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800万円超&全長5mなのになぜ若いファミリーに人気? ボルボのフラッグシップSUV「XC90」の個性とは

くるまのニュース / 2020年4月9日 11時50分

日本だけでなく世界中で右肩上がりに成長しているブランドがボルボだ。「XC90」は、全長5m近い大型フラッグシップSUVなのに、日本での購買層はボルボ・ラインナップのなかでもとくに若いファミリー層に人気だという。新たに登場した特別仕様車、XC90 D5 AWD R-Designに試乗して、その理由を考えた。

■ライバルひしめくEセグメントSUVのなかで独特な立ち位置のXC90

 通常の5倍から6倍といわれる約1兆3000億円(当時)という開発費をかけ、第二世代の「XC90」をつくり、日本に登場させたのは2016年だった。

 XC90に採用したSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)と呼ぶ新しいプラットフォームは、ドライバーの足元から前軸までの距離はフィックスされるが、ホイールベースやオーバーハングなどは車種に応じて自由に変更できるものだ。

 単に応用範囲が広いというだけでなく、ものすごくしっかりしたプラットフォームができあがったので、重量級のXC90でもハンドリング性能と快適性を両立できるものになった。

 その後は2017年に「V90」「V90クロスカントリー」「XC60」が、2018年には「XC40」「V60」が、2019年も「V60クロスカントリー」「S60」と、新しい考え方でできあがったボルボモデルが続々と登場した。

 新世代ボルボの出来の良さは誰が乗ってもすぐにわかる。だから実際の販売台数にも反映された。

 グローバルでは約50万台(2015年)だったものが約70万台(2019年)になり、日本市場でも1万3493台(2015年)から1万8564台(2019年)と、これまでにない飛躍的な伸びを示した。

 プラットフォームからくる正確なハンドリングや安定性、乗り心地と静粛性などの快適性といった走りの良さだけでなく、エクステリアやインテリアも母国スウェーデンのスカンジナビアンテイストを感じさせるデザインや材質にこだわってつくり上げられたところも、多くのユーザーの共感を得たのだろう。

 こうして軌道に乗ったボルボのプロダクトは2周目に入った。つまりXC90のマイナーチェンジの時期になったのだ。

 XC90は、Eセグメントに属する大型のSUVである。直接的なライバルはアウディ「Q7」「Q8」、メルセデス・ベンツ「GLE」、BMW「X5」「X6」ポルシェ「カイエン」、ランドローバー「レンジローバー・ヴェラール」などで、販売台数の上でも良い争いをしている。

 ドイツ4ブランドとイギリス1ブランドのなかにあって、XC90は性能的にも引けをとっていないし、とくにインテリアは華美でなく清楚ななかにもラグジュアリーを感じさせて個性を発揮している。

 昨年の日本でのデータを見ると、もっと多いのはレクサス「RX」で9561台。このEセグメントのSUVクラスでは断トツの地位にある。これは販売店とセールスマンの数の違いだから超えるのは難しい。輸入車ではメルセデス・ベンツ「Gクラス」が3340台。XC90を含め、他のモデルはだいたい1000台前後の販売実績となる。

 それでもライバルが多いということは、それぞれが切磋琢磨するから良いものが揃う。XC90も昔からのボルボの徹底的な安全性に対する取り組みなども含めて、気に入るとボルボワールドから抜けられなくなるだろう。

■XC90にはじめて設定された特別仕様車「R-Dezign」に乗る

 ボルボ・カー・ジャパンの広報担当者にXC90の購買層を聞いたら、ボルボのラインナップのなかでもとくに若い人が多いという。これは驚きだった。

 ボルボで一番大きなクラスだし、ラグジュアリーなつくりだから価格も安くはない。少なくとも車両本体価格が800万円以上になるわけだから、それなりの出費になる。

XC90は2020年モデルでCity Safetyにステアリングサポート(衝突回避支援機能)やオートブレーキ機能付きCTA、タイヤ空気圧モニタリンスシステムなどが追加装備されているXC90は2020年モデルでCity Safetyにステアリングサポート(衝突回避支援機能)やオートブレーキ機能付きCTA、タイヤ空気圧モニタリンスシステムなどが追加装備されている

