地味でも実は人気者! トヨタ&スズキを支える!? コンパクトワゴンが売れる理由
くるまのニュース / 2020年6月30日 7時10分
地味ながらも堅調な販売実績を誇っているのがトヨタ「ルーミー/タンク」やスズキ「ソリオ」が分類されるコンパクトトールワゴンです。最近では、続々と登場するSUVや軽自動車に話題が集まっていますが、あまり話題に上がらないながらもコンパクトトールワゴンが売れている理由とはなんなのでしょうか。
■知名度は微妙だけど… 実売で売れているコンパクトトールワゴンとは
最近では、続々と登場するSUVや軽自動車に話題が集まっていますが、地味ながらも堅調な販売実績を誇っているのがトヨタ「ルーミー/タンク」やスズキ「ソリオ」が分類されるコンパクトトールワゴンです。あまり話題に上がらないながらも売れている理由とはなんなのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会は、毎月上旬に前月の登録車販売台数を公表しています。直近では、トヨタ「ヤリス」、「ライズ」、「カローラ」、「シエンタ」、ホンダ「フィット」、「フリード」が販売上位に位置しているため、車名を聞く機会があります。
また、少し遡るとトヨタ「プリウス」や「アクア」、日産「ノート」などが売れ筋のクルマとして認知されていました。さらに、人気ミニバンとして日産「セレナ」やトヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、高級ミニバンのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」も知名度が高いクルマです。
そんな新車市場のなかで、常にTOP10内から20くらいには位置していて、新型車のなかで売れているにも関わらず、イマイチ知名度が低いモデルがトヨタ「ルーミー/タンク」やスズキ「ソリオ」といった5ナンバーサイズのコンパクトトールワゴンです。
ヤリスやフィットのようなコンパクトカーに分類されるものの、近年人気なミニバンのように、箱型なボディが特徴のコンパクトトールワゴンという独自のジャンルとして語られることもあります。
2019年度(2019年4月から2020年3月)の登録車販売台数では、5位にルーミー(9万2890台)、11位にタンク(7万5499台)、21位にソリオ(4万4408台)という販売台数です。
激化する新車市場において、5位となったルーミーは、2016年11月に発売されたトールワゴンで、発売から4年目を迎えています。
ダイハツ「トール」のOEM車という立ち位置で、兄弟車にタンクとスバル「ジャスティ」が存在。ルーミーのボディは、全長3700mm-3725mm、全幅1670mm、全高1735mmとコンパクトミニバンのシエンタの全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mmより、ひと回り小さいサイズです。
一方で、室内長は2180mm、室内高は1355mmとなり、後席をたためばロードバイクやキャンプに必要な荷物を積み込むための十分なスペースを確保。グレードによっては両側パワースライドドアを標準装備するなどミニバン並の快適性を持っています。
また、前席と後席をつないだフルフラットの状態では大人2人が横になれる程度の余裕もあり、狭すぎず広すぎない、ちょうどよいサイズです。
実際にルーミー/タンクを検討・購入するユーザーについて、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「ルーミー/タンクは車内に広さがあるものの、コンパクトなサイズであることから運転しやすく、『初めて運転する』という人から支持されています。また、ノアでは大きい、軽自動車やコンパクトカーでは小さいという人がルーミーやタンクを選択することが多いです。
さらに前後に動くリアシートや、ナビ画面の上に表示されるアナログ表示の液晶時計など、使いやすさやインテリアも人気があります」
別のトヨタの販売店スタッフは、「ルーミー/タンクのフロントガラスは傾きが少なく大きいためボンネットの距離感が把握しやすく、前方視界が良好という点もユーザーから好評を得ている」と話しています。
■コンパクトトールワゴンの先駆け的存在スズキ「ソリオ」とは
コンパクトトールワゴンと呼ばれるジャンルは、2011年にソリオが登場したことから誕生しました。
ソリオは軽自動車と比べ、高い車高による優れた居住性や必要十分な運動性能や燃費性能から、大ヒットと呼べずとも着々と販売台数を伸ばしていきます。
その後、2016年にトールやルーミー/タンク、ジャスティが登場し、一気にコンパクトトールワゴンの人気に火が点きました。
2015年に登場した現行型「ソリオ」
では、人気のルーミー/タンクとソリオではどのような違いがあるのでしょうか。
ルーミー/タンクのパワートレインは、1リッター直列3気筒ガソリンエンジン(最高出力69馬力)または1リッター直列3気筒ガソリンターボエンジン(最高出力98馬力)の2種類が設定されています。
一方のソリオは、1.2リッター直列4気筒エンジン(91馬力)のガソリン車、同エンジンとモーター(3.1馬力)を組み合わせたマイルドハイブリッド車、同エンジンとモーター(13.6馬力)を組み合わせたハイブリッド車の3タイプが設定されています。
カタログ燃費上(JC08モード)での比較では、ルーミーは21.8km/Lから24.6km/L、対するソリオは22.0km/Lから32.0km/Lです。
ルーミー/タンクとソリオは、同じコンパクトトールワゴンのためサイズに大きな差はありませんが、収納の使い勝手ではそれぞれに特徴が見られます。
ひとつは、後部座席のスライド幅において、ルーミーが240mm、ソリオは165mmと差があり、これは積み込み可能スペースやリクライニングの角度に影響します。
スライド幅が長いほうが、大きい荷物や量の多い荷物を積み込むことができ、リクライニングもより深くまで傾けることが可能です。
また、荷室開口部の地上高がルーミーは527mmであるのに対しソリオは665mmとなっており、荷物の積み込みやすさという点でもルーミーの方ほうが一枚上手です。
安全・運転支援機能において、ルーミー/タンクは、衝突回避支援システム「スマートアシストIII」が下位のXグレードを除いて標準装備され、Xグレードではオプションでも装着はできません。
対するソリオは、予防安全技術「スズキセーフティサポート」が下位のGとHYBRID MX2グレードを除き標準装備となり、この2グレードにはオプションで装備することが可能です。
そのほか、ルーミー/タンクとソリオではオートハイビーム機能や前後誤発進防止機能、車線逸脱警報機能などは基本的に備わっています。
ソリオの特徴について、スズキの販売店スタッフは次のように話します。
「ソリオは、コンパクトトールワゴンジャンルにおいて唯一ハイブリッド車を設定することから、燃費を気にするお客さまにはおすすめです。安全装備はオプションではありますが、全車に装備できる仕様となっています。
また、ソリオを検討されるユーザーとしてはファミリーが多くいらっしゃいます。そのため、子どもや年配者が乗り降りしやすいように、後席ドアのステップ高を360mmと低く設定している点も好評頂いております」
※ ※ ※
ルーミー/タンクやソリオは、近年流行りのSUVや王道の人気を誇るミニバンや軽自動車といったクルマの隙間を狙った日本にジャストフィットするクルマということが、ユーザーから評価されるポイントだったのです。
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