4億6000万円で落札!! 最も高価な「ミウラ」は「イオタ」エンジンを搭載していた!
くるまのニュース / 2020年9月9日 19時10分
スーパーカー少年だった世代の憧れの1台、ランボルギーニ「イオタ」。この正真正銘のイオタのエンジンを搭載した「ミウラ」がオークションに出品。驚きの落札価格とは?
■「ミウラ」史上、最高落札価格で落札された理由とは?
アメリカのオークショネア、グッディング&カンパニーは、新型コロナ感染症の影響で延期されていたオークション、「パッション・オブ・ア・ライフタイム」を、同社としては初めてアメリカ国外で開催した。
会場となったのは、イギリス、ロンドン郊外のハンプトン・コート宮殿。かつてヘンリー八世やチューダー王朝の住居であった歴史的な会場での開催であった。
オークションはコンクール・デレガンスに併催しておこなわれ、グッディング&カンパニーの社長兼創立者のデビッド・グッディング氏は、「ハンプトン・コート宮殿のコンクール・デレガンスで、パッション・オブ・ア・ライフタイムを開催できることは、我が社にとって大きな名誉です」と語っている。
ボディはレッドに全塗装されていたが、レストア時に新車時のゴールドに戻されている(C)2020 by Gooding & Company Inc.
実際にハンプトン・コート・パレスのフォーマル・ガーデンに展示された出品車はわずかに15台。だがその15台はいずれも最高品質のコレクターズ・カーといえるもので、エスティメート(予想落札価格)が100万ポンド(邦貨換算約1億4000万円)を超えるものだけでも、その台数は9台を数える豪華なラインナップだった。
これらの出品車のなかでわれわれVAGUEが注目したのは、エスティメートが160万−200万ポンド(邦貨換算約2億2400万円−2億8000万円)とされていた、1971年式のランボルギーニ「ミウラP400 SVスペチアーレ」だ。
わずかに150台のみしか生産されなかったミウラの最終進化型、「SV」。ミウラのなかでもSVには大きな価値があり、ここ数年で市場での価格が驚くほどに高騰していることは、ランボルギーニのファンならば誰もが知るところだが、それにしても200万ポンドに迫る予想落札価格は常識を超える。もちろんそれには確たる理由があるのだ。
その理由は、このP400 SVに搭載されるパワーユニットにある。S/N:4878のリアミッドのエンジンは、かつてランボルギーニにメカニックとして、またテストドライバーとして在籍していた、故ボブ・ウォレスが勤務時間外に自分の趣味的な1台として製作した「J=イオタ」に搭載されていたエンジンそのものが搭載されているのだ。
■「イオタ」のエンジンがなぜこの「ミウラ」に!?
パワーユニットの特徴は大きく分けてふたつ。
ドライサンプの潤滑方式と、LSDの装備である。
そもそものJ=イオタは1970年にランボルギーニから、イタリアのミラノに在住するカスタマーへと売却されるが、その後何人かのオーナーの手を経るなかで、クラッシュし、全損してしまう。
約4億6000万円で落札された1971年式のランボルギーニ「ミウラP400 SVスペチアーレ」(C)2020 by Gooding & Company Inc.
その時にランボルギーニに引き取られたイオタから回収されたエンジン(NO:30664)が、今回パッション・オブ・ア・ライフタイムに出品されたP400 SVのエンジンルームに収められているというわけだ。
さらにオイルクーラーの新設やシングルタイプのディストリビューターの装備など、エンジンルーム内の光景はオリジナルのP400 SVミウラとは、かなり異なったものに見える。
新車時にゴールドだったボディーカラーは、一度レッドへと改められるが、2003年に開催されたランボルギーニの創立40周年イベントへの参加を目標に、再びランボルギーニのレストア部門でゴールドに戻されている。
それと同時にエンジンやシャシもベストな状態へとレストアされた。もちろんその時のコンディションは現在でも健在だ。
パッション・オブ・ア・ライフタイムでは、2番目のロットとして登場したこのミウラP400 SVスペチアーレ。オンラインでも可能な入札は、予想落札価格の200万ポンドを超えても終わる気配を見せなかった。
世界がざわつき始めたのは、おそらくはその頃からだろう。このスペチアーレ=特別なミウラは、いったいいくらで落札されるというのか。入札は300万ポンド(邦貨換算約4億2000万円)のラインをついに突破した。
オークションが終了したのは、入札価格に320万7000ポンド(邦貨換算約4億6000万円)が表示された時だった。それはおそらく、オークション市場におけるミウラの最高落札価格だろう。
はたして本物のイオタがクラッシュすることなく、現在もまだそのままの状態で生き残っていたとしたら。どれほどの価値を生み出していたのだろうか。スーパーカーファンならずとも、想像せずにはいられないオークションシーンだった。
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