 これはボルボが展開する「スマボ」というサブスクリプションも、後押ししているのかもしれない。いずれにしてもXC90には若い人たちが憧れを持つ要素があるのだろう。

 確かに、子供がいる若い夫婦が乗るのには最適だろうと思うところはたくさんある。

 今回の試乗車であるXC90 D5 AWD R-Design(Rデザイン)は、3列シートが標準で7人乗りになるから、いざとなれば祖父母だって一緒に乗ることもできる。

 2列目にはチャイルドシートが最初から組み込まれていて(インテグレーテッドチャイルドシート)、子供もスマートに乗ることができる。親子だけで移動するときには、3列目を収納した広いラゲッジスペースに、たくさんの荷物を楽に積むことだってできる。

これがXC90に標準装備される「インテグレーテッドチャイルドシート」。後席中央部のシートクッションを引き上げるだけでチャイルドシートになるこれがXC90に標準装備される「インテグレーテッドチャイルドシート」。後席中央部のシートクッションを引き上げるだけでチャイルドシートになる

 試乗したD5は2リッターディーゼルエンジンで、最大トルクが480Nmも出るから長距離ドライブも余裕を持って楽に走れる。

 さらにディーゼルだから燃費がよくて、高速道路なら満タンで1000km以上走れるし、燃料は軽油だから日本ではレギュラーガソリンよりも安いというメリットもある。

 それでいてRデザインだから、かなりスポーティな走りが可能だ。スポーティといってもハンドル応答性のゲインが高いわけではない。舵角に比例した反応で、切った分だけ応答し、コーナーでさらに切り込めばそれもちゃんと追従してくれるから安心だ。

 アクセルの反応も同様で、480Nm出るからといってもアクセルペダルに比例した動きで、ビギナードライバーだとしても扱いやすい。大きなボディでも余裕のトルクで重さを感じずに走ることができる。

 この乗り心地の良さはしっかりしたプラットフォームがベースにあるが、オプションのエアサスペンションとFour-C(アクティブダンパー)との組み合わせによって、さらにハンドリング性能と快適性を上げている。

 車高も変えることができ、通常のコンフォートからEco(-10mm。100km/h以上は-20mm)、Dynamic(-20mm)、Off road(+40mm)、エントリーアシスト(-40mm)、荷積みモード(-50mm)と細かく調整してくれる。

 ディーゼルエンジンとR-Designという組み合わせがどこまで成立するのかと興味があったが、低速トルクの図太さと軽快なハンドリングによって気持ちよく走れることがわかった。ディーゼルの燃料噴射の圧力が高いせいか、アイドリング時の音はちょっと大きめだ。ただしアイドリングストップもついているので、エンジンが暖まれば気になることもない。

 2020年モデルで追加装備になったものがいくつかあるが、タイヤ空気圧モニタリングシステムは日常の安全にも直結する装備でとてもありがたい。

 久しぶりにXC90に乗ったが、マイナーチェンジを受けたXC90はよりしっとりした乗り味になって、ますます魅力的になっていた。

ボルボ「XC90 D5 AWD R-DESIGN」の走り。試乗車はオプションのエアサスを装着、状況に応じて車高を調整するボルボ「XC90 D5 AWD R-DESIGN」の走り。試乗車はオプションのエアサスを装着、状況に応じて車高を調整する

VOLVO XC90 AWD R-DESIGN
・車両価格:959万円
・試乗車オプション込み価格:1072万円
・全長:4950mm
・全幅:1960mm
・全高:1760mm(エアサスペンション装着)
・ホイールベース:2985mm
・車両重量:2110kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・最高出力:235ps/4000rpm
・最大トルク:480Nm/1750−2250rpm
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:275/35R22
・WLTC燃費:13.6km/L

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