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「最新は最良」ってホント? ポルシェ「911カレラS」をガチ試乗【動画あり】

くるまのニュース / 2020年8月28日 11時50分

プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩氏による、オーナー目線のインプレッション。今回は、ポルシェ992型「911カレラS」インプレをお届けしよう。

■変わってないようで大きく変わった!? 992型「911カレラS」

 ポルシェ「911」の8代目となる992型「911カレラS」のインプレッションをレポートしよう。

 現在、2世代前となる997型「カレラ」と「カレラS」を気に入り、プライベートでもよく運転しているが、最新モデルを試乗する機会は久しぶり。試乗した911は、セラミックコンポジットブレーキも装備。それでは早速、外観から見ていこう。

 ボディラインは代を重ねるごとに洗練されつつも、風格はいまなおTHE・ポルシェ、ひとめでわかる出で立ちだ。

 立ち気味のフロントウインドウから後ろへルーフを伝って流れるように降りていくラインは、リアタイヤ周りのボリュームあるふくよかなラインへつながっている。

 ヘッドライトの張り出し具合も、そうそうこれくらい起こしてこそ911である。しかも点灯させると主張が凄い。煌々と輝く片目4つずつの光源は、遠くから見ても「お、新型が来たな~」とすぐに認識できるほどだ。

 リアを見てみると、一本スパッと繋いだテールランプのデザインはどうだろう? ここは好みが分かれるのではなかろうか。

 バンパーに埋め込まれたエキゾーストエンドにも一体感があるが、リプレイスマフラーにする場合どうしたものかと、チューニング屋としては一考させられる。

 そしてガパッとせり上がるリアスポイラーの大きさたるや。パネルまるごと開いているかというくらい大きくなったので、これはダウンフォースが効きそう。しかし閉じている時のデザインの方がカッコいいと、個人的には思う。

●アナログを残してほしい「911」のコックピット

 さて次は運転席へ。乗り降りのし易さを保ちつつ、スポーツドライビングでのホールド性も高いシートポジションの作り込みには、911の伝統が受け継がれている。

 しかしコックピット周りは随分デジタル化されたものだ。ステアリングのボタンしかり、シンプルになったセンターコンソールしかり、そしてシフトノブはどこ行った!? というくらい小振りになったモードセレクト機能のみに特化したシフトノブ、というよりシフトセレクターレバー。

 PDKだからこの大きさで差し支えないのだけども、997乗りとしては一抹の物足りなさを感じてしまう。

 極めつけはメーター周り。遂にアナログの針がセンターのタコメーターだけになった。あ、いやクロノグラフもアナログか。是非ともここは今後とも死守していただきたい。

 後はすべて液晶だが、嬉しいことに5連メーターの意匠はしっかり踏襲している。勿論ボタンをポチポチやれば水温やGセンサーやナビマップやラップタイマーなどなど、センターの大きな液晶パネルと合わせて、ここでは書ききれないくらい莫大な情報を表示してくれる。実に便利。

 便利なんだけど、ややもすると情報過多ではなかろうか。一気にあれこれ見せられても、追いつかないよ。やっぱりシンプルなアナログ5連メーターの枠が恋しい……なんて言ったら、懐古主義オヤジと叩かれてしまうか(笑)

 ちなみに後部座席はというと、当然というか相変わらずタイトなつくり。座面はまだクッション性はあるものの、背もたれ部分は薄くて硬い。

 身長168cm・標準体型の私で座れないことはまったくないが、座ったとしても15分が限界。最寄りの駅まで送ってもらうくらいが関の山だろう。

 ラゲッジスペースとしては結構な量を積める。ただし、背もたれを倒しても最奥のスペースからフラットになるわけではなく、座面との間にも空間が出来てしまう。

 安易に荷物を積んでしまうと、ブレーキングで荷物が前にゴロゴロしてしまうだろうから、うまい積載ポジションを探していただきたい。

■本当に、「最新のポルシェは最良」なのか!?

