クルマの羽にはどんな意味がある? スポイラー&ウイングの役割とは
くるまのニュース / 2020年5月13日 14時10分
クルマのトランクやリアゲートには、大小さまざまな羽が装着されています。どのような効果があるのでしょうか。
■純正装着のウイングは燃費に影響?
クルマのトランクやリアゲートには、大小さまざまな羽のようなものが装着されています。これらの羽は、「リアスポイラー(リアウイング)」とも呼ばれますが、どのような効果があるのでしょうか。
スバルのスポーツモデル「WRX STI」のリアスポイラーはオプション設定
リアスポイラーは、ボディに発生する空気の流れに沿うように取り付けられたパーツを指します。一方でリアウイングは、F1マシンを代表するレーシングカーなどに装備される、翼のような形状のパーツです。
近年はスポーツカー以外でもリアスポイラーを装備するクルマが増えています。
例えば、トヨタのコンパクトカー「ヤリス」や日産のミニバン「セレナ」には、リアゲートに小さな板状のスポイラーが装着されているほか、ホンダのセダン「インサイト」のトランクにも後方に向かって突き出した複雑な形状のスポイラーが備わっています。
クルマは、走り出すと空気を切り裂きながら進みますが、スピードを出せば空気抵抗が大きくなって燃料消費も多くなり、燃費に影響を与えます。
燃費を向上させるためには、少ない燃料で長い距離を走る必要があるため、空気抵抗をいかに減らすのかがクルマにとって重要な課題となります。その空気抵抗低減に役立つのがリアスポイラーです。
クルマの空気抵抗を数値として表す単位に、「CD値(空気抵抗係数)」というものがあります。
CD値が低ければ空気抵抗は少なくなり、世界トップクラスの燃費を誇るトヨタの現行「プリウス」のCD値は0.24、国産スポーツカーとして驚異的な性能を備える日産「GT-R」は0.26という値です。
ちなみに、人間が直立した場合のCD値は、およそ0.78といわれています。
1920年代のクルマのCD値は平均0.8前後だったともいわれており、自動車メーカーがいかに空気抵抗を減らす努力をしてきたのかが伺えます。
そして、リアスポイラーはこうした空気抵抗を低減する効果的な装備として普及しています。
例えば、ヤリスやセレナはセダンと異なり、どちらも大きなリアゲートを持つクルマです。こうした形状は、速度域が高くなるほど後方の空気の流れが乱れ、パラシュートのようにクルマを引っ張る抵抗が生まれます。
リアスポイラーは、そうした後方の空気の流れを整える役目を担っているため、コンパクトハッチバックやミニバンでも採用する車種が増えているとのことです。
■なぜ、スポーツカーのウイングは大きい?
燃費を向上させるパーツとして欠かせないリアスポイラーですが、スポーツカーが装着する場合の多くは、普通車よりも巨大な形状をしています。
また、公道での走行を想定していないレーシングカーでは、さらに大きなリアウイングを装着している場合もあります。
なぜ、抵抗が多いとされる大きな「羽」が装着されるのでしょうか。
レースカーには大型なリアウイングが採用されている
その答えは、スポーツカーやレーシングカーが装着するスポイラーやウイングは、乗用車のように空気の流れを整えて燃費を向上させるものではなく、空気抵抗を利用してクルマを地面に押し付けるために備わっているからです。
地面に押し付ける空気抵抗の力は「ダウンフォース」と呼ばれ、主にリアタイヤを押し付ける力として使われます。
※ ※ ※
近年の高級スポーツカーでは、一定の速度になると格納されていたリアスポイラーがせり出してきたり、角度が変わるなどの電動で動くタイプが主流となっています。これは、ポルシェ「ケイマン」「パナメーラ」や、マクラーレン「720S」、国産車ではレクサス「LFA」にも採用されています。
また、ホンダの軽自動車「S660」にも同様の装備がオプションとして設定されており、スポーツカーが装備するリアスポイラーも、年々進化しているといえるでしょう。
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