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「オープンカー」は和製英語!? ホントの呼び名はなに?

くるまのニュース / 2020年8月27日 19時10分

日本ではルーフが開くクルマのことをひとことで「オープンカー」と呼んでいるが、その呼称は和製英語だったりする。では、欧米ではオープンカーのことをなんと呼んでいるのか、ボディ形状や歴史から紐解いていこう。

■「ロードスター」と「スピードスター」の違いとは?

 洒脱なオープンカーは、古今東西のクルマ好きの憧れ。しかし「オープンカー」という言葉は、実は和製英語であり、自動車文化に長く親しんできた欧米では、お国柄やクルマ自体のキャラクターによって、様々な呼称が定義づけられてきた。

 19世紀末の誕生以来、「馬無し馬車」とも呼ばれていた黎明期の自動車ボディは、馬車用ボディのコーチビルダーがそのまま自動車に移行して製作されたことから、自動車ボディの形式を示す名称も馬車時代の呼称が踏襲された。

 例えば、第二次大戦後には使われる例が少なくなった「フェートン(2頭立ての4−5人乗り幌付き四輪馬車)」や「セダンカ・ド・ヴィル(オープンの御者台に屋根付き個室を組み合わせた馬車)」に加えて、われわれ現代人にも馴染みの深い「カブリオレ」や「ロードスター」も、実は馬車時代に起源を求めることのできる様式なのだ。

 また第二次世界大戦後には、テクノロジーの発展によりカブリオレの対候性とロードスターのスポーツ性を兼ね備えた「コンバーチブル」が主流となり、さらに近年では可動式ハードトップを持つ新世代モデルも隆盛を誇ることになった。

 ここでは、そんなオープンカーたちの歴史を振り返り、それぞれの定義を再確認してみることにしよう。

●スパルタンなロードスター/スパイダー

ロードスター:ジャガー「XK120」ロードスター:ジャガー「XK120」

 自動車の黎明期に近い1910年代から、特にアメリカでは複数のブランドで使用された「ロードスター(Roadster)」は、スポーツ用の馬、ないしは速さを重視した軽装馬車から転用された英語とされる。

 そして自動車の分野では軽量化を最優先した、スポーティでスパルタンな2座席オープンを指す。

 第一次世界大戦後のイギリスから欧州にも広がったロードスターは、オープン時のスタイルがデフォルト。ウインドスクリーンは、取り外し式ないしは前方に倒せる可倒式。

 サイドウインドウも気密性に優れた巻き上げ式ではなく、取り外し式の「サイドスクリーン」とされ、実用性や対候性は二の次と割り切られていた。

 また、ロードスターでもとくに速いモデルは「スピードスター(Speedster)」と呼ばれ、1910−30年代のアメリカで流行したのだが、第二次大戦後には独ポルシェのモデル名として、半ば専売特許のごとく認知されている。

 一方イタリア車に代表される「スパイダー(SpiderないしはSpyder)」は、元来ロードスターの仲間である。スピードスターから変化した、あるいは「もっと速く走る」という意味の「Speeder」をイタリア風に発音した、さらには地を這うような低いスタイルが、クモを連想させるものだった……などの諸説が存在するようだ。

 加えて戦後イタリアのレーシングスポーツカーの世界では、ソフトトップを最初から意識しない「バルケッタ(Barchetta:小舟)」も、一連のフェラーリ「テスタロッサ(250/500)」などの有名どころから、また、日本のファンからは「虫」と呼ばれるフィアット量産車ベースの小型レーシングカーに至るまで、数多くの名作が製作されている。

●快適性重視のカブリオレ/ドロップヘッド・クーペ

 もともと「カブリオレ(Cabriolet)」とは、1頭立て2人乗りオープン軽装2輪馬車を指すフランス語から転じた言葉で、現在では英語にも転用。また、特にドイツ車では「カブリオ(Cabrio)」と称される例も多いようだ。

