運転中に車に落雷!? 車内の乗員は大丈夫? 豪雨や雷に遭遇したときの対処法とは
くるまのニュース / 2020年7月26日 9時30分
近年、気象現象の特徴として、突然の豪雨や雷が頻発しています。雷が発生しているとき、クルマのなかは安全なのでしょうか。運転中に豪雨や雷が発生した場合の正しい対処法などを、JAFに聞いてみました。
■落雷がクルマにどんな影響を与える?
近年の日本の気象現象は、一度に大量の雨が降るケースが増加している傾向があります。
朝から晴天でドライブ日和だと思って出かけた先でも、気温の上昇に伴い積乱雲が発生。局地的な集中豪雨や雷に遭遇する可能性が高いとされています。
豪雨はもちろん危険ですが、雷も気をつける必要がありそうです。雷はどこに落ちるのかが分からず、その強さは1億ボルトにもなるといわれています。
気象庁のデータによると、2005年から2017年までの間にされた落雷害数は1540件、そのうちの約30%に相当する468件が8月に集中しています。また4月から10月は太平洋側、11月から3月は日本海側で多い傾向が見られます。
また全国の天気情報を扱う「ウェザーニュース」によると、2020年の夏には全国でおよそ2400回もゲリラ豪雨が発生すると予想されています。
とくに東北南部や北海道の山沿いが多い予想(100回以上)ですが、東京や大阪といった都市部でも、約90回発生すると予想されています。
ドライブで遠方に出かけたときだけでなく日常生活でクルマを運転していても、場所によってはゲリラ豪雨や雷に遭遇する確率が非常に高いと考えておいたほうがよさそうです。
運転中にゲリラ豪雨や雷に遭遇した場合、どうすればいいのでしょうか。
日本最大級のロードサービスを展開するJAF(日本自動車連盟)東京支部の高木氏に、実験の解説と豪雨や雷のときの正しい対処法を聞いてみました。
JAFでは、落雷場面を想定した実験を実施しており、140万ボルトに設定した人工雷を使用して「クルマに雷が直接落ちる可能性はあるのか」「乗っている乗員に影響はあるのか」「雷に遭遇した場合、車内と車外ではどちらが安全か」「雷が落ちたクルマの電子機器は壊れてしまうのか?」などを検証しています。
「クルマに雷が直接落ちる可能性はあるのか」という疑問ですが、車内に乗員がいる状態で人工雷を発生させた実験の結果について、高木氏は次のようにいいます。
「実験では、乗員への被害はなく、ハンドルを握っていても感電するようなことはありませんでした。
その実験ではエンジンをかけた状態で雷を直撃させましたが、エンジンの回転数にも異常は見られず、そのまま走行できました」
この実験では落雷した箇所の塗装にキズができ、デジタル時計に影響が出た程度だったそうです。これは落ちた雷(電流)がボディなどの金属部分を通り、タイヤを伝って地面に流れたと推測できます。
クルマのボディのような金属の枠のなかには電流は入り込まないため、乗員に落雷の影響がなかったという結論です。
この実験結果も踏まえると、雷に遭遇した場合、車外よりも車内のほうが安全なことがわかります。
「雷は電流が通りやすい部分より高いところを経由する傾向があります。ボディの天井部分やドアミラー、縮めたアンテナの先など、上に向かって突き出た部分を狙って直撃するようです。
したがって、窓やサンルーフから手を出したり、窓ガラスに触れるのは危険ですので、注意ください」(高木氏)
■雷が落ちる危険があるときはどう対処?
いつ落雷してもおかしくない状況になった場合は、どう対処するのがいいのでしょうか。
「可能であれば、ひとまずクルマを安全な場所に停車させるのがいいと思います。突然の落雷に驚き、ハンドルやブレーキなどの操作ミスを未然に防ぐ対策です。
どうしても車外に出る必要がある場合は、クルマより低い体勢で動いていただければと思います」(高木氏)
道路が冠水すると危険
また、これからの季節、雷だけでなく突然の集中豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)に遭遇した場合は、どのように対処するべきなのでしょうか。
「豪雨のなかでの運転は、やはり事故のリスクが高くなるといわれています。路面が滑りやすくなるのはもちろん、視界の悪化にも注意が必要です。日中であっても、ゲリラ豪雨に遭遇すると、驚くほど前方が見えにくくなってしまいます」(高木氏)
視界の悪化は、停車車両や歩行者、自転車の存在に気づくのが遅れがちになります。さらに歩行者や自転車の突発的な行動が増えるのも、雨天時の特徴のようです。
「ほかのクルマや歩行者、自転車の行動が予測しにくい状況になりますので、気持ちに余裕を持った運転が大切です。
そのためにも必要なのは、普段よりも速度を落として運転することです。さらに周囲に自分のクルマの存在を認知させるためにも、ヘッドライトの点灯を心がけていただきたいです。
また豪雨のなかで運転に自信が持てない場合は、こちらも安全な場所にクルマを駐車させ、雨が弱まるのを待つのも選択肢のひとつだと思います。悪天候のときほどマナー運転を心がけていただきたいと思います」(高木氏)
雨水が集まりやすいアンダーパスや、洪水・土砂崩れなどが発生しやすい河川や斜面の近くを走行するのを避けることも、事故や被害から未然に防ぐ対処法になるといいます。
避けては通れない場合でも意識しておくことで、迂回路なども考えられるようにしたいところです。
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