エリアだった。

“売り”と“買い”が密談される“男と男の社交場”。
いつもの約束時間。
夕方4時半きっちりにやって来るゲーボーイの店長が、その日に限って来ない。

携帯電話がまだ普及していない時代だ。
連絡しょうがない。
だが、鼻の奥を突き上げる悪臭に耐えられるリミットは5分だ。
「ホモ」や「オカマ」を毛嫌いしているのではない。
何をやっているか?わからない… 不道徳極まりない店の扉の向こう側には、
明日のダブロイド版に掲載される「死体」や「シャブ」や「注射器」があっても何ら不思議ではない。要は、身の潔白を証明するための行動であった。

「鮫」とは、この時代に出会った。
「鮫」の「オンナ」からの紹介だった。
「鮫」の「オンナ」は、「SM倶楽部」を手広く仕切っていた。
店は「M専(マゾ男専門のSM倶楽部)」。
「鮫」の「オンナ」は、裸一貫SM嬢から成りあがった経営者であった。
「鮫」は、明らかに自分より年増のオンナのヒモであり、極つぶしだった。
そんな、どうしょうもない男との会話のはじまりは…何処からとなく聞いた新商売の相談だった。 「ペットのブリーダー」「ダイヤルQ2」「性感・ニューハーフマッサージ」

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