劇的進化は次の世代!? 過渡期に誕生した車3選
くるまのニュース / 2020年7月27日 16時10分
クルマは誕生して以来、日々進化を続けていますが、近年は安全技術や動力性能の向上は目覚ましいものがあります。そうしたクルマの進化の過程では時として大きな転機を迎え、一気に様変わりがおこなわれる機会が存在。そこで、進化の過程で過渡期に誕生したクルマを3車種ピックアップして紹介します。
■大きな転換期を迎える直前に誕生したクルマを振り返る
ガソリンエンジンを搭載した自動車が発明されて、130年以上もの年月が経ちました。その間にクルマは進化を続け、直近の20年間では環境性能や安全技術、動力性能の向上は革新的といえます。
そうしたクルマの進化の過程では、大きな転換期を迎えることがあります。そこで、進化の過程で過渡期といえる時に誕生したクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「インサイト」
コンセプトを大きく変えたものの苦戦を強いられた2代目「インサイト」
1997年に世界初の量産ハイブリッド車トヨタ「プリウス」が発売されると、各メーカーもハイブリッド車の開発機運が高まりました。
そして、プリウスの燃費を超えるべく開発されたのが、1999年に登場したホンダ初代「インサイト」です。徹底的な軽量化と空力性能を向上した結果、当時、量産ガソリン車で世界最高の35km/L(10・15モード)を達成しました。
しかし、軽量化のために2シーターとしたことはマイナスポイントで、ヒットすることなく2006年に販売を終了します。
そして、2009年に登場した2代目インサイトは、プリウスを意識した5人乗りの5ドアハッチバックとなり、使い勝手を向上。
3代目プリウスよりも1か月早く発売されると、2009年4月のハイブリッド車月間販売台数第1位を獲得しました。
しかし、インサイトのハイブリッドシステムは、基本的にモーターはエンジンのアシストに徹するもので、定速走行時のわずかな距離のみでしかモーターによるEV走行ができない点が、プリウスよりも劣っており、対抗馬としては不利な状況でした。
プリウスは2代目からEV走行を可能としており、燃費だけでなく販売台数においても大差をつけられてしまいました。
その後、2代目インサイトは2014年に販売を終了。2018年に発売された3代目インサイトは、発進を含めてほとんどの走行を電気モーターとする「SPORT HYBRID i-MMD(現在は「e:HEV」)」を採用し、ハイブリッド車として大幅に進化。
現在、同様のハイブリッドシステムは、「フィット」や「ステップワゴン」なども搭載しています。
●日産「ブルーバード」
メカニズムは一新されたが、デザインは先代を踏襲した7代目「ブルーバード」
日産「ブルーバード」は1959年に初代が誕生し、以来、「サニー」、「スカイライン」と並び、同社の中核を担う重要なモデルとして、代を重ねました。
なかでも1967年に発売された3代目の「510型」は日本のみならず、アメリカでも大ヒットを記録。国産車の海外進出への大きな礎となったモデルです。
そして、1979年に登場した6代目の「910型」は、直線基調のボディデザインと、優れた操縦性が高く評価され、シリーズ最高の大ヒット作となりました。
このヒットを受けて1983年に発売された7代目ブルーバードでは、駆動方式が初代から続いたFRからFFとなるなど、構造上は大きな転換期を迎えます。
しかし、外観は6代目から継承された直線基調のままで、デザインのイメージもキープコンセプトとされました。
すでに当時のデザイントレンドは、セダンも角を丸くする傾向だったため、7代目のデザインは時代遅れとなり、6代目ほどのヒットには至りませんでした。
そして、1987年に発売された8代目では、デザインを一新して洗練されたデザインに変貌。さらに新世代の4WDシステム「アテーサ」を採用するなど、高性能なセダンというコンセプトで、再びヒット作に返り咲きました。
■いまも語り継がれるシリーズ最後のFR車とは
●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」
新開発のエンジンを搭載しながらFRのままとされた4代目「カローラレビン」
1966年に初代が誕生したトヨタ「カローラ」は、高い実用性と品質の高さでたちまち小型大衆車のトップセラーになりました。
その後、小型大衆車にも高性能化が求められるようになり、1972年には2代目カローラに、1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場。若者でも手が届く高性能車として大人気となりました。
カローラレビン/スプリンタートレノは継続して代を重ね、1983年にAE86型カローラレビン/スプリンタートレノ(以下、レビン/トレノ)が登場。
カローラシリーズにはセダン、5ドアハッチバック、ステーションワゴン、ライトバンもラインナップされており、これらのモデルはこの5代目をもってすべてFF化されましたが、レビン/トレノはFRのままとされました。
レビン/トレノに搭載された1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンは、新開発の「4A-G型」ですが、シャシは先代をベースとしており、サスペンションもフロントがストラット、リアがラテラルロッド付き4リンクのリジッドアクスルと、すでに時代遅れの型式でした。
一方、リジッドアクスルは強度が高く、構造がシンプルで、AE86型の場合はリアタイヤが滑り出した時の挙動がマイルドで、コントロールしやすいというメリットもありました。
しかし、当時は世界的に小型車のFF化が一般的になっており、すでに「カローラFX」という高性能なFFモデルも存在している状況だったこともあり、AE86型の次世代にあたる「AE92型」レビン/トレノから、シリーズ全車がFFに移行しました。
AE86型を振り返ってみると、新開発のエンジンを搭載しながらも旧式のシャシという、アンバランスさが絶妙なモデルだったのかもしれません。
※ ※ ※
冒頭にあるとおり、近年のクルマの進化は目覚ましいものがあります。とくに衝突被害軽減ブレーキに代表される先進安全技術は、この20年で大幅に進化を遂げました。
2000年代初頭にはミリ波レーダーを利用したプリクラッシュセーフティが存在しましたが、完全に停止するには至らず、減速するのみとなっていました。
これは、技術的な問題だけでなく、法的な問題もあったといいます。
クルマの進化には技術だけでなく、インフラや法整備といった多角的な要素が重要だということでしょう。
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