1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

マツダがロータリー搭載「RX-9」登場の布石か!? なぜ「RX-VISION GT3」を登場させたのか

くるまのニュース / 2020年5月26日 7時10分

マツダのバーチャルレースカー「RX-VISION GT3 コンセプト」がプレイステーション4の「グランツーリスモSPORT」に登場しました。架空のクルマなのにリアルな車両スペックが初めて公開されたのですが、それは一体なぜなのでしょうか。

■マツダがバーチャルレースカーの車両スペックを公表した訳

 マツダが、バーチャルレースカー「RX-VISION GT3 コンセプト」を発表。日本時間の2020年5月22日15時から、ソニーPlayStaion4用のドライビングシュミレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」上で、オンライン提供を始めました。

 これを単なる架空のクルマの話として捉えるか、それとも実車投入に向けた中期的なマーケティング戦略と見るか、自動車業界やマツダファンの間でも意見が分かれるところだと思います。

 その上で、今回の発表の注目点は、車両スペックの詳細が明らかになったことです。

 今回のモデルは、国際自動車連盟(FIA)が認定する市販2シーターもしくは2+2シーターのスポーツカーをベースとした競技車両規定「FIA GT3」に基づいています。

 ボディサイズは全長4590mm×全幅2075mm×全高1120mm、ホイールベースが2700mm、車両重量は1250kgで、前後重量配分は48:52。駆動方式は、フロントエンジン後輪駆動(FR)です。

 注目のエンジンは「SKYACTIV-R」とし、自然吸気4ローター・ロータリーエンジンで排気量は2600cc。最高出力は570馬力/9000rpm、最大トルクは540Nm/7500rpm。タイヤはミシュランの310/700-18を装着します。

 こうした各種スペックは、ゲーム仕様としての想定だけとは思えません。なぜならば、まるで実車発表のような技術詳細が、マツダ広報資料に記載されているからです。

 今回のゲーム用GT3のベースになったのは、「RX-VISION コンセプト」です。

 RX-VISION コンセプトは、2015年に開催された第44回東京モーターショーに出展され、メディアや来場者から「この年のイチオシ」として大人気になりました。

 東京ビッグサイト西館一階の展示スペースには、その姿をひと目見ようと大勢の人が詰めかけたことを、つい最近の出来事だったように思い出します。

 その実車は、全長が4389mmと、GT3コンセプトと比べて201mm短く、全幅は1925mmとGT3コンセプトより150mm狭く、全高は1160mmとGT3コンセプトより40mm高いです。

 このオリジナルの美しいロングノーズショートデッキフォルムを活かして、GT3コンセプトではさらにワイドトレッド化したのです。

 RX-VISION GT3 コンセプトのチーフデザイナー、マツダデザイン本部アドバンスドデザインスタジオの岩尾典史氏は「初期段階から貫いたのは、すべてのマツダ車に共通する”人間中心”という開発発想です」と話します。

 デザインを進める上で、マツダデザイン本部には役員をはじめ、モータースポーツやeスポーツに精通している人が多数いて、彼らからのアドバイスを参考にしたともいいます。

■マツダにはブランドイメージを象徴するFRスポーツカーが必要

 気になるのは、クルマの中身です。駆動方式について、これまでのFRという記載から一歩進んで、フロントミッドシップのトランスアクスル後輪駆動としています。その上で、前後の重量配分を明記しました。

 サスペンションについても、フロントがダブルウイッシュボーンで、リアはマルチリンク式との表記です。

東京モーターショー2015で話題となったマツダ「RX-VISION」東京モーターショー2015で話題となったマツダ「RX-VISION」

 SKYACTIV-Rについてマツダは、これまでローター数や排気量を明らかにしたことはありませんでした。

 FIA GT3は、高性能な量産スポーツカーが参戦することは珍しくなく、スペックも量産モデルの最上級という位置付けの場合が多くあります。

 グランツーリスモには、1997年から「ユーノスロードスター」「ユーノスコスモ」「アンフィニRX-7」を皮切りに、「コスモスポーツ」「ND(4代目)ロードスター」などのマツダの量産車を収録。

 レースカーでは、1991年のルマン24時間優勝者の「787B」と、米耐久レース・グランダムGXシリーズ参戦の「マツダ6」改良版を採用。バーチャルカーでは、スポーツプロトタイプを想定した2015年「LM55 VISION」があります。

 また、2022年頃量産と噂される、次期「マツダ6」は直列6気筒エンジン搭載のFRになる可能性が高いといわれています。

 そのため、マツダとしてはこれから、ブランドイメージを象徴するFRスポーツカーの必要性が高まるはずです。

 こうしたこれまでの流れやデータの開示方法から、今回の発表が単なるゲーム用バーチャルカーとは断定できないように思えます。

 仮に、今回の発表がRX-VISION改め、「RX-9」量産化に向けたマーケティング戦略の一環だとします。

 その場合、このタイミングでの公表が、マツダにとってどうプラスになるのでしょうか。

 最大の要因は、経営が厳しい時期だからこそ、未来に向けた新しい話題が必要なことです。

 マツダの2020年3月期グローバル販売台数は前期比9%減の141万9000台。営業利益は半減、純利益は4分の1まで減少しました。2020年1月下旬から3月中旬、中国での新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃く出ました。

 3月初旬からは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が世界的に広がっており、適正な在庫水準に戻すまで日本や東南アジアでの生産調整が続きます。そのため、2021年3月期の見通しと配当予想は未定となりました。

 産業界全体として、リーマンショックやオイルショックを超える世界的な長期不況が懸念されるなか、欧州メーカーではモータースポーツ撤退や、スポーツモデル計画の凍結などが噂されています。

 そんな時期だからこそ、マツダ中期経営計画にある「独自の商品・顧客体験への投資」を続ける必要があると思います。

 RX-VISION GT3 コンセプトは、優れたバーチャルレースカーであると同時に、マツダの未来に向けた、リアルなプロジェクトである。そう信じたいと思います。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください