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フェラーリバブルは崩壊した!? 「F40」の落札価格から検証する

くるまのニュース / 2020年9月12日 19時10分

新型コロナウイルスの影響により、クラシックカーのオークションに変化が見られた2020年の夏。落札価格が安定、もしくは右肩上がりだったクラシック・フェラーリにも異変が見られたのは既報のとおり。そこで、フェラーリのモデルのなかでも常に人気が高い「F40」の落札価格の推移から、トレンドを分析してみよう。

■クラシック・フェラーリのバブルは弾けてしまったのか?

 クラッシック・フェラーリのバブルが弾けて久しいといわれるが、それは本当のことなのだろうか。確かにさまざまなオークションのリザルトを見ると、落札価格は少しずつではあるが下がっているようにも思える。

 そこで今回VAGUEでは、同一モデル(フェラーリ「F40」)の同一オークションでのリザルトを、開催年ごとに比較して、本当にバブルが崩壊しているのかどうかを調べてみることにした。

 ちなみにRMオークションの2020年のモントレー・ウィーク・オークションでは、トータル・セールスは3041万2810ドル(邦貨換算約31億9334円)。

 トップセールは429万ドル(邦貨換算約4億5045万円)の2001年式フェラーリ「550GT1プロドライブ」、続く2位もフェラーリの1965年式「275GTB」で198万ドル(2億790万円)と、やはりいかに魅力的なフェラーリを出品車として探すのかが、オークショネアには重要な仕事であることが分かる。

 フェラーリF40に話を戻そう。今回同オークションの記録をさかのぼって、もっとも古いデータが見つかったのは2012年のペブルビーチ・オークションである。この時出品されたS/N:89441は1991年式で、もちろんフェラーリ・クラシケの認定を受けたモデルである。

 F40の細かい成り立ちやメカニズムに関しては、ここで詳しく解説するまでもないだろう。「288GTO」から派生した実験車の「288GTOエボルツィオーネ」をさらに進化させ、イタリア語でいうストラダーレ(ロードカー)とコンペティツィオーネ(レースカー)の中間的なキャラクターを狙ったF40は、0−100マイル(約160km/h)加速を7.8秒で加速する圧倒的な運動性能を得た。

 当時最強のライバルといえたポルシェ「959」が、さまざまな電子制御技術を搭載したのに対して、フェラーリはF40から走りに不必要な装備を廃止。最初は400台前後の限定車として企画されたが、40万ドル(邦貨換算約4200万円)という高額にもかかわらず、その人気の高さから最終的には1311台が生産されるに至ったのだ。

●MONTEREY 2012:1991年式フェラーリF40

MONTEREY 2012では、1991年式「F40」は、71万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sMONTEREY 2012では、1991年式「F40」は、71万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 2012年のペブルビーチ・オークションでの落札価格は、71万5000ドル(2012年8月為替相場平均換算約5625万円)。為替の問題はあるが、純粋にドルで比較すればまだ現在ほど、注目はあつまっていないことが想像できる。ちなみにこのモデルの走行距離は約4600マイル(7360km)だった。普段は美術品のように温度管理された部屋で保管されていたと当時の資料にあるから、コンディションは悪くはなかったはずだ。

●MONTEREY 2013:1990年式フェラーリF40

MONTEREY 2013では、1990年式「F40」は、115万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sMONTEREY 2013では、1990年式「F40」は、115万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 翌2013年には1990年式のS/N:86658が出品されている。こちらももちろんフェラーリ・クラシケの認証済み。

 走行距離はわずかに2900kmで、前オーナーによって、Tubi Style製のエグゾーストシステムが装着されたほか、クラッチ、インタークーラー、スパークプラグなどのメンテナンスがおこなわれ、さらにツールやバッグ類、ドキュメントもすべて完全に揃ったモデルだった。

 こちらの落札価格は、前年から大きく伸びて、115万5000ドル(2013年8月為替相場平均換算約1億1300万円)。F40のバブルが始まったとするのならば、このあたりがきっかけだろうか。

■2016年以降の「F40」オークションの結果はどうだったか?

 それでは、米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した2016年以降のモントレー・ウィーク・オークションでのF40の落札価格の推移を見てみよう。

●MONTEREY 2016:1990年式フェラーリF40

MONTEREY 2016では、1990年式「F40」は、126万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sMONTEREY 2016では、1990年式「F40」は、126万5000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 2016年に出品された1990年式のS/N:87123は、アメリカでのオークションでは珍しく、シリアルナンバーやkm/h表示のメーターによってEU仕様であることがわかるモデルだった。

 現在までの走行距離は2384kmと短いが、イタリアから最初にアメリカへと輸出された後、ドイツ、日本のオーナーによって管理され、最後の10年間には燃料タンク、ベルト類、スパークプラグなどを交換。実際のコンディションは非常に良好で、新しいオーナーを失望させることはないだろうとRMオークションは追記している。

 落札価格は126万5000ドル(2016年8月為替相場平均換算約1億2800万円)。前年とほとんどかわらない数字だけに、このあたりでF40は高止まりではないかという声も多く聞かれた。

●MONTEREY AUGUST 2017:1991年式フェラーリF40

MONTEREY 2017では、1991年式「F40」は、154万ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sMONTEREY 2017では、1991年式「F40」は、154万ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 だがその予想に反して、F40バブルはまだまだ続いたのである。2017年に出品された1991年式のS/N:87895は1991年1月に出荷され、ウインドウのステッカーやディーラーの検査チェックシートまでがそのまま残る、完全なオリジナルコンディションであった。

 オプションのエアコンや電熱線入りのフロントウインドウを備えるなど、実用性も高かった。走行距離は2802マイル(4483km)。もちろんその人気は高く、結果的に落札価格は154万ドル(2017年8月為替相場平均換算約1億6900万円)にまで達したのである。

●MONTEREY 2018/2019:1990年式/1991年式フェラーリF40

MONTEREY 2018では、1990年式「F40」は、171万ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sMONTEREY 2018では、1990年式「F40」は、171万ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 2018年に出品された1990年式のS/N:87041、そして2019年に姿を現した1991年式のS/N:87568も、いずれもわずかに2720km、2728kmという走行距離とコンディションが評価され、各々171万ドル(2018年8月為替相場平均換算約1億9000万円)、168万2500ドル(2019年8月為替相場平均換算約1億7900万円)で落札された。

 特に前者は2008年のオークションで、世界で最も高価なF40として販売されたモデル。その記録が破られたかどうかの発表はなかったが、新車同様のコンディションは、それに値するものといえた。

●SHIFT MONTEREY 2020:1991年式フェラーリF40

SHIFT MONTEREY 2020では、1991年式「F40」は、138万6000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sSHIFT MONTEREY 2020では、1991年式「F40」は、138万6000ドルで落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 そして新型コロナウイルスの関係から、オンライン・オークションとなった2020年も、F40の名前はRMオークションのロットにあった。

 走行距離が6407マイル(1万251km)と大きかったのが敬遠されたのか、それとも今後の経済の不透明さが影響したのかは不明だが、1991年式のS/N:87627の落札価格は138万6000ドル(2020年8月為替相場平均換算約1億4700万円)止まりだった。

 だがこれをもって、F40バブルの崩壊というのは時期尚早だろう。F40はフェラーリのファンにとっても特別な存在。それは誰もが知っていることであるし、その価値はこれまでのオークション市場での落札価格に、なによりも明確に表れているのだから。

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