突然変異、多国籍化、衝撃展開… 『X-MEN』を長続きさせたアイデアの数々

太田出版ケトルニュース / 2019年8月3日 12時23分

『ケトル VOL.49』(X-MEN特集号 太田出版)

今年6月、『X-MEN』シリーズの最新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』が公開され、マーベル・コミックス史上最長の映画シリーズがついに終焉を迎えました。同作の原作者は、“マーベルコミックの神様”とも称されるスタン・リーですが、『X-MEN』が“ネタ切れ”しなかったのは、あるひらめきによるものでした。

当時、すでに自分なりの“ヒットの法則”を掴んでいたスタン・リーは、『スパイダーマン』『ハルク』『ソー』『アイアンマン』など、わずか1~2年の間に次々と人気キャラクターを量産。これらのヒーローが揃い、ついにマーベル・コミックス版の『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』といえる『アベンジャーズ』も創刊されました。そして、この『アベンジャーズ』が創刊された1963年9月には、もうひとつ画期的なコミックスが発表されています。それが『X-MEN』です。

「ただ力が強いだけのヒーローはもう使えない。ヒーローのパワーに新しい理由が必要だ」──スタン・リーは多くのヒット作を生み出す一方、スーパーパワーの由来を毎回イチから考える作業に限界を感じるようにもなっていました。

放射線を浴びたクモに噛まれたり、ガンマ線の爆発に巻き込まれたりする以外に何かいい方法はないか。スタンがたどり着いたのは、生まれながらに「X-遺伝子」によって超人的能力を持つ「ミュータント」というアイデア。突然変異ということにすれば、能力の由来を考えずに新しいキャラクターを次々と生み出すことができるからです。この当時としては斬新な設定が、『X-MEN』を何十年も続くシリーズにすることを可能にしたのでした。

◆実は連載開始後はなかなか人気が出なかった

互いにマイノリティでありながら、プロフェッサーXが率いる「X-MEN」とマグニートーの率いる「ブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツ」というミュータントのチーム同士が思想の違いから対立するという物語は、それまでのコミックスとは違った魅力を提示していました。善と悪の対決という定番の構図も大きく変更され、善いミュータントと悪いミュータントがいるわけではなく、本当の悪は人の偏見そのものに起因しているというメッセージを打ち出していきます。

しかし、そのコンセプトが新しすぎたのか、『X-MEN』は一部のマニアから作品性を高く評価されたものの、他のタイトルと比較すると、なかなかヒットを飛ばすことができず、苦戦を強いられることになります。

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