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もはや世界遺産級のクルマたち!? 偉大な大衆車5選

くるまのニュース / 2020年7月20日 6時10分

現在、日本の庶民の足といえるクルマは軽自動車やコンパクトカーです。そうしたクルマは、かつて「大衆車」と呼ばれ、世界中のモータリゼーションを支えてきました。そこで、国内外のメーカーがつくった偉大な大衆車を、5車種ピックアップして紹介します。

■モータリゼーション発展の礎となった偉大なクルマを振り返る

 最近、あまり耳にしなくなったクルマ用語で「大衆車」があります。現在は「ベーシックカー」や「エントリーカー」などと呼ばれるのが一般的ではないでしょうか。

 この大衆車が本格的に普及したのは第二次大戦後で、それまでクルマは超高額な買い物でしたが、戦後に生産や開発の技術が発達したことで安価になり、庶民でもクルマが買えるようになったということです。

 そこで、国内外のメーカーがつくった偉大な大衆車を、5車種ピックアップして紹介します。

●BMC「ミニ」

数多くのFF車のお手本となった「ミニ」数多くのFF車のお手本となった「ミニ」

 1959年、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)は、天才技術者といわれたアレック・イシゴニスによる設計の「ミニ」を発売。

 それまでにもイシゴニスはモーリス「マイナー」という小型車を設計し、大ヒットを記録していましたが、さらに小さいモデルとしてミニを設計しました。

 ミニは全長3m、全幅1.4mほどの小さなボディに、大人4人と荷物を載せてドライブできるパッケージを実現。

 搭載されたエンジンは初期モデルで850ccの直列4気筒OHVで、フロントに横置きに搭載して前輪を駆動するFFを採用し、エンジン下部にトランスミッションを内蔵することでエンジン長を短くし、狭いエンジンルームを有効につかっています。

 このレイアウトはその後も継承され、1.3リッターまで排気量を拡大しても変わっていません。

 ミニの最大の特徴は、サスペンションのスプリングが、一般的な金属コイルばねではなく「ラバーコーン」と呼ばれるゴム製のばねを採用したことです。

 これは、室内の寸法を極力広くするためにレイアウトされたサスペンションに不可欠なもので、ミニ独特のドライブフィーリングも生み出しました。

 また、優れた基本設計によって、「ミニ クーパー」や「ミニ クーパーS」といった高性能モデルや、セダン、ワゴン、バン、ピックアップトラックと多くのバリエーションが設定されました。

 2000年に最後モデルが販売され生産を終了しますが、欧州では大衆車としてヒットし、日本では趣味のクルマとして、いまも人気があります。

●フォルクスワーゲン「タイプ1」

国民車として開発された「タイプ1」(画像は戦前のプロトタイプ)国民車として開発された「タイプ1」(画像は戦前のプロトタイプ)

 第二次世界大戦勃発以前の1938年、アドルフ・ヒトラーの国民車構想のもと、フェルディナンド・ポルシェ博士によって「タイプ1」が開発されました。

 しかし、第二次世界大戦が開戦すると、タイプ1は国民車としてではなく主に軍用車として生産されます。

 そして終戦を迎え、ドイツ復興のためイギリスの管理下でタイプ1の量産が開始。欧州での販売を皮切りに世界中に輸出され、ボディ形状から「ビートル(カブトムシ)」の愛称で呼ばれるなど大ヒットしました。

 タイプ1は空冷水平対向4気筒OHVエンジンを、軽量かつ剛性の高いシャシの後部に搭載したRRを採用。

 このシャシは汎用性が高く、セダン、ステーションワゴン、クーペ、1BOXワゴン、トラックなど、さまざまな派生車を展開することで、あらゆる顧客のニーズに対応しました。

 タイプ1の生産はドイツ本国では1978年に終了し、主力モデルはFFの「ゴルフ」にバトンタッチしますが、メキシコでの生産は2003年まで継続され、じつに65年もフルモデルチェンジすることなく生産されたことになります。

●シトロエン「2CV」

おしゃれなイメージがあるが、農業や土木に携わる人からも愛された「2CV」おしゃれなイメージがあるが、農業や土木に携わる人からも愛された「2CV」

 いまから100年ほど前の1919年にシトロエンが創業されました。創業当初に製造していた「山歯歯車」の歯の形状をモチーフにしたエンブレム「ダブルシェブロン」は、形を変えながらいまも健在です。

