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登場当時は大衆車だった!? メルセデス「Eクラス」の深くて長い歴史とは

くるまのニュース / 2020年9月15日 12時5分

2020年9月10日に日本に上陸した、メルセデス・ベンツ改良新型「Eクラス」。日本においてもメルセデスの中核となるモデルで、2017年の登録台数は1万3262台と輸入車第4位、2018年は1万454台と第5位、そして2019年は7285台と9位にランクインしている。メルセデスの代表的ミドルサイズモデルとして世界中で人気のEクラス、その歴史を紐解く。

■メルセデスのミドルクラスには長い歴史がある

 2020年9月10日、メルセデス・ベンツの中核モデルとなる「Eクラス」の新型が日本で発表された。

 ただし、このモデルはまったくの新型ではなく、2016年から発売されているモデルの大幅刷新版だ。

 エクステリアはヘッドライトやグリルが変更になり、さらにAMGラインエクステリアが標準装備となり、よりシャープでダイナミック、そしてスポーティな印象を強くしている。

 インテリア系での大きな変更は、新世代ステアリングホイールの採用。そしてMBUXに、日本初となるARナビ機能を追加。車両前方の現実の景色と進むべき進行方向を示す矢印が同時にナビ画面上に表示されるようになっている。

 また先進運転支援系もメルセデス・ベンツの最新のシステムとなっており、機能面でも着実な進化を見せている。

 メルセデス・ベンツEクラスの特徴は、日本初のAR技術の採用など、常に時代に先駆けて最新技術を取り入れてきたことといえるだろう。その結果、メルセデス・ベンツのEクラスは、いつの時代もプレミアムセダンの指標と見なされてきた。

 今回は、Eクラスの歴史を振り返り、累計1400万台もの実績を積み重ねることができた、その理由に迫ってみたい。

※ ※ ※

 現在のメルセデス・ベンツは、「Aクラス」から「Sクラス」、またSUVは「GLA」から「Gクラス」まで、幅広いラインナップを誇る。そうしたなかで、アッパーミドルセダンであるEクラスは、まさにど真ん中といえる存在だ。

 しかし、メルセデス・ベンツの長い歴史を振り返れば、実のところEクラスより小さい「Cクラス」や「A/Bクラス」というのは、割合に最近のもの。それ以前は、ミドルクラスのEクラスと、それよりも大きなSクラスという2モデルが主力となっていたのだ。

 そして、そうしたラインナップの源流は非常に古い。その始まりは、メルセデス・ベンツというブランドが誕生する、1920年代にまでさかのぼる。

 現在のメルセデス・ベンツ(社名でいうとダイムラー)は、ダイムラー社とベンツ社という別の2社が、1926年に合弁して生まれたものだ。

 そして合弁後に生まれた最初期のモデルが「シュトゥットガルト」と「マンハイム」であった。

1930年製メルセデス・ベンツ8/38ps「シュツットガルト200」1930年製メルセデス・ベンツ8/38ps「シュツットガルト200」

 ふたつのうち小さい「シュトゥットガルト」は大衆モデルであり、より大きなモデルが「マンハイム」となる。この「シュトゥットガルト」が、いまに続くEクラスの源流であり、一方の「マンハイム」が、Sクラスへと続く高級モデルのルーツといえるだろう。

 そして、1930年代にメルセデス・ベンツは大衆モデルとして、世界初の全輪独立懸架を採用した170シリーズを発表。この170シリーズは、大きな成功をおさめ、なんと第二次世界大戦を挟んで1955年まで生産されることになる。

 モデル末期でさえ、当時のスイスの雑誌には「その性能、謙虚さ、安全性、耐久性、そして何よりも最後に、その美しさという点で、最新のクロムメッキの新型車と比較しても遜色のないクルマではなかろうか」と称賛されたという。つまり、大衆車でありながらも、優れた性能と美しさを持っていたのだ。

 その後、メルセデス・ベンツは170シリーズの後継として、1953年にメルセデス・ベンツ180(W120/W121型)を発表。セミモノコックボディを採用し、フェンダーがボディと一体となった平らなボディサイドを持ち、「ポントン」と呼ばれた。フェンダーを別体にする戦前デザインから離別したエポックメイキング的なモデルだろう。

 1960年代後半にはW114/115型が登場。このW114/115型は「ストローク8」や「コンパクトクラス」などと呼ばれ、商業的に大成功を納め、メルセデス・ベンツ初の100万台以上を販売するモデルとなった。しかし、1976年に登場したW123型は、さらに売れた。エステートを初めて追加したW123型は、270万台以上も売れるヒット作となったのだ。

■Eクラスと呼ばれるのは1993年のW124型から

 その大ヒットモデルであるW123型の後継が、1985年に誕生したW124シリーズだ。その直前となる1983年に、より小さい190シリーズ(190E)が登場したため、W124型はミディアムクラスと呼ばれることになり、車名に「E」が付く、「Eクラス」の初代モデルとなった。ちなみに、正式に「Eクラス」の称号が使われるようになるのは1993年からのことだ。

W124型メルセデス・ベンツ「300E」W124型メルセデス・ベンツ「300E」

 このモデルは、過去のメルセデス・ベンツの大衆モデルの伝統を色濃く継いだモデルであった。サイドミラーの調整は両方を電動にするのではなく、助手席側は電動にしつつも、運転手側は(手が届くだから)手動といった具合だ。華美なところはなく、質実剛健という言葉が似合った。実際に欧州ではタクシーに数多く採用されていたのだ。

 ところが、1995年に登場した2代目EクラスのW210型は違った。当時として珍しかった4灯異形ヘッドランプを採用。四角四面の旧型との決別を印象付けたのだ。

W210型Eクラス。写真は「E55 AMG 4MATIC」W210型Eクラス。写真は「E55 AMG 4MATIC」

 実際に、W210型は下に「Cクラス」という弟分が誕生したこともあり、プレミアム感がアップしていた。「クラシック」「エレガンス」「アヴァンギャルド」という名称でデザインが装備を選べるグレード編成が導入されたのも、この世代のトピックだ。

 また、EPSやトラクションコントロールなど、電子制御デバイスが次々に採用されたことも特徴だ。さらにAMGとのコラボレーションによる、ハイパフォーマンスモデルも定番化していた。

 そうした、プレミアム&スポーティ指向は、その後のW211型(2002年~)、W212型(2009年~)、現行W213型(2016年~)でも継承されている。

※ ※ ※

 振り返ってみれば、Eクラスという名称が使われるまでのメルセデス・ベンツのミドルセダンは、先進技術をいち早く採用しながらも、どちらかといえば保守的な印象の強いクルマであった。価格は高いものの、質実剛健さが売りでもあったのだ。

 しかし、Eクラスとなった後は、プレミアムカーとしての側面を強化。そして、それが受け入れられることで、現在のような高い人気を獲得することができたのだろう。

 先進性と高い技術を上手に見せるプレミアムな演出。これこそが、最近のEクラスの成功の秘訣ではないだろうか。

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