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ライバルのAMGやMとは違う価値 プラグインHVのボルボ「S60ポールスター」が持つ二面性

くるまのニュース / 2020年5月3日 19時10分

2019年に限定30台で日本に上陸したボルボ「S60 T8ポールスター・エンジニアード」は初日に完売。2020年にも日本で発売される予定だ。メルセデス・AMG C43 4MATICやBMW M340i xDriveのライバルになり得るS60ポールスターは、0-100km/h加速で4.3秒というパフォーマンスと、プラグインハイブリッドでEV走行距離42kmという環境性能をあわせ持っている。そんなプレミアムモデルに大雨のなか試乗した。

■フロントをエンジンで、リアをモーターで駆動するAWD

 2019年11月に、30台限定で発売されたボルボ「S60 T8 Polestar Engineered(S60 T8ポールスター・エンジニアード)」は、発売初日に完売してしまうほどの人気ぶりだった。

「ポールスター」とは、2015年まではボルボを通じてレース活動をおこなっていたスポーツブランドだ。のちにボルボ社内に吸収され、いまでは市販高性能モデルの開発に携わるなど、メルセデス・ベンツにおける「AMG」やBMWにおける「M」と同様の立場にあると考えていい。

 2016年、ボルボは「2025年までにPHEVやEVなどの電動化車両を100万台販売すること」や、「2019年以降は全モデルを電動化していく」という計画を発表。これに合わせる形で、ポールスターはハイパフォーマンスだけでなく、電動化モデルに特化したブランドへと舵を切ることになり、2017年にファーストモデルとなる「ポールスター1」を公開。

 ポールスターはこうして、ボルボの電動化プログラムと同時にプレミアムブランドとして歩み始め、S60をベースにした初めてのハイパフォーマンスモデル「S60 T8 ポールスター・エンジニアード」を投入した。これまでのレース経験で培ってきた技術と、先進電動化技術の融合によって生まれたモデルだけに、人気が集まるのも無理もないだろう。

 その実力を確認してみると、ポテンシャルの高さにはあらためて納得させられた。

 ベースとなった「S60 T6ツインエンジン」は、フロントにスーパーチャ-ジャーとターボチャージャーの2つの過給器を組み合わせた2リッター直列4気筒エンジンを搭載しているが、これにポールスターのソフトウエア技術を投入し、T6ツインエンジンの253psからT8ポールスターは333psと80psもパワーアップ。リアには87psを引き出すモーターを組みあわせて、システム合計では420psという大出力を得ている。

ポールスターとブレンボが共同開発した371mm・6ピストンのフロントブレーキを採用。キャリパーは前後ともゴールド色になるポールスターとブレンボが共同開発した371mm・6ピストンのフロントブレーキを採用。キャリパーは前後ともゴールド色になる

 駆動方式はAWDながら、フロントはエンジン駆動、リアはモーター駆動という、それぞれ異なる動力源を用いているうえ、フロントとリアが機械的に結ばれていないことから、高い駆動力と同時に優れた操縦性を両立できることが最大の持ち味といえるだろう

 また、リアモーターの電力源はPHEVシステムによる充電機能を持ち、モーターだけでの走行も可能のため、走りの良さだけでなく排出ガスゼロの環境性能の両立を実現している。

■環境性能にも寄り添う高性能プレミアムモデル

 試乗日はあいにくの悪天候となってしまったものの、このAWDシステムを試すにはうってつけの条件となった。

ボルボ「S60 T8ポールスターエンジニアード」の走行シーンボルボ「S60 T8ポールスターエンジニアード」の走行シーン

 川のように深い水で覆われている峠道を走行しているにもかかわらず、リアはどっしりと安定感があり姿勢が乱れることがない。視界の悪いなかでもステアリング操作に不安を覚えず、旋回初期の動きはじつに安定している。

 フロントの重さが感じにくいことと、低重心化によってボディが安定していることに加え、リアからのモーターアシストが常に滑りを抑制して一定速度をキープ。姿勢を崩すことなくコーナーを次々と通過していく。

 もっとも、サスペンションにもポールスターの技術が生かされていることも大きい。

 ショックアブソーバーにはオーリンズ製の22段調整式が採用され、試乗車はフロント12、リア15にアジャストされていた。これは標準のレベル10よりも柔らかい側に調整されていて、リアのスムーズな路面追従性を支え、フロントのしなやかな動きを生み出していた。

 ブレーキはサーキットでも通用するブレンボ製の対向ピストンタイプながら、効きはじめのコントロール幅があり、豪雨という悪条件でも尖った印象は受けなかった。

 モーターをベースとしたフルタイムAWDシステムと強化されたエンジンとブレーキ、そしてサスペンションだが、S60 T8ポールスターは決してサーキット専用ではなく、ストリートからワインディングまで広くカバーしてくれる奥の深さが持ち味だ。

 ハイパフォーマンスモデルといってもAMGやMモデルなどとは異なり、環境性能に寄り添う新しい方向性のプレミアムモデル、といった趣が印象的だった。

 さらなる走りを期待して、走行モードを「ポールスターエンジニアード」に変更してペースアップをしてみたが、正面の液晶パネルがECOモードからタコメーター表示に変わり、エンジンの力強さは太いエキゾーストサウンドとともに増し、加速度をアップ。変速モードも変更されてエンジンパワーがフルに引き出されていた。

 このモードだと、フロントがグイグイ引っ張っていく感じが強くなり、FFベースのAWDシステムであることが理解できるが、モーターのアシストは加減速時に効果的に働き、アクセルのオン/オフにもしっかりと対応。フラットな姿勢を保ちながら、ステアリング操作に対してオン・ザ・レール感覚で走ることができた。

 まさにプレミアム電動化モデルの名に恥じない、速さと安定性というメリハリのある走りが楽しめ、次世代を牽引していくパフォーマンスを実感した。

 2019年に限定30台で登場したときには初日に完売したということを冒頭に書いたが、時期は未定だが2020年中にはこのS60 T8ポールスターが日本で販売される予定となっている。

 2019年に開催された東京モーターショーのボルボブースでも展示されていたが、今後さらにワゴンモデルの「V60」、そしてSUVの「XC60」にもT8ポールスターが設定され、日本に導入する計画だという。ポールスターの動向にはこれからも大いに注目していただきたい。

ボルボ「S60 T8ポールスターエンジニアード」。30台限定の2020年モデルは初日に完売した。今年も限定で上陸する予定だボルボ「S60 T8ポールスターエンジニアード」。30台限定の2020年モデルは初日に完売した。今年も限定で上陸する予定だ

●VOLVO S60 Polestar Emgineered
・車両価格:919万円
・全長:4760mm
・全幅:1850mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:2030kg
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ+スーパーチャージャー
・排気量:1968cc
・エンジン最高出力:333ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:430Nm/4500rpm
・モーター:交流動機電動機
・フロントモーター最高出力:46ps/2500rpm
・フロントモーター最大トルク:160Nm/0-2500rpm
・リアモーター最高出力:87ps/7000rpm
・リアモーター最大トルク:240Nm/0-3000rpm
・システム参考出力:420ps
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/インテグラル
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:245/35R20(オプションサイズ)
・WLTC燃費:13.2km/L
・EV走行距離(プラグインレンジ):42km

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