福島県の梅毒患者が増加中 東京、大阪という大都市圏に次いで第3位という現実を考える
TABLO / 2018年6月13日 11時55分
あまり話題に上らないが、日本では性感染症(STD)への罹患率がじんわりと増えている。そんな状況と関係があるのか、福島県の梅毒患者が増加中という話題が、6月1日に一部ネットニュースで流れた。
実はこのニュース、2月には地元紙・福島民友が取り上げており、記事によれば2016年の福島県内の梅毒患者数は人口10万人あたり3.63人で、これは東京、大阪という大都市圏に次いで第3位という由々しき状態なのだ。しかも、10代後半から20代の女性の罹患率が増えており、記事中では医師が、母体内での胎児梅毒感染を懸念している。
その後のネット記事では、福島県民のSNS利用率の高さを引き合いに、マッチングアプリの影響では?という分析もしていたが、あくまでもひとつの想定に過ぎず、そんな単純ものではない気もする。
では、なにが原因かと言えば、やはり若年層のSTDに対する知識の絶望的欠如と、(それを生む)日本の保守的な性教育の影響が強いのではないかと思ってしまう。
歌舞伎町でSTD患者に数多く接する医師を取材すると、やはり若い女性の罹患率は高く、しかも驚くほどSTDへの知識がないという話を聞かせてくれた。それも、いわゆる「らしい」仕事に従事する女性よりも、フツーの女性のほうが圧倒的に知識も警戒心も足りないというのだ。これは自らの立場によるものもあろう。風俗産業に従事する者はどうしてもSTDのリスクを考えなくてはならず、そのために出来得る限りの対策をとっている。
いずれにしても若い女性の罹患率が高いということは、福島の医師が胎児梅毒感染を懸念しているように、喫緊の課題と言える。実際、歌舞伎町の医師も、淋病などによる不妊症の可能性を示唆していた。なんでも、女性は男性と違って淋病の症状が緩慢なことが多く、激しい痛みで来院したときには重い症状になっていることが多いという。これが、不妊症の遠因に繋がることもあるそうだ。
さて、問題は若年層でSTDが増えているという事実である。梅毒や淋病だけではなく、先進国で唯一HIV感染が増加しているということも、そろそろ深刻に考えるときに来ているもではないか。
だがしかし......こんな状況下でも、「性道徳をキチンと教えれば(ようするに若年層はセックスをするなということ)、STDは防げる」という保守的な意見が幅をきかせている。目の前が暗くなるような話だが、目に迫った危機はただ遠ざかってはくれない。せめて、最低限の知識をつけて自己防衛することは必要だ。(取材・文◎鈴木光司)
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