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米軍が劣化ウラン弾を撃った!? 尖閣諸島「放射能汚染説」に迫る

TABLO / 2014年7月28日 17時10分

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「米軍が劣化ウラン弾を撃ったって話がある。あそこは米軍の射爆撃場だからね。いまも放射能まみれだという噂だよ」

 そう話してくれたのは、尖閣諸島の地主一族である故・栗原弘行氏である。栗原弘行さんは2014年5月23日午前6時25分に永眠された。

 90年代に地権者一族代表として尖閣諸島に足繁く出かけていた氏は、島のことを熟知していたようだが、確固としたデータは見当たらない。その時の私は単なる噂話として、半分に聞き流していたのだが、今年になって、大学で環境学を教えている知人から「尖閣で著しく放射能に汚染されている島がある」と聞かされて以来、「本当かも......」と思いはじめるようになった。

 久場島は尖閣諸島を構成する島の一つで、集落のあった主島の魚釣島からは北東に約30キロの海上に位置し、諸島の中では最北端にある。島の面積は魚釣島についで広く、0.91平方キロあり、最高峰は千歳山と同じく標高117mと、およそ400メートル近くの峰が聳え立つ魚釣島に比べてなだらかだ。かつて島の南西部には鰹節工場や、アホウ鳥の羽の加工場があったが、戦時中から無人島となっている。戦後は在日米軍の射爆撃場として設定され、1978年6月までは爆撃の的として利用された。

 ちなみにこの島だけは、国有化されていない。米軍用地として防衛省が借り上げ、米軍に貸与する一方で、代金として年に数百万円(推定600~2000万円)ほど日本政府は、地権者一家に払い続けている。

 ところで、劣化ウラン弾とは、劣化ウランを主原料とする合金を使用した弾丸のことだ。この金属は鉄の2.5倍、鉛の1.7倍と比重が大きいため、同じ速さで撃ったとき、より大きな威力をもたらす。そのため、主に対戦車用の砲弾・弾頭として重宝されてきた。反面、人体に悪影響を及ぼす毒性の重金属として嫌われていることも否めない。

 1960年代後半、劣化ウラン弾の発射演習がアメリカ本土で開始されている。だとすると、アメリカ本土同様、米軍が久場島をターゲットにした演習を実施してきたとしてもおかしくはない。ウランは、45億年という半減期を伴う放射性物質だ。だから一度打ち込まれると、完全に除染しない限り半永久的にその影響はつきまとう。

 湾岸戦争後のイラクでもガンに侵され、多くの奇形児が生まれたのもそのせいだった。久場島に劣化ウラン弾が撃ち込まれたとすれば、現在も放射能に汚染されているに違いない。

 2012年8月に尖閣諸島の魚釣島沖に船で行った私は、島の沖合約300メートル地点で計測してみたところ、0.0μシーベルトと皆無であった。久場島までは漁船で1時間かかるとのことで、時間的に訪れることができなかったのだが、将来的に島の近くを訪れる機会があれば、ぜひ計測してみたいが、そんな機会が訪れるとは思えない。

 沖縄の最南端にある群青色した水面に聳え立つ離島。尖閣諸島のことを思い出す度に氏が語ってくれたことを思い返すことだろう。ご冥福をお祈り申し上げます。

http://n-knuckles.com/discover/img/senkaku.jpg

[西牟田靖・著「誰も国境を知らない」より引用]

Written by 西牟田靖

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