居住性よりも見た目で勝負!? デザインを優先した軽自動車3選
くるまのニュース / 2020年9月4日 16時10分
軽自動車は、限られたボディサイズのなかで、いかに広い室内空間を確保することができるかが重要視されています。しかし、かつては居住性よりもスタイルに特化したかのような軽自動車が存在。そこで、デザインを優先した軽自動車を3車種ピックアップして紹介します。
■見た目重視の軽自動車を振り返る
現在、国内の自動車市場でもっとも売れているクルマといえば軽自動車です。なかでも、全高が高いトール系ワゴンやハイト系ワゴンに人気が集中している状況となっています。
そうした軽自動車に共通するコンセプトとして、限られたボディサイズのなかで安全性を考慮しながら、いかに広い室内空間を確保するかが挙げられます。
しかし、かつては室内空間の広さよりも、スタイルを重視したような軽自動車が存在。そこで、デザインを優先した軽自動車を3車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「リーザ」
女性をターゲットに開発されたスタイリッシュな「リーザ」
1980年代から1990年代にかけて、ダイハツの主力商品は軽ボンネットバンの「ミラ」で、実用性やスペース効率が重視されていました。
それに対し、1986年にデビューしたダイハツ「リーザ」は、軽スペシャリティカーとして開発されたモデルで、外観は全高を低くしたクーペスタイルとされ、若い女性をターゲットユーザーに設定。
外観は小ぶりなキャビンのショートルーフにより、スタイリッシュなフォルムを実現し、「プライベート感覚」や「ファッション感覚」といった感性を重視したコンセプトとなっていました。
当時は、商用車登録のバンは軽自動車税などが優遇されていたことから、リーザもトップグレードは商用車登録です。
そのため、搭載されたエンジンは550cc直列3気筒ターボと自然吸気の2種類がありましたが、ターボエンジンはバンのみとなっています。
そして、1991年には派生車の「リーザスパイダー」を発売。軽自動車規格の変更により660ccとなったリーザをベースに、ルーフ部分をカットしてソフトトップを装着した、オープン2シーターに改造されたモデルでした。
しかし、リーザスパイダーの価格が145万3000円からと高額だったため、バルブ期とはいえ販売は苦戦を強いられ、いまでは幻のモデルです。
1993年にリーザは販売を終了し、新しい軽乗用車規格専用に開発された「オプティ」にバトンタッチしています。
●スズキ「セルボ」
ファストバックスタイルが個性的な2代目「セルボ」
スズキは1971年、ベーシックモデルの「フロンテ」をベースに、日本初の本格的な軽スポーツカーの「フロンテクーペ」を発売。
高性能な360ccエンジンを搭載していたフロンテクーペですが、軽自動車規格の変更と排出ガス規制の強化もあって1976年に販売を終了します。
そして1977年にフロンテクーペのコンセプトを受け継ぎ、新規格に対応したRRのスポーツモデルとして「セルボ」が発売されました。しかし、550ccの2サイクルエンジンを搭載していたことで、排出ガス規制の強化によって次世代モデルに移行します。
そして、1982年に発売されたのが、すべてが刷新されてFFとなった2代目セルボです。
2代目セルボは初代「アルト」をベースに開発されたため、フロント部分はアルトに酷似していましたが、ボディはファストバックスタイルの2ドアクーペとされました。
発売当初に搭載されたエンジンは、29馬力の550cc4サイクル直列3気筒自然吸気のみで、1983年のマイナーチェンジで40馬力を誇るターボ車が追加ラインナップ。
スタイリッシュなフォルムの軽スペシャリティカーとして、2代目セルボは個性的な存在でしたが、1988年に3代目へとモデルチェンジされると、クーペからワゴンタイプのボディへと一新。さらに4代目ではオーソドックスな2BOXスタイルを採用しています。
なお、1983年には2代目セルボをベースにした、2シーターのピックアップトラック「マイティボーイ」が登場。荷台部分に樹脂製のカバーが設定され、見た目がセルボのようなクーペにもなるユニークなトラックとして話題となりました。
■終わり方が切ない軽自動車とは!?
●スバル「R1」
近年では希少な軽スペシャリティカーだった「R1」
スバル初の量産自動車といえば1958年に発売された「スバル360」です。マイカーを夢から現実にした偉大なクルマとして歴史を刻みました。
その後「レオーネ」シリーズが登場するまでスバルを支えてきたのは軽自動車で、数多くの車種が登場しています。
そして、2003年に5ドアハッチバックの軽自動車「R2」が発売され、その派生車として2005年に、3ドアハッチバックの「R1」が登場。
シャシやパワートレインなど、基本的なコンポーネンツはR2と共有していますが、外観はクーペのようなショートルーフのスタイリッシュなフォルムを実現しています。
また、内装は2+2のシートレイアウトとなっており、リアシートのスペースはほぼエマージェンシー用と割り切った仕様。
また、インパネなどの意匠はR2をベースとしながらもポップな配色のカラーコディネートや、シート素材に本革が設定されるなど、スペシャルティカーの要素も取り入れられています。
すでにハイト系ワゴンが主流であった軽自動車市場において、R1は久しぶりに発売されたパーソナルカーとして話題となりましたが、販売は低迷。R2と共にフルモデルチェンジすることなく、2010年に生産を終了します。
R2とR1はスバル最後の軽乗用車となり、2012年には商用車の「サンバー」の生産を終了したことで、スバルの軽自動車の歴史は幕を閉じました。
※ ※ ※
現在、販売されている軽自動車は安全装備や快適装備が充実しており、価格も高騰してしまいました。また、車重が1トンを超えるモデルも珍しくありません。
ボディサイズとエンジン以外は、小型の登録車とほとんど変わらないといっていいでしょう。
かつては庶民の足として使われてきた軽自動車。改めて原点に立ち返り、安価なモデルが欲しいところですが、安全面などを考えると、難しいのかもしれません。
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