違法薬物事件は本当に「被害者のいない犯罪」なのか? 法廷で自分の子どもに厳しい言葉を投げかけた母親の声

TABLO / 2019年11月20日 7時19分

冷静に考えて欲しい(写真はイメージです)

都内でバーを経営していた高部大地(仮名、裁判当時35歳)の覚醒剤使用のきっかけは「ネットの掲示板で知り合った人」との出会いでした。その人物に何度も覚醒剤を使うよう勧められましたが「幼い頃からダメだと教えられてきた」彼はそのたびに断っていました。しかし何度も誘われるうちに好奇心が芽生えてきてしまいました。

「一度くらいなら…」

はじめは軽い気持ちでした。

「私くらいの年代は小学校の頃からクスリはダメだと教育されてきました。まさか自分が使うようになるとは思ってませんでした。クスリを使う人に対して『どうしてやるんだろう』『どうしてやめられないんだろう』と思ってました」

クスリについて以前はこのように考えていたという彼はたった一度の使用を機に覚醒剤にのめり込みました。

「メディアで逮捕される人を見て何でやるのか不思議でした。自分で使ってみて快感を感じて『こういうことか』と理解しました」

「クスリを使ったセックスは性感が高まります。またやりたい、と思ってるのは間違いありません」

彼が初めて覚醒剤を使用してから逮捕されるまでの期間は約1年です。たった1年で覚醒剤は1人の人間の価値観や人生を大きく変えてしまいました。

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逮捕後、勾留された彼は面会に来た母親に保釈請求をしてくれるように懇願しました。

逮捕されたことで経営していたバーはしばらく休むことになり、その後スタッフが営業を再開してくれたものの売上があまりかんばしくないと聞かされたからです。

「早く店に出て働きたい」

そう言い募る息子の願いを母親は拒絶しました。結果、逮捕から裁判までの2ヶ月あまりの間、彼はずっと勾留されたままでした。証人として出廷した母親はその理由を次のように話しました

「面会した時に『すぐ出て働きたい』と言う被告人を見て『この状況についてなにか思い違いをしてるんじゃないか』と思いました。クスリを抜くため、というのもありますが、1日でも長く勾留された方が被告人のためになると思いました」

時折涙声になりながらもまっすぐ裁判官を見据え、自分の息子を名前でなく「被告人」と呼んだ母親の言葉を被告人席で彼はどのように聞いていたのでしょうか。

弁護人から、

「息子さんに対して今何を言いたいですか」

と差し向けられると、彼女は少し間を置いてから語り始めました。

「被告人は面会の時『自分もそれなりに充実して楽しんでいたんだから』と言ってました。人生は楽しければ充実している、それは子どもの考えです。人生は、オモチャじゃない。大人は苦しい中で、それでも生きて充実や幸せを見つけます。そうやって生きていく。ストレス解消で覚醒剤に手を出した、とも言っていました。ストレスは解消すればいいってものではないです。ストレスと向き合って、原因を考えて、乗り越える強さを持ってほしい」

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覚醒剤をはじめ、違法薬物の事件は非常に再犯率が高いです。この母子が今後その壁を乗り越えられるかどうかはわかりません。

「もう違法薬物には手を出しません」

そう法廷で誓った彼の言葉が現実になるかどうか、それはまだ誰にもわかりません。

また違法薬物事件は「被害者のいない犯罪」と言われることもあります。これは明確に間違いです。被害者は薬物に人生を支配されてしまった使用者自身です。

最近、著名人の違法薬物事件が立て続けに報道されました。彼らも被害者だ、とも言えますが、自分が逮捕されることで世間にどれだけの影響を与えるか自覚しながら違法薬物を止めようともせず使用し続けていたならば単純にそう言いきることはできません。自分の影響で誰かが違法薬物に手を染めてしまったら…その想像力が欠如していたなら彼らは「加害者」です。

彼らの一刻も早い社会復帰を望んではいますが、自らの加害性を理解していないならもう二度と表舞台に姿を見せるべきではないと思います。

1つだけ彼らにかけたい言葉があります。

人生は、オモチャじゃない。

(取材・文◎鈴木孔明)

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