コロナ前後で移動に変化あり? その影には「スマートIC」の影響 渋滞解消・雇用創出の効果も

くるまのニュース / 2020年10月8日 9時10分

新型コロナウイルスによって人々の移動に関する考え方が変わりましたが、ナビアプリ「Yahoo!カーナビ」の調査によれば、目的地に変化が見られたといいます。その影には近年増加しているスマートICの影響があったようですが、どのような影響があったのでしょうか。

■御殿場ICの渋滞が5割以上減少。救急搬送も5分短縮

 2020年9月の連休は、全国各地で高速道路の大渋滞や観光名所の混雑が話題となりました。
 
 ナビアプリの「Yahoo!カーナビ」や「NAVITIME」が発表した9月連休時期の「目的地ランキング」において、1位はいずれも御殿場プレミアムアウトレット(静岡県御殿場市)でしたが、その影には「スマートIC」の影響もあったようです。

 Yahoo!カーナビによると、コロナ前の2019年9月の連休に目的地として検索された場所は、1位が東京ディズニーランド、2位が御殿場プレミアムアウトレットとなり、それ以降には成田や羽田の空港が多くランクイン。

 しかし、コロナ後の2020年9月では前述の通り、1位は御殿場プレミアムアウトレットとなり、以降も全国各地のアウトレットがランクインする結果となりました。

 そのなかで、今回1位となった御殿場プレミアムアウトレットは、2020年でオープンから20年を迎えますが、御殿場ICに近く箱根や富士五湖へつながる国道138号線にも近いことで、オープン当初からとくに週末は周辺道路の激しい混雑が頻繁に発生していました。

 その混雑状況に大きな変化が起こり始めたのは2019年3月。アウトレットから近い東名足柄SA内に、「足柄スマートIC」が整備されてからです。

 スマートICとは、高速道路の本線やSA・PA、バスストップから乗り降りができるように設置されるインターチェンジのことで、ETCを搭載した車両のみ利用可能となります。

 なお、足柄スマートICは東京方面からは御殿場IC手前2.6キロの足柄SAを経由して東名高速を降りられるため、混雑する御殿場ICを避けてアウトレットに向かうことが可能となり、混雑もかなり解消されました。

 足柄スマートICの開通によって混雑が緩和されてきたとのことですが、具体的にどれくらいの効果や変化があったのでしょうか。

 静岡県小山町とNEXCO中日本によると、次のような効果があったといいます。

 ・足柄スマートIC開通により、利用ICの分散が図られ御殿場ICの渋滞発生回数が5割以上減少

 ・一般道の渋滞区間を回避して高速道路へアクセス可能となり、御殿場市から高速道路(東京方面)は約6分、小山町から高速道路(名古屋方面)が約11分短縮

 ・御殿場ICの1日平均利用台数が1600台、大井松田ICが200台減少

 ・休日は平日平均の約1.7倍利用され、観光目的による利用が多い特性となっている

 ・富士スピードウェイから大井松田ICまで、足柄スマートICを利用することで休日ピーク所要時間が最大約16分短縮(富士スピードウェイの入込客数が約10%増加)

※ ※ ※

 注目すべきは救急搬送時間の短縮で、開通からの1年間で足柄スマートICが救急搬送のために使われたのは12回あり、第三次医療施設までの救急搬送時間が5分短縮。

 アクセス時間の短縮により、多量出血による死亡リスクが低減し、搬送時間短縮により、患者の負担軽減や搬送時間のずれの解消に繋がったと報告されています。

 また、混雑緩和の効果について御殿場プレミアムアウトレットを運営する三菱地所・サイモン広報部は次のように話します。

「足柄スマートICの開通が渋滞緩和の一助となっております。開通から1年半経過していますが、まだそこまで認知がされていないようですので、東京方面からのご来場の際にはぜひ足柄スマートICのご利用をお勧めします」

 なお、通行料金は距離制のためスマートICまでの距離によって変わってきます。東京から御殿場ICと東京から足柄スマートICを比較すると、距離は2.7km短く、料金は70円安くなっています。

■まだまだある。各地のスマートIC効果

 全国に続々と開通しているスマートICは渋滞減少や移動時間短縮などのほかに、周辺の宿泊施設や観光施設の利用者が増加したり、企業の新規進出で新たな雇用を生み出したりなどの二次的効果も小さくないようです。

 NEXCO中日本管内にあるスマートICについて、おもな整備効果をまとめてみました。

 ●スマートIC周辺エリアにおいて、企業進出や増設が進み、新規雇用数も増加したほか、スマートIC隣接地に、石川県能美市内初となるビジネスホテルが進出を表明(2018年3月25日開通 E8北陸自動車道能美根上スマートIC)

 ●舘山寺温泉(静岡県)の宿泊施設において、宿泊者数が1ヶ月当り約400人増加。同じく観光施設では入園者数が約1800人増加(2019年3月17日開通 E1東名高速道路舘山寺スマートIC)

 ●スマートIC事業化後、5社の企業が長野県伊那市の工業団地に立地を決定。今後、工場などの建設で新たな雇用が創出される(2017年9月30日開通 E19中央自動車道小黒川スマートIC)

 ●2007年にスマートIC構想が立ち上がって以来、岐阜県安八町では16社の新規企業進出があり、約700人の新規雇用を創出。

 ほかにスマートIC周辺の土地(農地)を企業立地可能な用途への変更手続き中であり、企業誘致の更なる促進を図る(2018年3月24日開通 E1名神安八スマートIC)

 なお、2020年9月26日に開通したばかりの圏央道厚木PAスマートICにおいては、広域アクセス性の向上のほか、スマートIC周辺などの企業誘致や神奈川県座間市の開発計画が促進される効果が期待されています。

全国各地に増えているスマートIC。渋滞緩和・時間短縮・雇用創出などさまざまな効果があった全国各地に増えているスマートIC。渋滞緩和・時間短縮・雇用創出などさまざまな効果があった

 2020年3月末現在、全国136か所にスマートICが設置されており、さらに事業中(工事中)のスマートICは47か所あります。

 全国に広がりを見せるスマートICですが、一般ICとは利用方法が異なり、スマートICはETC専用ICなので現金やクレジットカードでの利用はできないほか、開閉バーの手前で完全に停止をし、開閉バーが開いてから通過します。

 スマートICには、「SA・PA接続型」と「本線直結型」がありますが、SA・PA 接続型のスマートICでは、ICに入ってからのSA・PA利用ができるところ、できないところがあります。

 またSA・PAを利用した後にスマートICが出られるところ、出られないところがあるなどタイプはさまざまです。利用する際には事前にスマートIC近辺の注意書きなどをよく確認しておきましょう。

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