レクサス「GS」の改造車がスゴいことに!? トヨタの魔改造車3選
くるまのニュース / 2020年7月16日 16時10分
「魔改造」とは市販のフィギュアやプラモデルをベースに、原形を留めないほど改造することを指しますが、大改造されたクルマも同様に呼ばれます。そんな魔改造車のなかで、トヨタが発表した3車種をピックアップして紹介します。
■まさに魔改造! とんでもなく手が入れられたトヨタ車たち
近頃、テレビ番組で話題となった「魔改造」という言葉は、市販のフィギュアやプラモデルをベースに、原形を留めないほど改造することから生まれました。クルマにおいては、外観を大きく変え、まったく別の車種からエンジンを移植するような大改造を指します。
そうした魔改造車は、主にオートショーに出展するために作られたコンセプトモデルで、公道を走ることが想定されていないからこそ、大胆に手が入れられています。
そこで、これまでトヨタが発表した魔改造車を3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ランドスピードクルーザー」
2000馬力以上を誇るV8ツインターボエンジンを搭載した「ランドスピードクルーザー」
トヨタ「ランドクルーザー」は、1951年に開発された「ジープBJ型」を源流とした本格的なクロスカントリー4WD車で、「キングオブオフロード」と呼ばれるほどの高い悪路走破性能や耐久性を誇り、世界中の過酷な環境下で活躍しています。
そのランドクルーザーをベースに、スピード記録を樹立するための「スピードブレーカー」を目指し、究極の走行性能を求めて製作されたのが「ランドスピードクルーザー」です。
ランドスピードクルーザーは現行モデルの「ランドクルーザー200」をベースに、レクサス「LX570」の5.7リッターV型8気筒エンジンを搭載。
さらに2基のターボチャージャーが装着されるとともに、エンジン内部にも手が加えられ、最高出力2000馬力以上という途方も無いパワーを発揮します。
外観は若干ワイドトレッド化され、高速走行時の操縦安定性を確保するために車高が下げられている以外は大きく変更されておらず、空力パーツはフロントにエアダムスカートが装着されている以外は、純正のリアスポイラーくらいです。
ランドスピードクルーザーは2016年の「SEMAショー」に北米トヨタから出品された後、2017年には実際に速度記録に挑戦。
最高速度230マイル/h(約370km/h)を達成し、名実ともに世界最速のSUVとして君臨しています。
●レクサス「GS450h by 0-60 Magazine」
高級車をベースにレーシングカーに仕立てた「GS450h by 0-60 Magazine」
2010年のSEMAショーに出展されたレクサス「GS450h by 0-60 Magazine」は、ハイパフォーマンスカー専門誌とのコラボレーションによってつくられたサーキットアタック仕様です。
ベースとなったモデルは、2005年に発売されたGSのハイブリッド車「GS450h」で、日本では初代、北米では3代目にあたります。
パワーユニットは3.5リッターV型6気筒エンジンにモーターを組み合わせ、システム出力は345馬力を発揮(日本仕様)。
パワーユニットはノーマルで、外装にはカーボン製のフロントスポイラーとカナード、サイドステップ、リアディフューザー、リアウイングが装着されています。
足まわりはRAYS製ホイールに275/35R18のスリックタイヤを履き、テインUSAの別体タンク付きショックアブソーバーを組み込んだ車高調整式コイルオーバー・サスペンションに、ブレーキはフロントが6ピストン、リアが4ピストンのブレンボ製キャリパーを採用。
エキゾーストシステムは、ワンオフでつくられたトラスト製のセンター2本出しフルチタンエキゾーストとなっています。
内装にはカーボン製パネル、スパルコ製バケットシートとシートベルト、ハンドルが装着され、メーター類はトラスト製、そしてシャシに溶接されたロールケージがキャビンを取り囲んでいます。
ほかにもエアジャッキが内蔵されるなど、GS450h by 0-60 Magazineは完全にレーシングカーと同様のつくりとなっており、実際にレースで走ったわけではありませんが、高級車のモディファイとしてはユニークなモデルです。
■あの「ヨタハチ」にとんでもないエンジンを搭載!?
●トヨタ「スポーツ800 ガスタービンハイブリッドカー」
ハイブリッド車のプロトタイプとして製作された「スポーツ800 ガスタービンハイブリッドカー」
トヨタは1997年に世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」を発売しましたが、市販に向けて開発がスタートしたのは1993年といわれています。
一方、トヨタによるハイブリッド車開発の歴史はさらに古く、1965年からおこなわれていました。
当時、トヨタがハイブリッド用として注目していたのが、省エネルギー、軽量、コンパクト、低環境負荷という優れた特性を持つガスタービンエンジンで、吸気・圧縮・燃焼・排気という一連のサイクルを回転運動のみでおこなうことが特徴。ジェットエンジンも、ガスタービンエンジンのひとつです。
また、ガスタービンエンジンのもうひとつの特徴が、高い負荷で燃費がもっとも良くなり、低い負荷では急速に悪化してしまうことが挙げられるため、クルマの動力源としては不向きとされていましたが、定速での発電に使う場合はこの特徴が好都合でした。
そこでトヨタは、ガスタービンエンジンを搭載したハイブリッド車の開発を1969年にスタートさせます。
そして1975年の第21回東京モーターショーに「センチュリー・ガスタービンハイブリッド実験車」を出展し、1977年の第22回東京モーターショーでは、ハイブリッドシステムを小型化した「スポーツ800 ガスタービンハイブリッドカー」を出展。
大衆車「パブリカ」のコンポーネントを使った小型スポーツカーの「スポーツ800」をベースに、ガスタービンエンジンと発電機、電流制御装置、バッテリー、モーター、トランスミッションを搭載。ガスタービンの動力は発電に使用され、走行はモーターのみでおこなうシリーズハイブリッドとなっています。
エンジンの出力は30馬力ほどですが、最適な回転数を保ったまま発電をおこなうことで、レシプロエンジンよりも効率がよく、さらに燃料も灯油、軽油、天然ガスなど、さまざまなものが使えるというメリットがありました。
トヨタによるガスタービンハイブリッドの開発は1980年代まで続けられましたが実用化はされず、レシプロエンジンをベースにしたハイブリッドシステムに移行し、プリウスが誕生。
じつに32年間も続いたプロジェクトによって、プリウスが完成したことになります。
※ ※ ※
かつて、クルマを改造することはアウトローなイメージがありました。実際、違法改造が横行した時代もあります。
しかし、業界団体が立ち上がり、合法的な改造パーツの開発と市民権を得るための啓蒙活動をおこなった結果、いまでは自動車メーカーもコンプリートカーなどの改造車を販売するようになりました。
クルマの改造やドレスアップをおこなうことは、運動性能や燃費に影響するデメリットがありますが、自分好みのクルマに仕立てる楽しさという大きな魅力もあります。
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