ワゴン需要減少でもなぜ新型投入? スバルが「レヴォーグ」を刷新する狙いとは

くるまのニュース / 2020年9月22日 7時30分

国内市場ではSUVやミニバンの人気が高まるとともに、ワゴンの需要は低下し、国産車のラインナップも減少しています。そんななか、スバルはワゴンの「レヴォーグ」をフルモデルチェンジします。スバルが新型モデルを投入する狙いは、どのようなことなのでしょうか。

■ワゴンが下火でも、なぜスバルは新型モデルを投入する?

 かつてのワゴン(正確にはステーションワゴン)は、車種数も多く、相応に人気の高いカテゴリでした。

 しかし近年になると、国内では車内が広いミニバンが人気を集め、ワゴンの売れ行きは下がりました。北米ではSUVの需要が増して、同様にワゴンが下火になっています。

 その結果、国産ワゴンは次々に廃止。トヨタ「カルディナ」「マークIIブリット」、日産「アベニール」「ステージア」、ホンダ「アコードツアラー」など、すべて過去のクルマになっています。

 現在販売されている国産ワゴンは、トヨタ「プリウスα」や継続生産型の「カローラフィールダー」を加えても、合計6車種程度です。

 このような状況で、ミドルサイズワゴンのスバル「レヴォーグ」がフルモデルチェンジを実施します。

 新型レヴォーグは2020年8月20日に先行予約を開始して、10月15日に正式「発表」をおこない、11月27日に納車を伴う「発売」となります。

 先行予約の開始から発売までに3か月もあると、メーカーにとっては売れ筋動向が分かって生産効率を高められますが、ユーザーは納車まで延々と待たされます。

 こういった売り方には疑問がありますが、ワゴンの車種数が減っている現状を考えると、新型レヴォーグは貴重な新型車でしょう。

 ワゴンが売れない時代ですが、スバルがレヴォーグをフルモデルチェンジするのはなぜなのでしょうか。

 スバルの開発者は次のようにいいます。

「レヴォーグは、『より遠くまで、より速く、より快適に、より安全に』というスバルのグランドツーリング思想と、『レガシィツーリングワゴン』の血統を受け継ぐクルマです。

 日本のお客さまに向けた商品として開発され、いまでは国内で売られるスバルの中心的な存在に成長しました。そのためにレヴォーグは進化を続けます」

 ワゴンの人気が下がった現在でも、レヴォーグがフルモデルチェンジをおこなう背景には、大きく分けてふたつの意味があるのでしょう。

 まずは開発者がコメントした通り、レヴォーグがレガシィツーリングワゴンを含めたスバルの伝統を受け継ぐ車種であることです。

 スバルは1966年に水平対向エンジンを搭載する「スバル1000」を発売して、1972年には「レオーネ」のエステートバンに4WDを設定。

 1981年には、レオーネにツーリングワゴンが登場して、水平対向エンジン+4WD+ワゴンという組み合わせが築かれました。

 その後、レオーネは熟成を重ね、1989年にはレガシィに発展。レガシィツーリングワゴンが新たな進化を開始しました。

 このようなスバルの営みを継承する車種がレヴォーグなので、いわばブランドの根幹に位置する存在です。やめるわけにはいかないでしょう。

■スバルのラインナップで中心的な存在になったレヴォーグ

 もうひとつの意味は、スバルの車両開発コンセプトに、ワゴンというボディ形状が適していることです。

 先の開発者の言葉にあった「より遠くまで、より速く、より快適に、より安全に」は、スバルの全車種に通じる考え方でもあります。

歴代レガシィツーリングワゴンと新型レヴォーグ歴代レガシィツーリングワゴンと新型レヴォーグ

 そして「速く、快適に、安全に」走るには、低重心で左右に振られにくいクルマ造りが求められます。この条件に合ったボディタイプは、ルーフの低いセダンやワゴン、クーペです。

「より遠くまで」という要素も加えると、荷物を相応に積める使い勝手の優れた荷室も必要です。アクティブな雰囲気まで含めて、ワゴンボディが相応しいわけです。

 スバルがワゴンに力を入れる意味は、欧州車を見ても分かります。

 前述の通り、日本と北米ではワゴンの車種数が大幅に減りましたが、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンといった欧州車には、いまでもワゴンが豊富に用意されています。

 欧州車にワゴンが多い理由は、低重心のボディにより、積載性に優れたクルマは走行安定性と乗り心地を高く保ちやすいからです。

 欧州では日常的に高速走行をおこなう機会があることから、ほかの地域以上に優れた安定性が求められます。

 そのためSUVが普及した現在でも、欧州ではワゴンの支持が厚く、日本にも豊富なラインナップが輸入されています。

 そしてスバルの場合、2008年に3列シートミニバンの「エクシーガ」を発売しましたが、売れ行きは伸び悩み、SUVの「クロスオーバー7」に発展させても低迷して終わりました。

「レガシィアウトバック」は、北米のニーズに合わせてボディが拡大し、国内では売れ行きを下げています。

 そうなるとスバルとしては、ミドルサイズワゴンのレヴォーグが自ずから中心的な存在になるのです。

 スバルにはミドルサイズカーの標準ともいえる「インプレッサ」、そのSUV仕様になる「XV」、本格SUVの「フォレスター」、スポーツセダンの「WRX」、スポーツクーペの「BRZ」もありますが、スバルの考え方をもっとも色濃く反映させた主力車種はレヴォーグだといえます。

 ワゴンの需要がミニバンなどに押されて下がったのは事実ですが、車種の数はそれ以上に減ってしまいました。

 その結果、国産ワゴンを好むユーザーの視線は、設計の新しいミドルサイズワゴンのレヴォーグと、コンパクトなカローラツーリングに向けられています。

 ライバルになるワゴンが減ったいまだからこそ、レヴォーグにとっては売れ行きを伸ばすチャンスで、力の入った開発をしているともいえるでしょう。

 レヴォーグが新型になった背景には、いろいろな理由とスバルの思惑があるのです。

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