 20世紀のカブリオレは、スポーツカーばかりでなく、おとなしい実用ファミリーカーにも数多く設定された。

 イギリスでは特に「ドロップヘッド・クーペ(Drop Head Coupe:ヘッドが降りるクーペ)」と呼ばれるように、クローズ時のスタイルがデフォルトとされるカブリオレでは、雨や寒さにも負けない対候性を最重要視。気密性の高い巻き上げ式のサイドウインドウと、裏地を張った分厚い幌を特徴とする。

 しかしその代償として、オープン時には畳んだトップがかさ張ったり、古い時代のモデルでは重い幌のテンションを確保するために馬車のような「ランドー・ジョイント」を装着するなどしなければならなかったのだが、それをデザイン上のアクセントとして活用し、かえって魅力的に見せているカブリオレやドロップヘッド・クーペたちも少なくない。

 また、このカテゴリーのモデルに属するフランス車の一部、例えばシトロエンDSシリーズなどでは「デカポタブル(Decapotable)」と称する例も存在した。

■よく聞く「コンバーチブル」や「タルガトップ」とは?

 主にアメリカから発生したとされる「コンバーチブル(Convertible)」の呼称は、その名が示すとおり、元来サルーンやクーペをベースとするオープン版を称したものとされている。

 また、イギリス車で「ツアラー(Tourer)」と呼ばれたオープンモデルたちも、このジャンルに属するといって良いものと思われる。

●ロードスター/カブリオレの資質を兼ね備えた現代的コンバーチブブル

コンバーチブル:ジャガー「EタイプOTS」コンバーチブル:ジャガー「EタイプOTS」

 しかし1960年代以降は「カブリオレ」の対候性と「ロードスター」のスポーツ性を兼ね備えた、万能型のオープンカーという意味合いが強くなってきた。

 この流れを決定づけた名作のひとつが、ジャガー「Eタイプ」だろう。「XK150」までは、オープンモデルだけでも「ロードスター」と「ドロップヘッド・クーペ」の二枚看板としてきたが、1961年にデビューしたEタイプでは、ロードスターのごとくスタイリッシュなのに、巻き上げ式のサイドウインドウを持つことで快適性も追求されたコンバーチブル「OTS(Open Two Seater)」に統一。

 12気筒エンジンを搭載したシリーズIIIでは再び「ロードスター」表記となるが、その本質は変わらなかった。

 また、コンバーチブルの本場アメリカの代表選手、シボレー「コルベット」も同様のキャラクターとなっている。

 そしてこの現代的コンバーチブルの特質は、ユーノス/マツダ「ロードスター」やアルファロメオ「スパイダー」など、それぞれ異なる由来から発生したネーミングが与えられたモデルたちにも息づき、確実に現代のオープンカーにおける主流となっているのだ。

●取り外し式/可動式ハードトップを持つオープンモデル

電動ハードトップ:メルセデス・ベンツ「SLK」電動ハードトップ:メルセデス・ベンツ「SLK」

 1970年代の初頭から、北米を中心に吹き荒れた安全問題の余波を受け、フルオープンカーはごく一部の例外を除いて一時的に衰退。代わって登場したのが、デタッチャブル(取り外し可能な)トップ、別名「タルガトップ」を持つセミオープン車である。

 この分野の先達であるポルシェ「911タルガ」が1967年に登場したのち、1960年代のフェラーリ製レーシングプロトタイプのイメージを投影した「ディーノ246GTS」などの名作が誕生し、大衆向けの小型スポーツカーでも、フィアット「X1/9」のようなヒット作が登場した。

 また1935年に登場したプジョー「401エクリプス」や1957年のフォード「スカイライナー」で採用された電動格納式ハードトップは、スペース効率の問題で一旦消滅するものの、画期的な折り畳み機構を持つメルセデス・ベンツ初代「SLK」やプジョー「206CC」の登場で再ブレイク。

 2000年代初頭には、スポーツカー以外のジャンルでもオープンカーの主流となった。

 その一方で、フェラーリ「575スーパーアメリカ」やルノー「ウインド」など、反転型の電動ルーフを持つユニークなオープンモデルも今世紀初頭に誕生したものの、残念ながらその後の採用例は見られないようだ。

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