今見ても斬新でカッコイイ! スタイリッシュな軽自動車5選
くるまのニュース / 2020年5月26日 6時10分
現在、日本で一番売れているクルマといえば軽自動車です。なかでもトールワゴンやハイトワゴンが売れ筋ですが、フォルムは個性的とはいえません。そこで、かつて販売していたスタイリッシュな軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。
■いまでは見られないほど個性的な軽自動車を振り返る
近年、日本の自動車市場でもっとも売れているクルマは、軽自動車です。なかでもミニバンを小さくしたようなトールワゴンやハイトワゴンといった背の高いモデルが主流となっています。
しかし、これらのモデルは個性的なフォルムとはいえず、どのメーカーのモデルも画一的に見えてしまいます。
一方で、かつて販売していた軽自動車のなかには、秀逸で個性あふれるモデルが存在。そこで、往年の軽自動車のなかからスタイリッシュなモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「リーザ」
実用性よりもデザインを重視した「リーザ」
1986年にデビューしたダイハツ「リーザ」は、軽スペシャリティカーとして開発されたモデルです。
外観は小ぶりなキャビンの全高を低くしたクーペスタイルとされ、実用的な「ミラ」と比べてスタイリッシュなフォルムを実現。
リーザは「プライベート感覚」や「ファッション感覚」といった感性を重視したコンセプトで、若い女性をターゲットユーザーとしていたので、デザインが優先されていたといいます。
搭載されたエンジンは最高出力50馬力を発揮する550cc直列3気筒ターボと、32馬力の自然吸気が設定され、トランスミッションは2速AT、4速MT、5速MTが設定されていました。
その後、軽自動車規格の変更により660ccエンジンが搭載され、ボディはバンパーの変更を受けて新企画に対応して販売を継続。1991年には、派生車のオープン2シーターモデル「リーザスパイダー」が追加され、話題となります。
リーザは一定のニーズがあったものの、シャシが旧規格のままだったことから徐々に販売が低迷。1993年に販売を終了し、1992年発売の「オプティ」が実質的な後継車となります。
●スズキ「セルボ」
初代から受け継がれた軽スペシャリティカーの「セルボ」
スズキは1971年に2ボックスタイプの「フロンテ」をベースに、日本初の本格的な軽スポーツカーの「フロンテクーペ」を発売します。
高性能な360ccエンジンを搭載していたフロンテクーペですが、軽自動車規格の変更と排気ガス規制の強化もあって1976年に販売を終了。
そして、1977年にフロンテクーペのコンセプトそのままの新型モデルとして、RRのスポーツモデル「セルボ」を発売。
1982年には、すべてが刷新されFFとなった2代目セルボが登場し、1988年には、それまでにないスタイリッシュなフォルムの3代目が発売され、話題となります。
3代目セルボの外観は、フロントフェイスは2代目「アルト」をベースにデザインされていますが、キャビンは独創的な形状で、ワゴンとクーペの中間といったスタイルを実現。実用的なアルトとは異なる軽スペシャリティカーとして仕立てられていました。
搭載されたエンジンは40馬力の550cc直列3気筒自然吸気のみで、トランスミッションは3速ATと5速MTを設定。
なお、かなり奇抜なボディだったことから好き嫌いが分かれたため、ヒット作になったとはいえず、1990年に新規格となった4代目では、オーソドックスな2BOXスタイルとなってしまいました。
●ホンダ「トゥデイ」
機能美といえる美しさもあった「トゥデイ」
1974年に生産を終えたホンダ「ライフ」以来、11年の歳月を経た1985年にデビューした初代「トゥデイ」は、ホンダが提案する新世代の軽自動車として開発されました。
外観の特徴は、極端に短いショートノーズと、ボンネットのラインがそのままフロントウインドウを経て、後端までつながるロングルーフによる、低く伸びやかなフォルムです。
1981年に発売された初代「シティ」が全高を高めて広い室内空間を確保していたのと、真逆なデザインコンセプトで、それまでの軽ボンネットバンの常識を覆したほどでした。
大胆なショートノーズを実現するため、シリンダーを水平近くまで寝かせた550cc直列2気筒エンジンを搭載し、下方にデファレンシャルギヤを配置。
このショートノーズと、新開発のサスペンションによってタイヤをボディの4隅に配置することで、広い居住空間を確保しています。
初代トゥデイは、ほかにはない新たなデザインの軽自動車を実現したことが高く評価され、1986年度に「グッドデザイン賞」を受賞しました。
■本来ならもっと評価されてもいい軽自動車とは!?
