松本ハウス、統合失調症を乗り越えた10年|プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.73

東京ブレイキングニュース / 2014年12月9日 16時0分

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Photo by 統合失調症がやってきた

「テレビ史上初!? となる、統合失調症×ダウン症のハートフルコメディー」

「これまでにない、笑って泣ける障害者ドラマ」

 と、NHKが説明していたドラマが遂に先週の5日に放送された。

 ドラマのタイトルは「悪夢」。障害者のための情報番組『バリバラ』(NHK・Eテレ)の特集企画である。

《統合失調症の真(ハウス加賀谷)は、シロイヒトの幻覚に襲われ、働くことができない上、ひたすら病気を隠しているため友達も作れない。ある時、真は障害者だらけのラウンジ「悪夢」を訪れる。そこには、全盲、ろう、脳性まひ、難病など、さまざまな障害者が集い、飲み、歌い、踊り、みんな楽しんでいる。自分の障害を隠そうとする真は、最初はなじめないでいるが、次第に、その世界に魅了されていく。》(番組HPより)

 主演は、自身も統合失調症の経歴を持つお笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷。私はこの世界に入った時に、まず松本ハウスを最初に間近で体験する幸運を得た。そして驚いた。とにかく天才コンビなんです。圧倒的なんです、舞台も日常も。

 ハウス加賀谷さんは普段から話してる内容のレベルが高すぎた。中学生の時に読んでた本の話になったとき「アメリカの戦略防衛構想についての本」とか言っていた。こちらは口あんぐり。超ボンボンで東大進学を目指していた加賀谷さんは勉強しすぎて「頭がクラッシュしちゃった」と当時から言っていた。

 司令塔・松本キックさんは四六時中ネタのことを考えていた。舞台上だけでなく、何か興味があることが起きれば現場に駆け付けてネタにしてしまう。そのフットワークの軽さには影響を受けました。

 そんな松本ハウスが人気絶頂の頃です。

《一九九九年、十二月末。松本ハウス結成から八年。ハウス加賀谷は、突如としてテレビの世界から姿を消した。》

 昨年夏の発売から、現在もまだ売れている松本ハウスの著作『統合失調症がやってきた』(イースト・ブレス)の冒頭文だ。

 加賀谷さんの闘病生活が始まる。一方、松本キックさんは「ひとり」になったあと、私たち若手の指導や役者としての活動も始めた。

「10年かかってもいい、またやりたくなったら言ってこいよと加賀谷には言っていた。そうしたらホントに10年後に戻ってきた(笑)」と最近キックさんは言っている。

『統合失調症がやってきた』を読んだ医療関係者からは、10年間の「松本キックさんの加賀谷さんへの距離感」を絶賛する声が多い。加賀谷さんを慌てさせないよう優しく気づかっていたのだ。それは私もキックさんの近くにいて実感していた。加賀谷さんが戻ってこない可能性のほうが高かったはずだ。「たまたま」10年後にコンビは復活したが、こんなに未来がわからない10年を、人は穏やかに冷静に過ごせるものだろうか? と。加賀谷さんや後輩のために、こんなに時間を使ってくれるものだろうか? とそのデカさに驚いた。

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