なぜアメリカで日本専売スポーツカーが大人気!? GT-Rや初代NSXなど「JDM」が流行る訳
くるまのニュース / 2020年10月12日 7時10分
アメリカでは、製造から25年経過したモデルはクラシックカー扱いで輸入可能というルールがあり、日本市場向けのみだったスポーツモデルが「JDM」と呼ばれて人気を誇っています。
■右ハンドルNGのアメリカで生まれた輸入車特別ルールとは
日本専売のスポーツモデルのなかには、海外のユーザーにとって憧れのモデルがあります。
しかし、右側通行のアメリカでは、道路を走れるのは原則として左ハンドルのみと連邦法によって定められており、右ハンドル車は走行できません。
そういう状況にもかかわらず、日本からスポーツカーが輸入されています。アメリカで走行できないはずの右ハンドルの日本車は、なぜ人気があるのでしょうか。
アメ車に詳しい業界関係者は次のようにいいます。
「少し古い日本のスポーツカーがアメリカへ流出している背景には、25年ルールというものがあります。
これはアメリカ合衆国運輸省(NHTSA)が設けた輸入車救済特別ルールのようなもので、1988年に『輸入車セーフティコンプアライアンス法』という連邦法が成立し、製造から25年経過したクルマはクラシックカー扱いとすることで、通常の新車で必要な衝突安全性テストや排ガス規制、輸入にかかる関税が対象外になっています」
これにより、いまから25年前の1980年代後期から1990年代に日本だけで販売されていたスポーツカーがアメリカ本土に上陸。クラシックカーとして登録され、現役で走っているわけです。
その頃の日本車といえば、ハイパワー競争真っ只中のスポーツカー全盛時代で、魅力的なモデルがいくつも登場していました。
「さらに最近、『eスポーツ』とも呼ばれるゲームでは、レーシングゲームは人気コンテンツのひとつです。また人気カーアクション映画などで登場していた日本のスポーツカーに熱い注目が集まっています」(アメ車業界関係者)
とくに、日本が世界に誇るリアル・レーシングゲーム「グランツーリスモ」や、カーアクション映画「ワイルドスピード」シリーズの影響は非常に大きいといえます。
ワイルドスピードでは、主役級で活躍していた、いまは亡き俳優のポール・ウォーカー氏が大の日本車ファンで、当時は輸出されていなかった日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ」を所有していたという話は有名です。
「もともとアメリカでは、富裕層ではない人たちが安価で手に入るクルマを自分たちの好きなようにカスタムする文化があります。一時流行したローライダーやハイリフトなどは、安価だった古いアメリカ車をベースにカスタムしたものがはじまりといわれています。
多少傾向は違いますが、新たなカスタムのベース車として、壊れにくく、走ると速い日本車に注目が集まっているという見方もできます」(アメ車業界関係者)
そんな日本車人気は、新たに「JDM(Japan Domestic Market)」と呼ばれるジャンルを誕生させました。
直訳すると「日本国内市場」を指す言葉で、25年ルールで輸入解禁になった日本製スポーツカーや、アメリカ国内で販売されている日本車を日本仕様にカスタムする楽しみ方が流行っているのです。
「これまでは、大排気量のV型8気筒エンジンを搭載したマッスルカーがベストというアメリカ特有の考え方が主流でしたが、排ガス規制などで排気量の小さい日本車でも速いクルマは人気が上昇している印象があります。
自動車大国のアメリカで、日本車をカスタムベースとして楽しむ文化があるのは非常に嬉しいことですが、その半面、程度のいいネオクラシカルな日本製のスポーツカーがどんどん輸出され、中古車価格も上昇を続けており、日本人が手軽に乗れなくなるというジレンマも出てきています」(アメ車業界関係者)
■今後25年ルールが適用されるS15型シルビアにも熱視線!?
JDMで不動の人気を誇ったのが、日産はスカイラインGT-R(R32)や「シルビア(S13)」、ホンダ初代「NSX」、マツダ「RX-7」でした。
しかし最近では、三菱「ランサーエボリューション」やスバル「インプレッサWRX」、トヨタ「スープラ(A80型)」に加えて、軽自動車のマツダ「AZ-1」などにも注目が集まり、かつて映画などを観て憧れたユーザー層が成長し、大人買いが始まっているようです。
今後25年ルールが適用される日産「シルビア(S15)」
「最近では、25年ルールでS14型シルビアやR33型スカイラインGT-Rが解禁されましたが、2023年や2024年に解禁を迎えるS15型シルビアやR34型スカイラインGT-Rにまで熱視線が注がれています。
またこのJDM人気はヨーロッパでも一部で盛り上がっており、世界的に広がりを見せはじめているみたいです」(アメ車業界関係者)
2000年に登場したホンダ「アコード ユーロR」などは、海外では「タイプR」として販売されていたわけですし、その現地なりのスペシャルモデルに乗りたいというマニアは一定数います。
今後も日本専売モデルのスポーツカーは、海外で高値で取引される人気中古車になる可能性が高いといえそうです。
※ ※ ※
JDMに対して、日本車を海外輸出モデルのような仕様にしたり、アメリカの西海岸スタイルのカスタムを施す「USDM」というジャンルが日本にもあります。
これは「United States Domestic Market(アメリカ国内市場)」の略で、主にカルフォルニアやロスアンジェルスなど西海岸で流行っているカスタムを日本国内でも再現したものです。また、アメリカ市場向けの日本車のようにカスタムする手法もあります。
さらに日本では、一時「キャルルック(California Looker)」と呼ばれる西海岸風のカスタムが流行しました。
基本的なスタイルは「ローダウン」や「ボディペイント」「メッキ調ホイールへの換装」などで、以前はVW「ビートル」などの旧車を、一連のカスタムで仕上げる手法として人気を博したものです。
「USDM」の手軽なカスタムとしては、ホンダのエンブレムを「ACURA」にするといった「エンブレムチューン」からはじまり、純正ではない配色のボディペイントやピカピカのメッキ調のディッシュホイールに履き替えるなど、日本車なのに日本車っぽくないスタイルに仕上げるものもあります。
「ベースはもちろん日本車なので、古いアメ車ベースのカスタムよりはるかに信頼性や実用性も高く、故障の心配なしに手軽にカルフォルニアなどの西海岸気分を味わえるわけです。そう考えると、逆輸入車もUSDMの一種類といえます」(アメ車業界関係者)
古いアメ車のカスタムを楽しみたいけれど、維持費が心配な人にとっては、まずはアメリカンカスタムのエントリーとして、USDMからはじめてみるのもいいかもしれません。
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