トヨタ「ヤリス」に3つの死角!? 補うのは兄弟分の「ヤリスクロス」か
くるまのニュース / 2020年9月17日 14時10分
2020年9月現在、トヨタの新型SUV「ヤリスクロス」が話題沸騰中です。そのベースともいえるのがコンパクトカーのトヨタ「ヤリス」ですが、ヤリスには3つの死角があるといいます。それは、どのような部分なのでしょうか。
■トヨタ「ヤリス」の3つの死角とは
2020年2月、フルモデルチェンジを機に3世代20年間にわたり親しまれた「ヴィッツ」から改名したトヨタのコンパクトカー「ヤリス」。発売された今年2月以降、4月、5月、7月、そして8月と登録車の販売台数トップとなるなど大成功を収めています(6月はトヨタ「ライズ」に1856台の差をつけられ2位)。
販売面で高い人気を得ているヤリスですが、たしかに走りのレベルの高さや燃費など高く評価できるポイントの多さに納得です。しかしいっぽうで、死角はないのでしょうか。実際に乗って感じた、3つの気になるポイントをお伝えしましょう。
まずはスペースに関してです。ライバルのホンダ「フィット」が後席の広さや居心地、実用性をアピールするのに対し、ヤリスのそれは広くありません。
大きな目的は空気抵抗の低減や車体の軽量化による燃費や走行性能のアップと思われますが、ホイールベース短縮やキャビンの絞り込みが大きくて後席スペースを狭めているのです。
ヤリスはフルモデルチェンジ前のヴィッツに対してホイールベースが40mm短くなった結果、前後席間距離も37mm狭まり足元スペースが減少。またキャビン上部も大きく絞り込まれているので頭上の閉塞感が増しています。
つまりは、後席スペースは明らかに狭くなりました。それはいい換えれば、前席の優先度が増し、対照的に後席を頻繁に使うファミリーカーとしての実用性は控えめになったといえるでしょう。
次に感じたのはインテリアの質感です。
従来のヴィッツに比べると全体的にアップしているうえ、上級グレードのステアリング周りやエアコン操作パネルなど納得できる質感となっている部分もあります。
しかしライバルや軽自動車のクオリティアップが著しい昨今の状況を考えると、ダッシュボードをはじめとするパネルなどはもうひと頑張りあってもいいと感じました。
コストに直結する部分などで難しいところではありますが、もう1ランク上がるとユーザー満足度も高まるのではないでしょうか。
もうひとつは、クルーズコントロールです。ヤリスには1リッターエンジン搭載車を除きACCを標準装備。ACCとは「アダプティブ・クルーズ・コントロール」の略で、高速道路においてセットした速度を上限に、ドライバーがアクセル操作をしなくても前を走るクルマにあわせて速度を自動で調整してくれる機能です。
これが標準で付いていること自体がひと昔前のコンパクトカーから考えれば信じられないことですが、残念なのは渋滞対応ではないので速度が時速約30キロを下まわるとシステムの作動がキャンセルされてしまうこと。
ライバルの「フィット」は渋滞時の完全停止や停止保持までサポートしてくれること(「マツダ2」でも完全停止まで面倒を見る)、そして昨今は軽自動車のスーパーハイトワゴンでも渋滞対応が当たり前と考えると残念です。
この3点はヤリスの購入を検討するのであればぜひ知っておいて欲しいポイントといえるでしょう。もちろん、知ったうえでヤリスを選ぶのという判断でもいいと思います。
しかし、そのうえでお伝えしたいのが、ヤリスの兄弟ともいえるクロスオーバーSUVモデル「ヤリスクロス」の存在。
ヤリスクロスをヤリスと比べると、荷室だけでなく後席も広くなっていてファミリーユーザーにも適したパッケージングだと理解できます。
トヨタは、ヤリスをコンパクトにまとめる一方で、実用性を高めたヤリスクロスを用意することでファミリーユーザーなど使い勝手を求める層にはそちらで対応する戦略をとっているのです。
そのうえヤリスクロスでは、ACCも渋滞、そして完全停止時はドライバーがブレーキペダルを踏まなくても停止保持までおこなう高機能版を搭載(そのため電動パーキングブレーキも採用)。ヤリスにおける機能面でのウィークポイントがしっかり解消されています。
トヨタはヤリスファミリーとして新たにヤリスクロスを用意しましたが、単に専用ボディで車高を上げただけでなく、ハッチバックのヤリスとは使い勝手面でしっかりキャラクター分けを実施。
その巧みな棲み分けは、知れば知るほどさすがといえます。走行性能や燃費でライバルを圧倒するハッチバックのヤリスと、実用性でユーザーの期待に応えるクロスオーバーSUVとなるヤリスクロスの2本柱とすることで、コンパクトカーセグメントで他社をリードするための盤石の体制を築き上げたといえるでしょう。
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