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新型コロナ対策の消毒液、代用の洗剤はなぜ「花王製」ばかり? 正しい使用方法とは

くるまのニュース / 2020年4月29日 9時30分

新型コロナウイルスの影響で消毒用アルコールが全国各地で入手困難となるなか、代用品となりうる家庭用洗剤や消臭剤のリストが北里研究所から発表されました。発表されたリストの製品を見ると、なんと花王の製品ばかりが並ぶ結果となったのですが、いったいなぜなのでしょうか。

■家庭用洗剤は消毒剤の代わりになる? 研究結果を公表

 新型コロナウイルスの感染予防のため、消毒用アルコールが全国各地で入手困難となっています。アルコールの代わりに、ドラッグストアやスーパーなどで販売されている家庭用の洗剤や消臭剤で、コロナウイルスの消毒(=ウイルスの不活化)はできないのでしょうか。

 これについて、学校法人北里研究所の研究結果が公開されたのですが、いったいどの製品に効果があったのでしょうか。

 コロナウイルスを消毒(=不活化、以下同様)できる家庭用洗剤などに関する製品評価は、北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学I研究室が「新型コロナウイルス株:2019-nCoV JPN/TY/WK-521(国立感染症研究所)」を用いておこないました。

 その結果、接触時間1分で「不活化効果あり」という結果が出た市販の洗剤や消臭剤は以下となります(製品名は五十音順)。

「かんたんマイペット(原液)」「クイックルワイパー 立体吸着ウエットシート 香りが残らないタイプ(絞り液)」「クイックルワイパー 立体吸着ウエットシートストロング(絞り液)」「クイックル Joan シート(絞り液)」「クイックル Joan 除菌スプレー(原液)」「食卓クイックルスプレー(原液)」「セイフキープ(絞り液)」「トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ミントの香り(原液)」「ハンドスキッシュ EX(原液)」「ビオレガード薬用泡ハンドソープ(原液)」「ビオレu薬用泡ハンドソープ(3倍希釈)」「ビオレガード薬用手指用消毒スプレー(原液)」「ビオレガード薬用ジェルハンドソープ(3倍希釈)」「ビオレu手指の消毒液(原液)」「リセッシュ除菌 EX プロテクトガード(原液)」

 なお、これらの製品は「手指の洗浄や硬質表面の洗浄」を想定した実験がおこなわれており、いずれも1分間の接触で不活化が認められています。

 クルマの消毒においては、ダッシュボードやステアリング、ドアハンドル、スイッチ類などの樹脂部分に使用できるでしょう。なお、使用の場合は直接スプレーするのではなく、布などに吹きかけてから内装を拭いてください。

 また、シートや内張などのファブリック部分、フロアマット、シートベルト(ウェビング部分)などにはリセッシュ除菌EXプロテクトガードが向いています。

 さらに、同研究では洗濯用洗剤についても実験がおこなわれており、「接触時間10分」で不活化が認められた製品として、「アタック高浸透リセットパワー(3.5g/L)」「アタック ZERO(3000倍希釈液)」「ワイドハイターEX パワー液体(100倍希釈液)」「ワイドハイターEX パワー粉末(5.0g/L)」などがあるという実験結果を公開しています(多くが洗濯時に使用する製品のため、洗い時間10分を想定してのテストだと思われます)。

 チャイルドシートのカバーやシートの布製カバー、毛布など車内で使う布製品は上記の洗濯用洗剤を使って洗濯をすれば消毒効果もあり安心です。

 また、10分接触させた場合でも、コロナウイルスの不活化がみられなかった商品としては、「アタック 抗菌 EX スーパークリアジェル(1200倍希釈液)」があげられています。

 この他、エタノール(アルコール)に関しても、10%、30%、50%、70%と各濃度別に試験をおこなった結果が公表されています(濃度は水道水で調整)。

●接触時間:1分
・不活効果あり:50%、70%、90%エタノール
・不活化効果なし:10%、30%エタノール

●接触時間:10分
・不活化効果あり:50%、70%、90%エタノール
・不活化効果なし:10%、30%エタノール

 2020年3月23日に厚労省が発表した事務連絡資料においては、「(新型コロナウイルスの消毒用として使う場合)エタノール濃度は原則70%から83%の範囲内であること」とされていましたが、今回の研究によって1分間の接触時間であれば50%の濃度でも不活化されることがわかりました。エタノールが品不足の中、朗報といえるでしょう。

 なお、エタノールの濃度は高ければ高いほど良いというわけではなく、正しい消毒効果を得るには83%以下に薄めて使用することが推奨されています。濃度が高いと揮発してなくなってしまうまでの時間が短く、その分、消毒効果が弱まるためです。

■公表された製品はなぜ花王ばかり?

 気づいた人も多いかもしれませんが、冒頭で紹介した製品は、じつはすべて花王の製品です。界面活性剤やアルコールを使用した洗剤や消臭剤は他社からも出ているのに、なぜ花王だけなのでしょうか。

 ここで北里研究所からのリリースを読み直してみると、本研究にて評価した製品の選定について、以下のように書いてありました。

除菌効果がある製品と発表された花王製品(一部)除菌効果がある製品と発表された花王製品(一部)

「市場に流通している医薬部外品・雑貨のうち、主にエタノール、界面活性剤成分を含有し、新型コロナウイルスの消毒効果が期待できる市販製品を対象」

「本研究結果の公開に異議を唱えないことを前提として国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品を使用した」

 つまり「本研究結果の公開に異議を唱えない」ということは、すなわちコロナウイルスへの消毒(不活化)効果が実証されない結果が出ても、商品名を公開することを意味します。

 また、「国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品を使用」ということは、北里研究所から花王以外にも複数の企業にサンプルの提供を要請したけども、花王以外からは同意が得られずサンプルの提供もなかったと考えられるのです(サンプルの提供がないからといって、その製品にコロナウイルスへの消毒効果がないというわけではありませんが)。

 ちなみに、クルマでの使用における注意点としては、塗装面には使わないことと、本革部分(ステアリング、シート、シフトノブなど)には使わないことの2点です。

 本革シートを清潔に保ちたい場合は、必ずクルマ専用の本革クリーナーを使いましょう。

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