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環境性能だけじゃない! サーキットでレースも可能な実力を持つEVの魅力とは

くるまのニュース / 2020年5月12日 15時10分

世界的な新型コロナウイルス感染拡大による景気の悪化で、原油先物取引価格が史上初めてマイナスになるなど、電気自動車(EV)にとっては逆風が吹いている。だが、EVへのシフトは止まらず、欧州メーカーを中心にこの先も続々とニューモデルが日本にやってくる。そんなEVの魅力とはなにか。いま、日本で乗ることができる5モデルのEVの特徴を紹介しよう。

■0回転から最大トルクを発揮できるモーターの特性も魅力のひとつ

 いま新型コロナウイルス禍で、世界各国で外出や移動の自粛を要請されている。

 こうした移動制限がされている影響もあって経済が冷え込み、そのために原油の需要が落ち込み、そしてガソリン価格が下落している。こうなるとCO2の発生も減少しているだろうということから、電気自動車(EV)への注目度も下がってくる。

 しかしEVの特徴は、なにも走行中のCO2排出ゼロという環境性能の良さだけではない。発進から力強い加速ができること、走行中の静粛性、災害時には給電が可能、税金・車検整備などの費用が桁違いに安いなど、EVの魅力は衰えてはいない。

 電気モーターの特性で、ほぼゼロ回転から最大トルクを発揮することが可能だから、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間からタイムラグなく発進することができる。

 しかも、遠くでインバータとモーターの音が聞こえる程度の無音で怒涛の加速をしていくさまは、エンジン車では味わえない。EVは単なるエコカーではなく、新世代のスポーツカーとしても認められる時代になってきた。

 そこで、いま日本で乗ることができる国産/海外メーカーのEVの魅力をあらためて見ていこう。

●テスラ「モデルX」

 テスラが作るモデルは、すべてエンジンを搭載しないピュアEVだ。

 最初はロータスのボディを使ったコンバージョンだったが、「モデルS」「モデルX」「モデル3」と、矢継ぎ早にオリジナルボディのEVを増やした。既存の概念にとらわれずに、新しいものに挑戦する姿勢が買われて、世界中でユーザーを増やしている。

 モデルXは、キーを持った人がドアに近づくと自動的にドアが開いて迎え入れてくれる。「ファルコンウイングドア」と呼ばれるユニークに開閉するリアドアも、後席に乗る人のためにはアミューズメントだ。

 車両重量が2.5トンとヘビー級のモデルにもかかわらずシステム最高出力・最大トルクは470ps・830Nmを誇り、駆動方式はAWD。0-100km/h加速はなんと2.8秒。信号待ちからの発進でアクセルオンすると、ヘッドレストに頭をぶつけるほどの連続した加速が可能なのだ。

●ジャガー「Iペイス」

ジャガー「Iペイス」ジャガー「Iペイス」

 ジャガー初のEVが、「I(アイ)ペイス」だ。ジャガーはEV専用のプラットフォームとボディを作ったというから、付け焼き刃でEVを作ったのではないことがうかがえる。

 床下にバッテリーを搭載し、前後にモーターを備えるAWDモデルとし、SUVボディで快適に移動できる空間を作り出している。

 システム最高出力・最大トルクは400ps・696Nm。最高速度は200km/h、0-100km/h加速は4.8秒というパフォーマンスを誇る。

 スポーティな走行ができそうだと踏んで、JEVRA(日本電気自動車レース協会)主催のEVレースにこのIペイスで参戦したことがある。

 クルマはカタログ仕様のままの完全フルノーマル状態で、しかもタイヤも純正装着のSUV用タイヤのままだったが、EVレース用に改造したコンバートEVやサーキット用のタイヤを履いたリーフ、それに4台のテスラもいる中で、そのレースで総合2位に入ることができた。

 Iペイスは、単なる電動SUVではない。ジャガーらしいスポーティさを持っているEVであることを証明してくれた。

■2020年も続々とやってくる予定の欧州メーカーEV

●メルセデス・ベンツ「EQC」

メルセデス・ベンツ「EQC」メルセデス・ベンツ「EQC」

 メルセデス・ベンツの「EQC」ほど、EVだということを意識させないモデルも珍しい。

 ドアを開けて乗り込み、シートポジションを合わせて、シートベルトをして、ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押し、ハンドルの右側にあるATのセレクターレバーを下げてDレンジに入れ、ブレーキを放してアクセルペダルを踏めば走れる。

