F-35はブタ? “プロフェッショナル・ナード”丸屋九兵衛が戦闘機を語る

太田出版ケトルニュース / 2019年7月12日 12時47分

◆戦闘機の知識なんか何の役に立つ?戦闘機は人生そのもの

とはいえ、こうした戦闘機知識が盛っていることでどんなメリットがあるのか──そう考える方も多いだろう。ハッキリ言って雑学や文化に対して実用的な意味を求める事自体不毛だと思うのだが、丸屋はそんな不躾な疑問にもこう応える。

「私の場合は本業に役に立つ。たとえばマライア・キャリーの『I Still Believe』のMVに登場する戦闘機をみて『F-22ラプターだ』と気付いたのは、日本では私だけ。それと映画『インディペンデンス・デイ』でF-18ホーネットに乗っていた俳優・ラッパーのウィル・スミスは、『Just Crusin’』 という曲のMVではF-16ファイティング・ファルコンに乗っていました。ところが、このMVはコックピットに考証ミスがあるんです。F-16のコクピットはあんなに狭苦しくない!そんなことに気付くことができるのは私だけだと思いますよ!」

鳥類学者である松原にとって、戦闘機はもう少し本業と関わりが深い。松原が「とびのインメルマンターン(※半宙返り半ひねり)」「オオタカのシザース機動とプガチョフコブラ」など、鳥の動きを戦闘機のマニューバ(※航空機の機動、動き方)に例えつつ、「鳥は飛行機で、飛行機は鳥。戦闘機の知識は鳥の飛行制御の研究に役立つと言えなくもないですね」と語ると、会場は大いに納得した様子だった。

鳥と戦闘機の共通点について語る松原に対して、さらに丸屋は人間と戦闘機について語る。ここからが深い。いや深イイ。

「戦闘機の歴史を見ていると、世間が求めるものが常に変わっている事がわかるはずです。さっきまでオンリーワンだった条件も、あっというまに求められなくなる。たとえばついこの間まで重視されていた『ステルス性』ですが、最新の第六世代戦闘機では、むしろスピードの方が重視されるようになっています。そのあたりは人生と似てますよね。ですから周りの言うことなんて、必ずしも一生懸命聞かなくても良い」

◆日本が大量購入しようとしているF-35の良くないところ

話の合う友人とのトークとあって、いつも以上に興奮気味の丸屋だったが、締めはやや落ち着いたトーンに。安倍政権下で問題となっているF-35の大量購入問題を批判的に語るという展開になった。

丸屋はF-35をベトナム戦争に投入された戦闘機F-111Cになぞらえて語る。経済学のスペシャリストでもあったマクナマラ国防長官(※1961~1968年まで在任)は、軍事予算削減のために、それまでは空海軍が別々に開発していた戦闘機の共同開発を決定。その結果、生まれたのが「アードバーク(ツチブタ)」という鈍重な愛称を持つF-111である。しかし船頭多くして船山に登る。共用部品が増えたことで重量が増え、空母に積めなくなったために海軍での運用が中止される。実は日本が大量購入するF-35もまた、こうした共同開発により作られた戦闘機だ。

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