最近なぜ見ない? 車の「ボディカバー」 いまなお残る需要とは
くるまのニュース / 2020年9月6日 11時10分
以前は駐車場や住宅の前に駐められているクルマなどで、よく見られたボディカバー。最近では使われる事例が減ったといわれますが、その理由は何でしょうか。そしていまなお存在する需要とはいったいなんでしょうか。
■ボディカバーにはメリットとデメリットがある
ボディカバーは、クルマのボディを保護する目的で使われるカー用品です。昔と比べると、ボディカバーを付けているクルマが減ったように思われますが、近年はどのようになっているのでしょうか。
ボディカバーは、ボンネットやフェンダーの隙間などから入り込んだホコリが堆積したところに雨が加わり、泥化することを防いでくれるのはもちろん、樹木などがある駐車場では樹液や鳥のフンの付着からもクルマを守ります。
汚れが付着しなくなれば洗車する回数を減らすことができ、クルマの維持にかかる時間と労力を減らすことができるのがメリットです。
また直射日光を受けなくなるので、ボディ塗装の劣化による退色やクリア剥がれの進行を抑えるだけでなく、ダッシュボードやドア内張り、シートなど内装パーツの色抜けやひび割れを防いでくれたり、ヘッドライトの黄ばみやくすみも防ぐことができます。
しかし、ボディカバーも埃や砂が付着することでボディの塗装を傷めてしまうこともあるため、カバー自体のメンテナンスも必要です。
さらにカバーの脱着作業や、外したカバーを収納する手間、自宅から離れた駐車場では保管や持ち帰る手間もあり、メリットばかりではありません。
雨の日にクルマを使う際に、濡れたボディカバーをどうするかという頭の痛い問題もあります。
それでも一定のニーズがあるといわれているボディカバーですが、実際に減っているのか、そのなかでどのようなドライバーたちが利用しているのでしょうか。大手カー用品販売店に聞きました。
――ボディカバーを見かけることが減ったように感じますが、販売数も減っていますか。
店舗にもよると思いますが、確実に下がっています。
一番の理由としては、ここ数年はワゴン車をはじめ車高の高いクルマの割合が増えたことで、一人では脱着が難しいことが挙げられます。
また戸建住宅の駐車スペースに保管しているクルマなら、ボディカバーを外して玄関のなかにそのまま放り投げておくこともできますが、マンションやアパートなどの駐車場ではカバーをたたんでクルマの中にしまう面倒さが敬遠されている理由だと思います。
――現在では、どのようなユーザーがボディカバーを購入されていますか。
日常的にはクルマに乗らないお客様がボディカバーを購入されています。とくに幌タイプのオープンカーでは、幌の劣化防止や雨漏り対策のためにカバーが必要と認識されているようです。
また最近では、旧車の部品や車両自体の盗難などが話題になることが多いので、旧車にお乗りのお客様からご相談をいただいたことがありました。
しかし、現在の汎用品ボディカバーではフェンダーミラーの逃げは考慮されていないので、「左右のフェンダーミラーの膨らみで、雨が降ったらボンネットの上に池ができていた」と購入後の来店時に指摘され、適合の難しさを実感しました。
タイヤやホイール、ステアリング、シートなどのパーツ盗難や、クルマ自体が盗まれにくくなるほか、車種そのものの「目隠し」のためにカバーを必要としている人がいて、ボディカバーの需要はなくなっていません。
■ボディカバーはどこに注意して選べばよいか
そこでボディカバーを選ぶ際に注意するところを聞いてみました。
――ボディカバーを選ぶ上で、もっとも注意する点はどこでしょうか。
まず大切なのは、利用するクルマのボディサイズに合ったものを選ぶことです。汎用品は商品に記載されている適合サイズより若干大きいクルマにも被せることはできますが、きつい場合だとボディラインのエッジ部分の塗装が擦れてしまいます。
そうかといって大きめのサイズにすると、台風などの強風時にはカバーが飛ばされてしまい、駐車場所の近隣に迷惑をかけてしまうこともあります。
そして、小さめでも大きめでも、とくに黒、紺、赤などの濃色車ではボディの角が擦れて細かな傷となりますので、白っぽくなりがちです。
ボディカバーを選ぶポイントとは
──価格の高い安いはどのような違いがあるのでしょうか。
傷になりにくい裏起毛タイプのカバーであれば若干は塗装の痛みは軽減できますが、万全なものではありませんし、販売価格も高くなります。
反対に低価格のカバーは、生地が薄いものが多いため劣化も早く、1年も持たないものもあるようです。
生地が薄いと軽く収納時もたたみやすいのですが、強風時に外れないように固定するベルトが数か月で切れてしまったり、夏の強い紫外線に晒された後にやってきた台風の際に、強風でカバーの生地自体が裂けて飛散してしまったりといった話もあります。
※ ※ ※
愛車を守る「ボディカバー」ですが、選ぶ際は価格だけで選ばず、しっかりした造りでクルマのサイズに合ったものを選ぶことが重要です。
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