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綾瀬女子高生コンクリート殺人の主犯格・湊伸治被告が傷害罪での第六回公判で見せた“反省”と“被害妄想”

TABLO / 2019年8月23日 15時54分

綾瀬女子高生コンクリート殺人、あまりの残虐さに今もなお語り継がれる凶悪事件です。その主犯格の1人、当時少年で今は46歳になる湊伸治が再び事件を起こし裁判を受けています。

事件の内容は二人組の男性とケンカになった湊が、ポケットに入れていた警棒で被害者を殴りナイフで首筋を切りつけたというもので傷害罪での起訴がされています。

この事件の第六回公判を傍聴してきました。ここでは弁護人、検察官による本人質問が行われました。

関連記事:異様な裁判 綾瀬女子高生コンクリ殺人事件の主犯格の一人が法廷で見せた悪態 「でっちあげ」発言も | TABLO

「警棒を振り回して相手に当たったのは事実だが軽く当たっただけ。ナイフは寸止めしたので当たってない」と、湊は起訴事実を否認しています。

しかし、被害者の首筋には刃物で傷つけられた傷痕も残っています。また、事件後逮捕されるまでの間に犯行に使われたナイフを水で洗いタオルで拭くという、証拠隠滅にも取れる行動を彼が取っていたことも明らかになっています。

否認こそしていますが、「人にナイフを向けておいてやったやってない、というのもおかしい。ナイフなんて向けて、悪いに決まってる。その行為がいけないのはわかってる。ケガをさせてないからいいとは言ってない」と、反省している態度も示しています。

2対1という状況、湊自身も「殺されるかもしれない」と思ったほどの暴行を受けケガをしていること、被害者がナイフで受けたとされる傷は一針縫う程度のもので「脅すつもりでナイフは出した」という湊の供述通り殺意が認められるようなものではないことなど、彼にとっては有利な状況もあります。

罪を認めてさえいれば、裁判もすぐに終わったはずですしそう重たい判決は出なかったはずです。しかし彼は頑なに罪状を否認し続けました。

以前の公判でも同じ主張をしていましたが、今回も彼は検察官や警察官が証拠を捏造していると主張していました。

「被害者の首の傷の位置がおかしいですよ。自分がナイフを出したところと違う。検察官が証拠として提出した被害者の傷痕の写真は画像が加工されたものだと思ってる。CGで編集なんかも今はできるじゃないですか。この事件は捏造されたものだと思ってます」

やってもないことで起訴されている、そう話す彼を傍聴席で見ている限り、ウソをついて刑を逃れようとしているようには見えませんでした。本当に、そう心の底から信じているようにしか見えませんでした。

参考記事:綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件現場を発生直後から何度も歩いて… |八木澤高明 | TABLO

彼の話からは被害者意識、もっと言ってしまえば被害妄想のようなものを強く感じました。

「今回の事件について、警察がマスコミにリークしてるんですよ。週刊ポストは被害者の話だけ聞いてそれを精査もせずに取り上げますし…。私は過去に大きな事件をおこしてるから、私の方に話を聞きにこないんだから。被害者とされる側の意見だけを聞いて世の中に流して警察もその流れで捜査してる」

何故彼は、警察や検察が証拠を捏造してまで彼を罪に陥れようとしていると思っているのでしょうか。その点について弁護人から聞かれた際の供述は、どうにも理解しがたい、支離滅裂としか言い様のないものでした。

「世の中の国際金融資本家、CIA、資本家、内閣情報捜査室も関係してんのかな、他にも諜報機関やネオコン、そういう悪い資本が金融もマスコミも司法も牛耳ってるんですよ。そういうのをトランプはぶっ壊すって言ってたじゃないですか。そんなの知らない人が多いと思うけど、日本のマスコミだって国連に抑圧されてるんですから。世界は変わりはじめてるんですよ。そういう陰謀とか、はっきりとした証拠はないですよ。ないですけど、でもネットで一部状況証拠は出てきてますから。権力を持った人たちが何をしてるのか、っていうことです」

このような、質問の答えにもなっていない話を数分間に渡って話し続けていました。結果はどうだったのかはわかりませんが、彼は逮捕後に弁護人の勧めで精神鑑定を受けています。

過去に大きな事件を起こし、そして今再び人を傷つける事件を起こした彼を人はどう思うのでしょうか。いつまでも刑務所に入れておけばいい、と言う人もいると思います。もっと極端に、死刑にするべきだと言う人もいるかもしれません。

以前、別の裁判で服役経験もあるのに再び罪をおかした被告人がこんなことを言っていました。

「刑務所はただただ辛いばかりで、自分のした罪と向き合うような環境ではありませんでした。出所してからも社会が辛すぎてやっぱり自分の罪と向かいあうことはできませんでした」

世間を騒がせるような罪を犯した人間に厳罰を求めることは簡単です。求めた通りに重たい刑罰が課せられればそれで満足感は得られるかもしれません。しかし、罰を受け終わった後もその人の人生は続きます。

彼は裁判の終盤、吐き捨てるようにこんなことを言っていました。

「いろんな記事なんかで、更正の余地がないとか人のことを一方的に書いて…。会ったことも話したこともねえのに、どうやって今まで過ごしてきたかも知らねえのに、なんでそんなの勝手に書いてんだバカらしい」

更正、とは何なのでしょうか。

過去に重大な犯罪を犯し、再び罪を犯した湊伸治は、「更正の余地がない」人間なのでしょうか。

彼の実名は以前からネット上であげられていました。社会復帰後の彼がどのような目で見られ、どのような扱いを受け、どのように生きてきたのか、それは誰も知りません。

ただ、法廷で聞いた彼の言葉は「更正の余地がない」人間のそれではなく、更正の余地を壊され奪われてしまった嘆きの声にも聞こえました。(取材・文◎鈴木孔明)

あわせて読む:「少年法とは何か」を考えさせられた『綾瀬女子高生コンクリート殺人事件』の犯人を追跡|久田将義 | TABLO

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