 そしてシトロエンは第二次大戦勃発前に、不整地でも快適な乗り心地で経済的な国民車の開発を計画し、戦後の1948年に「2CV」として実現します。

 2CVという車名はフランス語で「2馬力」にあたりますが、最高出力が2馬力だったわけでなく、出力によってクラス分けされる車格の分類のひとつて「2CVクラス」という意味です。

 強度を保つ曲面と、安価に製造できる平面をたくみに組み合わせたボディを採用し、当初は375cc、最終型でも600ccの小型な空冷水平対向2気筒OHVエンジンをフロントに搭載。前輪を駆動するFFとなっていました。

 内装は無駄なものが一切ないほど簡素化されていますが、巧みにデザインされており、安っぽさよりもシンプル・イズ・ベストという気概が感じられます。

 衝突安全性の確保や環境対応が困難になったため、1990年をもって生産を終了しましたが、大きな変更が無いまま40年以上に渡って生産されました。

■海外のクルマに負けない日本の大衆車とは

●トヨタ「カローラ」

日本を代表する大衆車として世界で愛されている「カローラ」の原点日本を代表する大衆車として世界で愛されている「カローラ」の原点

 トヨタは1936年に「トヨダAA型」を発売して、自動車メーカーとして歩みはじめました。当時は豊田自動織機の自動車製造部門でしたが、後に独立して「トヨタ自動車」になります。

 第二次大戦中は主にトラックの生産をおこなっていましたが、戦後になって本格的に乗用車製造を開始。

 そして1966年に、日本の高速道路網の伸長に合わせた高速性能を持った小型大衆車、初代「カローラ」を発売しました。

 ボディサイズは全長3845mm×全幅1485mm×全高1380mmと、現在のクルマに比べ非常にコンパクトで、「パブリカ」と「コロナ」の間に入るクラスです。

 当初、ボディバリエーションはセミファストバックスタイルの2ドアセダンのみとなっていましたが、後に4ドアセダン、クーペ、ステーションワゴン、バンと充実していきます。

 搭載されたエンジンは1.1リッター直列4気筒OHVで、ライバルの日産(ダットサン)「サニー」が1リッターエンジンだったことから、「プラス100ccの余裕」のキャッチコピーとともに販売。

 大衆車とはいえ、庶民にはまだまだクルマが高嶺の花だった時代に、少しだけ高級なものを求めるユーザーの意識を上手く捉え、商業的に成功しました。

 2018年に発売された現行モデルのカローラは12代目にあたりますが、いまやカローラはグローバルな大衆車ですから、まだまだ歴史は続くでしょう。

●スバル360

マイカーを夢から現実にした偉大な軽自動車「スバル360」マイカーを夢から現実にした偉大な軽自動車「スバル360」

 1917年に創設された中島飛行機は第二次大戦前から航空機を製造し、戦後に中島飛行機が解体されると1945年に富士産業と改称し、平和産業への転換が図られました。

 当初はスクーターの製造から始まり、バスのボディなどを手掛け、1953年には富士重工業が誕生。何台かの試作車を経て1955年に初の4輪自動車である「P-1」を完成させましたが一般には市販はされず、テスト車やタクシーとして使われるのみでした。

 そして、P-1完成から3年後の1958年、スバルブランドの起源となる軽自動車「スバル360」が発売されました。

 スバル360は、当時の通産省が提示した「国民車構想」に則って開発され、全長2990mm×全幅1300mm×全高1380mmのボディは、航空機製造で培った技術によるモノコック・シャシが採用され、車重は385kgに抑えられました。

 エンジンは360cc空冷2気筒2サイクルをリアに搭載し、後輪を駆動するRRを採用。最高出力はわずか16馬力でしたが、大人4人乗車でも最高速度は83km/hに達し、乗り心地や操縦安定性も当時の小型車と比べて遜色なかったといいます。

 スバル360は、そのスタイルから「てんとう虫」の愛称で呼ばれ、安価な価格設定によってマイカーを持つことを夢から現実に変えたクルマです。発売以降12年間販売されたロングセラーとなり、多くのユーザーに愛されました。

※ ※ ※

 現在販売中の国産車の価格は登録車で110万円台から、軽自動車で80万円台となっています。

 年々クルマは高額化しているようなイメージがありますが、エントリーカーならばだいぶ安価に設定されており、しかも装備が充実していることを考えると、自動車メーカーや部品メーカーの努力がうかがえるのではないでしょうか。

 今後、先進安全技術の搭載や電動化も加速していくと予想されますが、さらなる技術の進歩も期待できるので、大幅な価格上昇は避けられそうです。

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