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トーヨータイヤの新スタッドレスはどう進化? 女性レポーター竹岡圭が乗ってみた

くるまのニュース / 2020年10月3日 11時50分

今シーズンに新しく誕生した乗用車用スタッドレスタイヤが、トーヨータイヤの「OBSERVE GIZ2(オブザーブ・ギズツー)」だ。13インチから18インチまで、45シリーズから80シリーズまで全23サイズを用意する新スタッドレスタイヤだが、実際乗ってみてどうなのか。モータージャーナリスト竹岡 圭氏がレポートする。

■さまざまに変化する日本の冬道に対応した最新スタッドレス

 最近の日本の天気は正直いってよくわかりません。梅雨が長かったり、夏が暑かったり、スコールのような雨が降ったり、竜巻が起きたり…。ということは、冬だってどんな天気になるのか、予想がつきにくいということになります。

 そんな日本の冬に合わせて、トーヨータイヤから新しいスタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2 (オブザーブ・ギズ2)」が発売されました。

 これまでは「オブザーブ・ガリット・ギズ」という名前でしたが、6年ぶりのフルモデルチェンジで「ガリット」という名前が取れたので、より新モデルになったということがわかりやすいと思います。

 さて、6年ぶりのフルモデルチェンジのポイントはどこなのかといいますと、大きなポイントはこちらです。

 まず、最近のスタッドレスタイヤに求められる傾向として、●雪道でしっかり効くこと ●アイスバーンでもしっかり曲がれて止まれること ●春先のシャーベット路面でも安心して走れること ●数年経ってもしっかり性能が維持されていること、というのが大きくクローズアップされています。

 そのなかでもとくに最近は、降雪地域でも気温や路面温度が高めなので、シャーベット路面やウェット路面の状態が多い、という特徴が挙げられます。

 つまり、そのような水分が多い雪道状態の刻々と変化する路面でも、いつも安心感を持って走ることができる、しっかり対応してくれるような性能が求められているので、このニーズに合わせた進化を遂げたというわけです。

 そのニーズに対応する性能を出すため、今回はおもにふたつのポイントが進化しました。まずはコンパウンド。これはわかりやすくいうと、ゴムの成分だと思ってください。そしてパターン。これはタイヤの溝や柄だと思っていただくとわかりやすいです。

 ではコンパウンドからいきましょう。トーヨータイヤのスタッドレスは、もともと従来型のオブザーブ・ガリット・ギズのころから「密着・ひっかき・吸水」の3つの性能にこだわってコンパウンドを開発してきましたが、今回はそのなかでも密着にグーンとクローズアップ。

「NEOゲル」という、低温でもゴムを柔らかくし、高いアイス・スノー性能を実現するものを混ぜ込みました。これによって、より路面にピタッと密着するようになり、さらに数年を経ても硬くなりにくいという性能も、合わせて一度に手に入れたというわけです。

 もちろん、路面の水膜を瞬時に吸収する「NEO吸水カーボニックセル」や、氷より硬くアスファルトより柔らかいという絶妙な硬度を持つ鬼クルミの殻も健在。

 さらにシリカを増量し「グリップポリマー」という同じくゴムを柔らかく密着させる成分と上手く混ぜ合わさることで、ウエットグリップ性能も引き上げてられています。

 続いて、パターン。いちばん大きなポイントは、3本主溝の非対称新パターンが採用されたこと。これによって、横(幅)方向に大きな横溝をたくさん入れることができました。効果としては、アイスやスノー路面でのトラクション性能に効果を発揮。グッと走り出す力、蹴る力を強くしてくれるというわけです。

TOYO TIRESの新スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2(ギズツー)」のトレッドパターンTOYO TIRESの新スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2(ギズツー)」のトレッドパターン

 また、バットレス部(ショルダーからサイド方向にかかる部分)に、多方向のエッジ効果によりワダチ路面の走行性を向上させるバットレスエッジを、そしてショルダーブロック部に入れられた、ジグザグなスリット形状を施したバイティングエッジも新しいポイントです。縦方向のエッジ効果を高める、トレッド部の3連ブロックもそうです。

 さらにトレッド部には、タイヤに負荷が掛かっても、真ん中の厚いサイプ(溝)が倒れこんだり、閉じこまないように工夫された吸着3Dサイプを施し、エッジ効果はもちろん、グッと除水効果も高めています。

■従来型よりも全体的に性能が向上している

 そんな進化のおかげで、性能がデータ的にどうなったかといいますと、まずはアイス路面での制動性が約8%向上したそう。私の体感的には、ブレーキをトンッと踏んだ時の最初の制動力、つまり初期制動力が大きく立ち上がってくれるので、結果的に短く止まるように感じました。

モータージャーナリスト&タレントの竹岡 圭さんのレポートですモータージャーナリスト&タレントの竹岡 圭さんのレポートです

 また、その際の方向性もバッチリで、車体がちょっと斜めに傾いた状態でブレーキをかけても、方向性がブレないから安心だったんです。安心してブレーキが踏めるというのは、とくにアイスバーンでは大きなポイントになります。

 ちなみに止まる時の感触は、従来型のガリット・ギズのほうが、引っかかって止まるような感じが強かったので、新型のギズ2は、氷を掻いて止まっている感は少ないかも。反面、乗り心地はとってもよくなりました。

 また幸か不幸か試乗した日は、徐々にアイス路面の温度が上がってきて、シャバシャバ状態になってきてしまったため、約10%向上したというウェット制動性や、旋回ハイドロプレーニング性も試すことができました。

 つまりかなり水分が多くなっても、安心して止まれることがわかったわけです。

 そしてスノー性能ですが、データ的にはほぼ変わらないということでしたが、確かに発進性能はさほど変わらないものの、やはり縦方向のトラクション性能が上がっていて、全体的にスピードを乗せられる、またスピードが上がった時も安心感が高まっていました。

TOYO TIRESの新スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2(ギズツー)」の走行シーンTOYO TIRESの新スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2(ギズツー)」の走行シーン

 コーナリングでも姿勢の収まりがよいのが相乗効果となってコントロール性も高く、さらに乗り味の滑らかさが際立っていて、全体的にワンランク上の高級なタイヤを履いたようなイメージが伝わってきました。

 つまり、走る曲がる止まる際に、引っ掛かり感をしっかり伝えることで、ドライバーに安心性能を与えていた先代に比べ、新型は全体的に収まりがよく、マイルドだけれど安心して走れるようになったため、突然の気候の変化や路面の変化でも、同乗者も安心してくれるようなタイヤに進化したというところでしょうか。

 みんなが安心して冬道を楽しめるって、いちばんイイコトだと思います。コロナ禍で、クルマで出かける機会が増えているいまだからこそ、とくに冬道に不慣れだという人は、しっかりとスタッドレスタイヤを選んでください。

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