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FCAとPSAの合併で「ステランティス」誕生へ いま世界の自動車グループはどうなっている?

くるまのニュース / 2020年8月13日 8時10分

2020年7月15日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが合併して生まれる新しいグループの名前が「STELLANTIS(ステランティス)」と発表された。コロナ禍で厳しい状況が続く自動車業界だが、いま世界の自動車ブランドはどのようなグループに分けることができるのだろうか。

■新たな自動車グループ再編で現状を振り返ってみる

 2020年7月15日、グループPSAとFCAが合併してできる企業の名「STELLANTIS(ステランティス)」が発表された。

 この2社の合併は2019年12月に発表され、2021年に完了する予定のもの。STELLANTIS(ステランティス)はラテン語のSTELLOが語源であり、その意味は「星たちとともに輝く(“to brighten with stars”)」となる。自動車業界を照らす新しい星を目指すというわけだ。

 今回の新たなグループ誕生にあわせ、世界の自動車グループの現状を振り返ってみたい。

 まず、STELLANTIS(ステランティス)は、フランスのメーカーであるグループPSAと、イタリアとアメリカ企業が合弁したFCAとが融合して2021年上半期に生まれる新しいグループの名前だ。

 傘下にあるブランドは、グループPSAでいえば「プジョー」「シトロエン」「DS」「オペル」「ボクスホール」があり、FCAが「フィアット」「アルファ ロメオ」「アバルト」「マセラティ」「ランチア」のイタリアブランドと「クライスラー」「ジープ」「ラム」「ダッジ」のアメリカブランドとなる。

 フェラーリは、近年にFCAから独立したものの、緩やかな関係は続いており、仲間といえる存在だ。合併してできるこのグループ全体の年間販売台数は、2018年度の実績からいえば約870万台となり、フォルクスワーゲン(VW)グループやトヨタグループ、ルノー・日産・三菱アライアンスに次ぐ世界4位に該当する。フランス、イタリア、アメリカという多国籍ブランドが揃う個性的なグループといえるだろう。

 では、世界ナンバーワンの自動車グループは何か? といえば、2019年の覇者は年間1097万台のVWグループだ。

 このグループには「フォルクスワーゲン」「アウディ」「ポルシェ」「セアト」「シュコダ」「ベントレー」「ブガッティ」「ランボルギーニ」「ドゥカティ」「スカニア」「MAN」が属する。

 4輪の大衆車から超高級車、スポーツカー、オートバイ、商用車まで、幅広い車種が用意されているのが特徴だ。とはいえ、ブランドはすべて欧州発というのが特徴だろう。

 そのフォルクスワーゲンとトップを争うのがトヨタグループだ。

 メンバーは「トヨタ」「ダイハツ」「HINO(日野自動車)」。

 2019年はグループ全体で約1074万台を売り上げ、VWグループに肉薄した。また、「スバル」も台数合算はないが出資比率20%でトヨタが筆頭株主、また「マツダ」も資本関係があり、技術開発などで協力する仲間と呼べる存在だ。ブランドとしてはほかに当然「レクサス」もある。

 フォルクスワーゲンやトヨタに次ぐ存在となるのは、ルノー・日産・三菱アライアンスだ。2019年の販売台数は約1015万台という。ほかにグループルノーとして「アルピーヌ」「ダチア」「RADA」「RSM」のブランドがある。

 ただし、今年のコロナ禍によって業績が悪化。ルノーの2020年1-6月期の純損益は過去最大の72億9000万ユーロ(日本円で約9000億円)もの巨額赤字を発表。日産も三菱も2020年度は日産が6700億円、三菱が3600億円の赤字となる見通しと発表されている。ほかの自動車メーカーに比べて赤字幅が大きく、来年以降も世界3位のポジションを守れるかどうかは不透明だ。

■2020年のコロナ禍は世界の自動車勢力図を大きく変えるはず

 1000万台には届かないものの、700万台を誇るのがゼネラルモーターズと現代自動車(ヒュンダイ)の2つのグループだ。

2019年世界販売ランキング1位はVWグループ。写真はドイツ・ウォルクスブルクにあるVW本社2019年世界販売ランキング1位はVWグループ。写真はドイツ・ウォルクスブルクにあるVW本社

 ゼネラルモーターズの2019年の販売台数は772万台。傘下のブランドは「キャデラック」に「シボレー」「GMC」「ビュイック」などアメリカ発のブランドのほか、オーストラリアの「ホールデン」などを擁する。ビジネス面ではアメリカと中国市場が主戦場となっている。

 韓国の現代自動車グループは、2019年に719万台を販売。「ヒュンダイ」のほか、傘下に「キア」もあり、韓国国内市場だけでなくアメリカ、欧州、中国、インドなど世界市場で活躍する。品質も向上しており、海外市場では日本車の強力なライバルとなっている。

 その下の500万台クラスにあるのが「フォード」と「ホンダ」だ。フォードの2019年の販売は539万台、ホンダは517万台であった。どちらも国内市場だけでなく、中国などの世界市場で戦うブランドである。

 ちなみに、STELLANTIS(ステランティス)となったグループPSAとFCAも、単体では、どちらも年間400万台から500万台クラスであり、順位的にはフォードやホンダの下という存在であった。

 そして、もう少し規模の小さいグループがドイツのダイムラーとスズキだ。ダイムラーの2019年の販売台数は約334万台。スズキは約306万台であった。ダイムラーの擁するブランドは「メルセデス・ベンツ」「スマート」「ダイムラー・トラック」など。「三菱ふそうトラック・バス」も現在は、ダイムラーの一員となっている。

 かたや高級車、かたや大衆車というダイムラーとスズキではあるが、意外にも販売規模は同じくらい、また市場も同じくグローバルという共通点を持っているのだ。

 またBMWグループの2019年の販売台数は約252万台。「BMW」のほか「MINI」「ロールス・ロイス」のブランドがある。

※ ※ ※

 世界を見渡せば、年間に1000万台を販売する自動車グループ(1000万台クラブ、とも呼ばれる)の3強がフォルクスワーゲンとトヨタ、そしてルノー・日産・三菱だ。

 その次のポジションには、新生したSTELLANTIS(ステランティス)が飛び込み、以下、ゼネラルモーターズとヒュンダイ、フォード、ホンダと続く。かつてのビッグ・スリーが中段に揃うという状況だ。そして、300万台クラスにダイムラーとスズキが並んでいる。

 ただし、2020年のコロナ禍は世界の自動車マーケットに大きな衝撃を与えた。2020年7月から8月にかけて発表された、各社の2020年通期の見通しをチェックすると、どこも前年比20%ほどのマイナスと考えているようだ。

 しかし、同じだけ台数が減っても、黒字となるメーカーと赤字となるところがある。そうした体質の差は、この先の新車開発や販売活動の差になってくるはず。その結果、グループごとの販売台数、そして順位への影響も大きいことが予想される。

 2020年のコロナ禍は、世界の自動車勢力図も大きく変えるものとなるはずだ。

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