 つまりEQCは、メルセデス・ベンツのエンジン車と何ら変わるところはなく、まったく違和感なくメルセデス流の運転の仕方で走れるのだ。給油はせずに自宅で充電ということくらいしか、日常の使い勝手での違いはない。

 最高出力は408ps、最大トルクは765Nm。駆動方式は4マティック(4WD)になる。他メーカーのEVのように「異次元の加速感」といったものではなく、あくまでも紳士的だ。エンジン搭載モデルとは違うのは、走行中に風切音と、遠くにタイヤノイズくらいか聞こえてこない静かさだ。

●BMW「i3」

BMW「i3」BMW「i3」

 EVはバッテリーが重いのが難点だが、その分ボディを軽くしてパフォーマンスを上げようと考えてつくられたのがBMWの「i3」だ。

 タイヤはブリヂストンの「オロジック」という幅狭大径(155/70R19サイズ!)のタイヤを履き、空気抵抗と転がり抵抗を減らしている。

 フレームはアルミ合金で作り、骨格はCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)で軽量・高剛性のボディを作り、外板はポリプロピレンで仕上げてある。

 なお、i3を生産する工場の電力も3本の風力発電で賄っていて、徹底的にCO2削減に取り組んでいる。

 i3の特徴は、BMWらしく後輪駆動でスタートダッシュが良いことだ。i3でもEVレースに出場したが、予選が中位で決勝に挑んでも、一斉にスタートすると1コーナーまでに2~3番手にジャンプアップできた。発進時に後輪に荷重移動するがそこで駆動しているメリットがEVでも感じられる。

 モーター出力・トルクは170ps・250Nm。発電用エンジンを搭載するレンジエクステンダーモデルもある。

●日産「リーフ」

日産「リーフe+」日産「リーフe+」

 2代目になり、さまざまな進化を遂げている日産リーフは、災害時の給電車としても活躍している。2019年の台風で停電が長引いた地域にリーフが出かけていき、バッテリーの電気で助けた実績もある。

 個人病院などでは、停電でPCが使えなくなると患者さんのカルテも見られなくなり、診察ができないと困るというケースにも対応できるため、セカンドカーにリーフ、という選択肢も広がっているという。

 スポーティな仕上げのNISMOやAUTECバージョンのリーフもあるし、バッテリー容量も標準の40kWhと62kWhもチョイスできる。一般的な家庭の1カ月の電力量は400kWhほどだというだから、一軒の数日分の電気がまかなえる。

 モーター出力は、150ps・320Nm(40kWhバッテリー搭載車)と218ps・340Nm(62kWhバッテリー搭載車)の2つがある。初代が登場したのが2010年だから、すでに発売から10年が経つ歴史あるモデルとなっているため、リーフでEVレースに出場している選手も多い。

※ ※ ※

 2020年はフォルクスワーゲンの新型「e-ゴルフ」、ポルシェ「タイカン」、アウディ「e-tron」など、VWグループのEVがこれから続々と日本に上陸しそうだ。VWグループはディーゼル問題から一転、一気にEVへと舵を切ったからだ。

 このなかで乗りたいのは、やはりタイカンだ。ポルシェらしくスポーツカーに仕上げているはずで、そのパフォーマンスはサーキットでも発揮されることを期待したい。

JEVRA(日本電気自動車レース協会)主催のEVレースの様子JEVRA(日本電気自動車レース協会)主催のEVレースの様子

 長年EVレースに出ていると、EVのさまざまな問題点も見えてくる。そのひとつが、熱の問題だ。

 バッテリー温度が上がること、モーター温度が上がること。高負荷がかかると、EV自身がマシンを守るために制御が入ってしまい、出力を落として本来のパフォーマンスを発揮できなくなるのだ。さらにバッテリー温度が高いうちは充電をすることもできない。

 ただし、EVの進化はめざましいものがある。新しく登場してくるモデルが、そのあたりをどこまで解決できているのかは見どころである。

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