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幻冬舎が闇商売を開始か? 選考委員のぶみ氏の「子育て絵本大賞」に応募した名も無い作家にかかってきた電話

TABLO / 2019年11月1日 9時0分

画像は『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』より

全国900万ののぶみファンの皆様、こんにちは。涙してますか?

のぶみさんといえば日本が誇る超一流の絵本作家として有名ですよね。このTABLOではなにやら嫌味ばかり言われているようですが、作品は誰が見ても素晴らしいですし、元ワルの魅力もありますしね。僕ものぶみさんが大好きです。

それで普段からのぶみさんウォッチングを欠かさないわけですが、今年の春にこんな募集を見つけました。

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幻冬舎ルネッサンス新社

第1回 子育て絵本大賞

大賞作品は賞金100万円+書籍化!

選考委員長 のぶみ氏
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主催はカリスマ見城徹さん率いる天下の幻冬舎グループ! 記念すべき第1回! そんでもって小窓には不敵に笑うのぶみさんの写真! 絵が描けなくても原作だけでも可! 「のぶみ賞」に選ばれればなんとのぶみさん作画による絵本が書籍化(賞金&印税ナシ)!

これは応募せねば!

というわけで僕も書いてみたんですよ。絵本の原作を。

一応は出版業界の端くれにいるんでこういうのは得意なんですが、笑いあり涙ありどこかで見たようなそれっぽいストーリーをチャチャッと書いて、サクッと応募したわけです。

フォームにいろいろ記入して、はい送信。

参考記事:起業後最大の危機か 幻冬舎・見城徹氏の発言に日本を代表する作家たちが反論 謝罪するも論点ずらしと指摘 | TABLO

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原稿のご応募 ありがとうございます

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以下のとおり応募を受付けました。

担当者が確認後、追ってご連絡します。

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折り返しメールで確認してみると今年の5月のことですね。「追ってご連絡」がいつになるのかと首を長くして待つこと数ヶ月……正直この時点ではもう「絵本大賞」のことは忘れていたんです。まあ連絡ないし落ちたわな、と。

動きがあったのは10月下旬。見知らぬ番号から着信がありました。サギの勧誘を避けるためいつものようにまずは一旦スルーして、番号をググってみると「株式会社幻冬舎ルネッサンス新社」。

天下の幻冬舎様がなぜ底辺の僕に……? って、絵本! 絵本の幻冬舎さんじゃあないですか! これは受賞の連絡に違いない!

はやる気持ちを抑えつつ折り返し。編集部のAさんは若っぽい男性の声です。

「どうもはじめまして、幻冬舎のAです。もうずいぶんお時間が経ってしまったんですが、絵本大賞のことは覚えていらっしゃいますか?」

時間かけて書いた作品を応募して覚えてないバカはいません。

「はいもちろん。覚えていますよ」

胸のドキドキが悟られないよう、できる限り冷静な声音で答えます。

「ではもう結果はご覧になられました?」

「えっ、結果? 見てないですけど……。あーもう発表されてたんですね。うわー、やっぱり落選ですか。ショック!」

結果は7月下旬に発表されていました。「追ってご連絡」で知らされるのかと思っていたのに。ショックです。普通に。

「そうなんです。でもですね、これは選考過程の話ですが、山本さんの作品は編集部で非常に評価が高かったんですよ。応募していただいた作品、覚えていますか?」

「はいもちろん。覚えていますよ」

時間かけて書いて応募した作品を覚えてないバカはいません。

「この作品のね、山本さんのものの見方といいますか、視点といいますか。面白いなと」

「はあ」

「弊社としてはこの厳しい出版不況のなかにあって、あたらしい出版の形も考えていかなければならないと。そこで名前が上がったのが山本さんなんですね。今回の選考では残念ながら入賞しなかったですけれども、もう一度考えてみたいとの声が編集部内で上がったと。こういったことはなかなかないですよ。異例のことです」

