アダルトグッズ進化論:業界の売れ筋二大商品の変遷【取材協力:卸大手エーワン】
TABLO / 2013年10月19日 0時0分
アダルトグッズの進化が止まらない。技術革新もさることながら、カップルで使うものから個人向けへ時代に合わせて用途も中身も変わり、デザイン面でも様変わりしている。また、世界の流行とも無縁なところで独自の市場と商品構成を築いてきた。オタクカルチャーとともに海外からも注目される日本独特の「大人のクール・トイ」の現場を数回に渡ってリポートしたい。
かつて、アダルトグッズの販売ルートは国道沿いの粗末なプレハブでできた無人店舗の自動販売機か、町はずれの怪しげな店舗に限られていた。その頃の商品構成は当時の名称「電動こけし」と、ダッコちゃん人形のような薄気味の悪い、口をぽっかりと開けた肌色ビニール製のダッチワイフが二大人気商品だった。当時のアダルトグッズは一般的に「大人のおもちゃ」と呼ばれ、持っているだけで変態扱いされる禁断のアイテムだったのだ。
そんな日陰の存在だった業界に転機が訪れたのは1993年頃だったという。大手フランチャイズチェーンの全国展開により、ビデオ安売り店が乱立して一気に販路が拡大した。さらにそれから10年後のITバブル真只中の2003年頃から、インターネット通販(EC)が大きなシェアを広げていくことになる。
「インターネット上での通販が一般化していくと、同時に購入したユーザーが商品レビューを書いて、アップロードするようになりました。このユーザーレビューが商品の売り上げに大きく影響するようになり、製造メーカーや店舗側も無視できないようになったんです。このことが業界全体の意識が変わる、きっかけになりました」
そう語るのは、アダルトグッズ卸問屋で業界最大手エーワンの横田さん。それまで日陰の存在だった「大人のおもちゃ」は、同じように購入したユーザーも日陰から出てくることはなかった。彼らは商品に不満や文句があろうとも声高に叫ぶこともできず、アダルトグッズメーカーは「ユーザビリティ」を考える必要も、危機感もなかったのだ。
だが、インターネット上に販路が広がると、すぐに前時代的な「大人のおもちゃ」は淘汰される状況が訪れた。使用者によるリアルな体験談、いわゆるAMAZONや楽天をはじめとしたECの販売促進には欠かせない「ユーザーレビュー」があらゆるコミュニティや掲示板で書き込まれるようになり、アダルトグッズ業界にも意識改革と進化を一気に加速させたという。
まず大きな変化が訪れたのは、商品の形状、デザインだった。たとえばバイブの場合はその違いが顕著だ。「電動こけし」時代のやけにリアルで不気味な形状はすっかり鳴りを潜め、いまでは女子高生が愛用するスマホの「デコケース」と見間違うようなデザインとカラーリングが中心になっている。かつての二大人気商品だった、もうひとつの売れ筋「ダッチワイフ」も驚くほど現代的に進化しているのがわかる。
「とくにダッチワイフといわれるジャンルの商品はここ2~3年で『空気嫁』という言葉も生まれるなど、よりオタク化が進んでいるように思います」(前出のアダルトグッズ卸の最大手エーワンの横田さん)
あの、口をぽっかり開けたダッコちゃん人形のような、数十年前の肌色ダッチワイフのイメージは現在のアダルトグッズ業界にはない。前出の業界最大手の卸エーワンで扱うなかで、近年最大のヒット商品になったのが、透明な本体が目新しい「ラブボディ」だという。
http://n-knuckles.com/culture/img/e-wann.jpg「空気嫁という名前の通り、『ラブボディ』には特別な愛着を感じているユーザーが多いようです。自分で衣装を着せ替えたりして、ダッチワイフというよりはフィギア人形に近い感覚で、カスタイマイズして楽しむといった面もあるようです」(前出のアダルトグッズ卸の最大手エーワンの横田さん)
かつては所有しているのがバレたら親戚縁者から絶縁されてもおかしくなかったダッチワイフだが、最近ではイラストレーターのリリー・フランキーが「笑っていいとも!」(フジテレビ系)に出演した際、愛用のダッチワイフを持参して、「彼女」だと言い張れる時代になっている。お昼の国民的番組にダッチワイフが出演するなんて、十年前の誰が予想できただろう。
販路、流通チャネルがECによって拡大し、ユーザビリティを絶えず意識して進化したアダルトグッズ業界。現在、そのクオリティは「趣味=ホビー」のアイテムだと認められるレベルにまで達している。
<次回:アダルトグッズ進化論『アキバカルチャーとの接近』に続く>
Written by 北里雅俊
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