●マツダ「キャロル」
ポップな印象が女性ユーザーから高く評価された「キャロル」
1960年、マツダは「R360クーペ」で4輪乗用車市場に参入。完成度の高い外観デザインと低価格で「スバル360」と人気を二分しましたが、実質2人乗りのR360クーペは他社から続々と発売された軽自動車に対抗できなくなり、マツダは1962年に初代「キャロル」を発売します。
初代キャロルは、18馬力を発揮する先進的な水冷4サイクル直列4気筒OHVのオールアルミエンジンを、リアに配置するセダンタイプで、フロントにはトランクルームを備えていました。
しかし、キャロルは重い車体と非力なエンジンによってライバルに遅れを取って販売が低迷し、1970年に生産を終えます。
それから20年近く経った1989年に、ユニークなデザインの軽自動車として「キャロル」が復活。
2代目キャロルは丸みを帯びた3ドアハッチバックの車体で、女性をターゲットユーザーとしていたことが当たり、ヒット作となります。
シャシやエンジンなど主要なコンポーネントはスズキから供給され、内外装はマツダ独自のデザインと、単なるOEM供給ではないのも斬新でした。
エンジンは当初550ccでしたが、軽自動車規格変更後は660ccエンジンを搭載し、トップグレードには最高出力61馬力の直列3気筒SOHCターボが設定されています。
そして、1995年には3代目にモデルチェンジし、4代目以降はスズキ「アルト」のOEM車となって、現在に至ります。
●三菱「i」
デザインだけでなくパッケージングも優れていた「i」
三菱「i(以下「アイ」)」は、リアエンジン、リアドライブを採用した新時代の軽乗用車として2006年に発売されました。
アイの外観はエンジンをリアに置いたことで実現したショートノーズに、「タマゴ」のような斬新なフォルムが特徴的で、内装も明るく開放的な視界や、やわらかい印象のインパネなども優れたデザインと評されます。
当初、搭載されたエンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみでしたが、マイナーチェンジで自然吸気をラインナップ。
トランスミッションは全車4速ATが組み合わされ、後輪駆動とフルタイム4WDが設定されています。
2006年度には軽自動車初の快挙となる「グッドデザイン大賞」を受賞。内外装の意匠だけでなくパッケージングが高く評価されました。
しかし、軽自動車市場ではトールワゴンが主流になり始めていたため、アイは大ヒットには至らず、一度もフルモデルチェンジすることなく、2013年に販売を終了。
なお、2009年にはアイをベースとした世界初の量産EV「i-MiEV」が登場し、現行モデルは登録車に格上げして販売を続けています。
※ ※ ※
軽自動車は日本独自の自動車規格でつくられているため、一時期は携帯電話と並んで「ガラパゴス化製品」と揶揄されたことがあります。
しかし、アジア圏や欧州に軽自動車が輸出されたり、現地生産によって販売されていることは、あまり知られていません。
その多くは800ccや1リッターエンジンが搭載されていましたが、なかには550cc、660ccのまま販売されたモデルも存在します。
直近では2019年6月にパキスタンで新型「アルト」が発売されました。パキスタン仕様のアルトは、国内仕様のアルトと同じボディに660ccエンジンを搭載し、パキスタンの道路事情を考慮して最低地上高を15mm高くするなど、使用環境に合わせた必要最低限の変更が施されているのみです。
経済的にもパッケージングにも優れている軽自動車は、今後さらなる海外進出を果たすかもしれません。
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