受注好調の新型「ハリアー」 SUVの歴史を変えた初代ハリアーと比べてみた
くるまのニュース / 2020年6月22日 19時10分
2020年6月17日、4代目となるトヨタ「ハリアー」が登場した。2リッターガソリンエンジンとハイブリッドモデルを用意、車両価格は299万円からという、いま注目のSUVだが、その初代モデルは、世界の自動車市場での流行を変えた1台だったという。
■初代「ハリアー」はレクサス「RX」として世界のSUV事情を変えた
2020年6月17日、4代目となるトヨタ「ハリアー」が発表・発売された。
新型ハリアーは、2リッターガソリンエンジンとハイブリッドの2種類のパワートレーンを用意、駆動方式はFFと4WDから選ぶことができる。また車両価格は299万円からという、いま注目のSUVだ。
流れるようなプロポーションはエレガントかつダイナミック。月販目標台数は3100台を見込むが、すでにWEB商談などで多数の注文が入っているという。
※ ※ ※
人気のSUV、ハリアーの初代モデルが登場したのは1997年12月25日。いまから23年前のことになる。
初代ハリアーは、1996年12月に発売された6代目「カムリ」をベースに、高級乗用車の基本性能とSUVの機動性・機能性をあわせ持つモデルとして開発された。
この初代ハリアーは、日本で登場した翌年の1998年、北米や欧州など世界の市場でレクサス「RX」として発売された。
1997年に発売されたトヨタ初代「ハリアー」
日本でレクサスブランドの展開が始まったのは2005年。いまはトヨタ・ハリアーとレクサス・RXは違うブランドの別のモデルとなるが、2007年の3代目登場までは日本ではハリアー名で販売されていた。
初代RXが発売された当時、世界最大の自動車市場だった北米では、ラダーフレームを持つ本格的な4WDモデルが主流だった。
そんななか乗用車のプラットフォームを元にした前輪駆動(FF)ベースのSUVとして登場したRXは、その質感の高さや使い勝手の良さなどで大ヒット。「ラグジュアリークロスオーバーセグメント」を創り出した1台として、圧倒的な人気モデルとなっていく。
このRXの好調が引っ張る形で、レクサスは1999年に北米での販売がはじめて年間100万台を突破。2000年には輸入ブランドとしてはじめて月間2万台の販売、そして同年、レクサスは北米でラグジュアリーブランドとしてもっとも売れたブランドへと成長していく。
レクサスRXは、2002年にアメリカでもっとも売れたラグジュアリーSUVとなり、そして2003年にフルモデルチェンジをおこない2代目へと進化した。
このレクサスRXの大ヒットがきっかけで、世界中のプレミアムブランドが北米市場をターゲットに乗用車をベースとしたSUVを開発していく。
2000年に発売されたBMW「X5」、2002年に登場したポルシェ「カイエン」、同じく2002年に発売されたフォルクスワーゲン「トゥアレグ」など、各社から続々とSUVが登場した。この流れは2020年のいまも続いており、昨今のSUV人気をつくり出したきっかけになったのが、初代ハリアーの登場と言い換えることもできるだろう。
■新型ハリアーと初代ハリアーを比較すると23年の進化がわかる
1997年に発売された初代ハリアーと2020年6月に発売された4代目新型ハリアーを比較すると、23年のハリアーの進化が見えてくる。
1998年に欧米諸国で発売されたレクサス初代「RX300」
●スリーサイズ:新型は初代よりも全長が165mm長い
まず、大きさを比較してみよう。
初代ハリアーは全長4575mm×全幅1815mm×全高1665mm、ホイールベースは2615mmだった。
対する新型ハリアーは全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm、ホイールベースは2690mm。つまり初代と比べると全長は165mm長く、全幅は40mm幅広く、全高は5mm低められている。ホイールベースは75mm長くなった。
ちなみに車両重量は、初代ハリアーが1590kgから1750kg。新型ハリアーは1530kgから1750kgだ。
代を重ねるごとに大型化するモデルが多いなか、ハリアーは登場以来それほど大きく変わっていないのが特徴といえる。
●パワートレーン:初代も新型も2種類ずつ
初代ハリアーに搭載されたパワートレーンは、140ps・191Nmを発生する2.2リッター直列4気筒エンジンと、220ps・305Nmを発生する3リッターV型6気筒エンジンの2種類があった。のちのマイナーチェンジで2.2リッターエンジンは2.4リッターに変更されている。
新型ハリアーは171ps・207Nmを発生する2リッター直列4気筒エンジンと、システム最高出力218ps(2WD)、222ps(E-Four)を発生する2.5リッター直列4気筒+モーターの2種類。駆動方式は初代・新型ともにFFと4WDを用意している。
●燃費:ハイブリッドも用意する新型が圧倒的に優れる
ハリアーにハイブリッドが登場したのは2005年。これは2代目ハリアーになる。初代ハリアーはガソリンエンジン搭載モデルだけだった。
初代のJC08モード燃費は、「ハリアー」2WDが9.5km/L、4WDが9.1km/L、「ハリアー3.0」2WDが9.4km/L、4WDが8.9km/Lだった。
対する新型ハリアーは、ハイブリッドモデルのJC08モード燃費が26.3km/Lから27.4km/Lと、圧倒的に優れた燃費を叩き出している。ガソリンエンジンモデルのJC08モード燃費は発表されていないが、WLTCモード燃費は14.7km/L(4WD)、15.4km/Lとなる。
新型ハリアーはハイブリッドの燃費の良さだけに目が行きがちだが、ガソリンエンジン車も相当良くなっているのが特徴だ。
●車両価格:23年という時の流れをしみじみと感じさせる
初代ハリアーと新型ハリアーを比較して、一番大きな差は車両価格かもしれない。
初代ハリアー登場当時の価格は、「ハリアー」(2WD)で239万5000円。最上級の「ハリアー3.0 FOUR Sパッケージ」が318万5000円だった。
これは消費税抜きの価格で、1997年当時の消費税率は5%だったから、それを掛けてみると初代ハリアーの価格帯は251万4750円から334万4250円となる。
対する新型ハリアーは、エントリーモデルの「ハリアーS ガソリン(2WD)が299万円(消費税込)、最上級の「ハリアーZ レザーパッケージ ハイブリッド・E-Four」が504万円となる。
エントリーモデルの価格差では25万1475円、最上級グレードでは168万5750円もの差が出てくる。
トヨタ新型「ハリアー」
※ ※ ※
初代から2代目、3代目、そして新型と、フルモデルチェンジをおこなうタイミングでハリアーから新型ハリアーに乗り換えるオーナーが多いという。これはハリアーが、使い勝手の良さや信頼感、静粛性や走りなどバランスが取れたSUVだからこそだろう。
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