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【試乗】ランボとBMWがコラボした悲運のスーパーカー「M1」をアイディングがチューン! 中谷明彦氏が試す

くるまのニュース / 2020年10月12日 19時10分

BMWとフェラーリのチューニングで、その名を世界に轟かしたアイディング。そのアイディングが、BMWの悲運のクルマと称されることのある「M1」をチューニング。ポテンシャルはもともと高かったM1が、どのように蘇ったのか、レーシングドライバーの中谷明彦氏が試乗した。

■ランボルギーニとBMWのコラボで生まれた「M1」

 BMWといえばいつの時代でもFRのスポーツセダン/クーペを主軸としてラインナップ構成したことで知られる。それも前後50:50の重量配分にこだわりのながらクルマ造りを果たしてきた。

 ローバーを吸収してFFのMINIをリリースしたりフルタイム4WDモデルをバリエーションに加えたりと、市場拡大策も導入してきているが、FRが主軸にあることにブレはない。そんなBMWがかつて市場に送り込んだMRミッドシップレイアウトのスーパースポーツカーがある。それが「M1」だ。

 M1が初めてその姿を現したのは1978年のパリサロン。ミッドシップゆえにシャープになったフロントグリルにはBMWの象徴であるキドニーグリルがデザインされ、リアカウルのコーナーエンド左右にはBMWのエンブレムが冠された。

 どこから見てもBMWであることがわかる演出がなされていたが、ミドシップであることで多くの興味を引くこととなった。

 しかし、BMWといえども経験のないミッドシップスポーツを自ら開発することはリスクが高いと考えたのか、M1はそのデザインをイタリアのカロッツェリアとして有名はイタルデザインに委託し、またシャシの開発は当時技術提携関係にあった同じくイタリアのランボルギーニ社に受け持たせたという。

 つまりM1は、デザインもシャシもイタリアン・スーパーカーだったわけだが、キドニーグリルとエンブレムでかろうじてBMWらしさを保てていたともいえる。

 だがそのパワーユニットには、その後のBMWモータースポーツを代表する名ユニットとなる、完全BMW製となるM88型3453ccの直列6気筒DOHCエンジンが搭載され快音を放っていた。

 イタリアンブランドのスーパーカー群の自社製エンジンは、パフォーマンスや耐久性、信頼性に信頼を得られにくかったこともあり、BMWの信頼できるパワーユニットが搭載されたスーパーカーという側面も当時魅力となっていたわけだ。

■名機「M88エンジン」を電子制御で操る!

 今回試乗したのはそんなBMW M1を、アイディングがステージ4にまでチューニングしたS4だ。M1自体がすでに登場から40年近く経過したモデルなだけに、完調な固体を見つけることが難しい状況。ましてやM1は総生産台数が477台と極めて限られているだけに尚更だ。

クーゲルフィッシャー燃料噴射の代わりに電子制御燃料噴射に変更し、排気量をアップするなどして、最高出力は277psから376psへとアップクーゲルフィッシャー燃料噴射の代わりに電子制御燃料噴射に変更し、排気量をアップするなどして、最高出力は277psから376psへとアップ

 アイディングでは、車体やボディのリビルドも含め当時のオリジナルに極めて忠実に再現し、エンジンのパフォーマンスは現代でも通用するレベルにまで引き上げ、それでいてBMWらしい安定した性能と耐久性、扱い易さを与えることが「M1−S4」のコンセプトだという。

 僕自身M1に興味を惹かれた世代だが、残念ながらこれまでM1を走らせたことがなかった。BMWが作った唯一のミッドシップスーパーカーがどんな走りのクルマだったのか知る事ができないままでいたが、今回ようやくステアリングを握るチャンスに恵まれたのだ。それもオリジナルの状態を極めて健全に再現されているというから興奮する。

 早速M1−S4に乗り込む。思いのほかルーフが低く170cmの身長の筆者もかなり寝そべったシートポジションを採らないと頭がつかえる。

 ターボを装着したM1の最強バージョンGr5レースカーで、当時活躍していた身長194cmのハンス・スタックは一体どんな姿勢で運転していたのだろう。

 寝そべるドライビングポジションになることを考慮してかステアリングホイールは傾斜が大きく取り付けられ、ステアリング上端には手が届かない。下端側を握り送りハンドルで操作するのが流儀だ。

 エンジンはクランキングで瞬時に始動し、暖気を済ませればドライサンプエンジンらしいシャープな吹け上がりを示した。

 やや窮屈なペダルを慎重に操作しながら走りだす。ここで驚いたのは低速トルクが厚く市街地でのドライバビリティが驚くほどよいことだ。これなら毎日使える! と感じられるほどスムーズでストレスがない。

 それでは高速域はどうだろう。高速道路に乗り入れ、エンジンリミット近くの7000rpmまで回してみる。すると5500rpmあたりから状況は一変し、甲高いエキゾーストノートを轟かせながら力強い加速Gで背中をシートバックに押し付けられた。

 40年前のクルマと高をくくっていたが、そこは現代のアイディングの技術が遺憾なく発揮されている。

 シャシの状態も素晴らしい。鋼管スペースフレームのシャシは剛性感が物凄く高く、BMWらしいがっちりした佇まいが保たれている。キシミ音も皆無で快適だ。

 ステアリングに若干のふらつきが見られる以外は、ロードホールディングもよくグリップ限界も高くて速い。40年まえのイタリア・ブランドのライバル車を思い返すと、M1のシャシ性能の高さ、安定感は段違いといえそうだ。当時この事実がもっと明確にアナウンスされていたらM1のその後も変わっていたのかもしれない。

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