「あっ…(察し)」

関連記事:元関東連合・石元太一氏が答える 絵本作家のぶみさんが総長だった『池袋連合』について|久田将義 | TABLO

「そこで山本さんに一度お会いしてね、いろいろお話させていただきたいんですが、それでまあ単刀直入に言いますとこれ、出版のオファーです。うちで出版しませんかと」

Aさんも僕も話が早いです。

「あー、それ自費出版ってことですよね」

ここでAさん、突如キレ気味になります。

「自費? 自費とおっしゃいますけども、今はもう、出版される本はほとんど、ぜんぶ自費ですよ。西野さんだってそうですし

西野さんてあの西野さんのことでしょうか? 一応は出版業界の端くれにいるんですが、書籍のほとんどが自費出版とは知りませんでした。

「出版費用はもちろんお支払いいただきますが、それによってこの作品の著作権をあなたのものにすることができるんですよ!」

えっ! お金を払えば自分が書いた作品の著作権が自分のものになる! すごい! ちなみに「絵本大賞」の応募要項には、このように書かれています。

――――――――――――――――――

作品の権利

応募者が作品に関する諸権利を有する、自作未発表の作品に限ります。

大賞作品の出版権および二次利用権は、株式会社幻冬舎ルネッサンス新社に帰属するものとします。

書籍化等発表の際には、作品を編集させていただくことがあります。

――――――――――――――――――

Aさんが言いたかったのは「出版権および二次利用権」のことかと思いますけども、そもそも「大賞作品」に関してのことでは? 僕の作品は落ちましたよ?

そして著作権と出版権は完全に別物です。僕はあの作品の著作権を放棄していません。

「自費出版といったって幻冬舎の名前で出すわけですから、こういったお話をさせていただく方は厳選しています。下手な作品を世に出したら、弊社の作家さん……東野さんやホリエモンさん、そして西野さんの名前にも傷がつきますし

(なんでこの人タレントの名前しか出さないんだろう……って東野って芸人の? それとも東野圭吾? この並びで?)

「山本さんの作品、なかなかよく書けていますよ。いくつか新作を書いてもらって、短編集のような形でまとめるといいかもしれませんね」

なんかやたら褒めちぎりますが、ここまでAさんは僕の作品のタイトルを一度も口にしていません。内容についての具体的な感想、指摘もありません。こいつ、読んでねえな?

おすすめ記事:【絵本作家のぶみさんへ】『あたしおかあさんだから』のアンサーソング『あたしおかあさんの娘だから』を作ってみた|文◎なるみや | TABLO

「こういった作品を書かれたことはこれまで何度かあるんですか?」

「いやまあなんというか仕事関係というか」

「お仕事でというと? ライターかなにか?」

「え、いや違いますけど…」

「ふーん。というと?」

ぐいぐい来ますね……。僕は死んでも自費出版するつもりはないので、できる限り個人情報を開示したくないのです。

「え、いやまあ。あのー、そういうことをいま話さなきゃいけないんですか?」

「というと? なにか言いたくないことでも?」

「うーん、まあいいじゃないですか。なんか、すごいですね」

「というと?」

「さすが幻冬舎さんだなって。幻冬舎の編集者さんってこういう感じなんだなって思いました」

やたら上からな態度にもういいやという気持ちになって、ここらで切り上げます。

「あのー、僕、自費出版には興味ないですから、大丈夫ですよ」

「そうですか。頑張ってください」

受賞・書籍化なんて夢みたいな話ですが、なにかに期待した自分がいたのも確かです。結果、傷つきました。だってAさん、あんなに短い絵本原作すら読まず、ただただ自費出版を勧めてくるだけなんですもん。

自費出版についての賛否はここで論じませんが、しかし、今回の件はやや強引すぎるのではと感じます。

とくに「西野さん」の名前を連呼していましたが、ご存知のように彼はクラウドファンディングを利用するなど自費出版としては異例中の異例のケースです。有名人でなければ通用しない荒技です。「西野さん」の名前を使って素人の作家志望に自費出版を促すのはおかしい。

また、著作権はすべての作家にとってもっとも大事な権利です。応募要項に記載がなければ、応募作品の著作権は作者に帰属するはずです。当たり前です。「お金を払えば自分のものになる」との説明は、うっかりや言い間違えでは済まされないのです。

そういえば2014年にはユニクロがオリジナルTシャツ作成サービス「UTme!」で、ユーザーがデザインした著作物の「全ての権利を無償で譲渡する」と規定し炎上したことがありましたよね。著作権って、それくらい大事なものなんです。

幻冬舎のAさん、のぶみさんや西野さんの名を汚さないためにももうちょっと勉強して、誠意ある勧誘を心がけたらいかがでしょうか?(文◎山本山尾)

※タイトル画像は『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』より

あわせて読む:ここ3年で休刊した雑誌46誌を羅列 職を無くした編集者・ライターは今どうしているの? | TABLO

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