【神戸女児遺棄】容疑者が閲覧していた「児童ポルノ」の定義を考察

TABLO / 2014年10月28日 12時0分

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 神戸で起きた小1女児殺害事件の容疑者が、女児を自宅に連れ込んだとされる時刻の直前まで、自宅パソコンで "児童ポルノサイト" を閲覧していた事が発覚したという。死体遺棄容疑での逮捕から黙秘を続けていた容疑者だが、事件への関与を認める供述をし始めているようだ。

 さて、今回のテーマはこの容疑者が真犯人か否かではない。文中に登場する "児童ポルノサイト" についてである。

 私はこのニュースを読んで "児童ポルノサイト" がいかなるものか頭に浮かばなかったのだが、いったい容疑者が見ていたサイトとはどのような内容なのだろう?

 というのも、現在は児ポ法をはじめとする "子供を守る法律" が厳しくなり、また摘発も相次いだ事から、一時期に比べると未成年者のヌード・セックスを載せるサイトは殆ど見かけなくなった。これが数年前であれば "援交" などで検索すればいくらでも裏ビデオ系のサイトが引っ掛かったのだが、ある時期を境に大小様々なエロサイトから一斉に未成年コンテンツが削除されたため、今ではロリ・ペドが喜ぶような内容の三次元エロコンテンツは、ほぼ根絶やしにされたも同然の状況にある。

 そんな今現在、この容疑者が見ていたとされる "児童ポルノサイト" とは、何が掲載されていたサイトなのだろう? 児童が性的虐待を受けている映像や画像が見られるサイトなど、あったとしても摘発の難しい国外のアングラサイトくらいしか思い浮かばないのだが、今回のニュースからはそうした "具体的な光景" がまったく伝わってこない。

 私が今回の報道で感じたのは、対象となる "児童ポルノサイト" とやらの詳細を伏せる事で、意図的に児童ポルノという単語を誤用したのではないかという疑念だ。こうやってわざと誤用を続け、なし崩し的に "児童ポルノの定義" を広げようという思惑があるのではないかと勘ぐってしまう。

 これは警察の発表の仕方にも問題はあるが、さらに重罪なのは裏取りもせず、細かい点を確認もせず、安易に "児童ポルノサイト" などと乱暴な単語だけを書いて終わりにしてしまうマスメディアだ。児ポ改正案の際にあれほど「何をもって児童ポルノとするか?」が取り沙汰されたのにもかかわらずである。

 このようないい加減な報道が続くと、何か性犯罪が起き、犯人の私物(PCや携帯など)の履歴にエロサイトが残っていたら、「とりあえず "児童ポルノサイト" と呼んでしまえ」といった危険な流れになってしまう。

 この記事で取り上げたように、名のあるメディアであっても、法で許されているAVを児童ポルノと呼んでいる実例まであるのだから、こんないい加減な用法を認めてしまっては、近い将来 「ところで児童ポルノってそもそも何だったっけ?」 という話にもなろう。そうなると辛い目に遭うのは守る対象だったはずの子供達だ。

 これは風が吹けば桶屋が的な極論ではなく、"児童ポルノ" が何を指す単語なのか解らなくなってしまったら、"児童ポルノの被害" から子供を守る方法があやふやになって当然だ。

 例えば「街で暴漢に殴られる被害から身を守りたい」と考えたとする。この場合、少なくとも相手の手が届かないポジションに位置していれば痛い思いをする事はない。またそういう荒っぽい人間が集まるような場所には近付かないといった防衛策もあろう。 これらは「相手が自分に殴り掛かって来る」というアクシデントが具体的に思い描けるから、それに対する防衛策が具体的に講じられるのだ。

 ところが「痛いの嫌だ」のように、具体性がなく、どこからどこまでを指す言葉なのか解らないようだと、可能性が多すぎて何をどうすれば身を守れるのか考える事が出来ない。それが "児童ポルノ" という単語の乱用・誤用が招く最大のデメリットなのだ。

 児童ポルノが何なのか解らないのに「児童ポルノ問題に対する対策を練りましょう」だなんて、もはやコントとしか言い様がないではないか。それでは肝心の子供を守る事が難しくなるから「きっちりと言葉の定義付けからやってくれ」「ゾーニングしてくれ」というのが、児童ポルノ改正案などに反対している人々の声である。「児童ポルノではなく "児童性虐待記録物" に名称変更して欲しい」といった訴えもこれに含まれよう。脱法ハーブを危険ドラッグに変更できたなら、児童ポルノだってより適切な文言に変更したっていいではないか。何故それをしたがらないのか?

 さて、今回の容疑者が見ていた児ポサイトとやらに話を戻すが、今やGoogleなどの検索エンジンは、児童の性虐待に関する検索結果を弾くようにしている。一昔前はそれらしい単語を突っ込めば子供のヌードが見放題だったが、今やそうした画像や動画は検索結果に表示され難い。

 宇宙のように広大・膨大なネット空間であるから、中にはそれでも引っ掛かってしまうページや画像もあろうが、それを加味しても「普通にネットを徘徊しているだけでは行き着けない」とだけは言えるだろう。

 では、何度も同じ事を繰り返すが、今回の容疑者が見ていたとされる "児童ポルノサイト" とは、いったいどのようなサイトだったのだろうか? エロマンガやエロアニメが載っているとか、合法な通販サイト(当然扱う商品も合法)だったとか、そのような酷いオチが付いてしまう気がしてならない。

 自分と相反する立場の人間に対して "売国奴" や "チョウセンジン" や "レイシスト" といったレッテル貼りをして攻撃する光景をよく見掛けるが、今や "児童ポルノ" もそうしたレッテルに加わろうとしているようだ。

 このままでは "児童ポルノ" という単語の大安売りと空洞化が始まり、守るべき子供が被害を受けても地下に潜ってしまって助けられないといった世の中になってしまいそうな気がしてならない。

Written by 荒井禎雄

Photo by DeveionPhotography

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