 それではいよいよイグニッションON!

 勿論キーレスなのだが、スタータースイッチはボタンタイプではなくて、キーを模したひねるタイプなのが面白い。セルが回ると一発吹け上がってエンジン始動、この時点からして既にポルシェが楽しい。荒々しくはないものの、良い音を響かせてくれる。

「911カレラS」の最高速度は308km/h「911カレラS」の最高速度は308km/h

 走り出してまず感じたのは、NA時代の水平対向6気筒らしいエンジンフィールだ。ダウンサイジングで3リッター・ツインターボとなったのに、である。

 あくまでポルシェらしく、下からトルクフル。同時に出力も一層アップしているお陰か、重量増となった車体もむしろ、軽くなったとさえ感じられるほどだ。

 サスペンションダンパーの質も高く、路面の段差もキレイに吸収してくれる。

 モードを「SPORT」にするとエキゾーストサウンドの迫力が増す。ダンパーは路面の凹凸が分かりやすい硬さになるが、決して突き上げが強くなるわけではない。

 更に「SPORTプラス」ではエンジン回転数が3000−4000rpm以上にキープされ、アクセルレスポンスもリニアに。サウンドも荒々しく燃費も悪くなる一方なので、街中では「SPORT」モードまでが現実的だろう。

 ペースを上げていく程に改めて驚かされるのは、450psのパワーもさることながら、ハンドリングの出来だ。ノーマルモードでの快適な乗り心地を生むストロークがあるはずなのに、旋回荷重を高めていってもロール感はほとんど出ない。

 どうやっても接地感が失われない完璧さ。これは非常に丹念に作り込まれた足回りであることの証明でもある。ひと昔前は両立できなかった快適性とスポーツ性を併せ持つのは、電子制御ならではだ。

●ダイヤルひとつでいろんなキャラクターを楽しめる!

 モード切替で選べるキャラクターの広さは、997型以前の世代の911でたとえるならば、「カレラ」から「GT3」までの幅があるといっても過言ではない。

 オプション装備のセラミックコンポジットブレーキのストッピングパワーは強大だ。ある程度熱が入っていれば、一挙に立ち上がる。

 現代のカーボン製ブレーキディスクは柔らかな初期タッチからも効いてくれるので、街乗りでの扱いにもシビアさはない。ただし消耗品であるブレーキディスクに135万円という価格は、なかなか高額ではあるが、サーキット走行を視野に入れるなら、ぜったいに欲しい装備だ。

 なお、ついに先代モデルの991型からアイドリングストップがノーマルモードで備わっている。ポルシェも時代の流れには逆らえないかと思いきや、広報車の911カレラSには、前車追従型のオートクルーズ(アダプティブ クルーズ コントロール)は装備されていなかった。あくまでドライビングは楽しむもの、という911の矜持を感じられるが、もし必要とあらば28万4000円(消費税込)で装備してもいいだろう。

 ひとつネガを挙げるとすれば、それはボディサイズだろう。数値上では僅かではあるが、歴代911でもっともビッグだ。全長はついに4500mmを超えた4519mm、全幅も1850mmを超えた1852mmとなった。駐車場や路地裏では左右の幅やフロントのオーバーハングに神経を使う。

 開けた道に出ればなんてことはないが、かつての小回りの効く911を知っていると、エンジンをダウンサイジングしたならボディもコンパクト化する選択肢はなかったのだろうかと考えてしまう。これまた懐古主義といわれてしまいそうだが(笑)

 あれこれオプションを装備すると、あっという間に2000万円に達してしまう8代目911。それでも、(あくまでも喩えだが)前世代のカレラからGT3までをもカバーするようなハンドリング性能を持ち合わせ、しかもそれをダイアルひとつで瞬時に切り替えられるのだから、走りの楽しさは倍増どころではない。

 そう考えると、価値にも納得。最新のポルシェが最良のポルシェとはよくいったものである。

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