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いわゆる「自動ブレーキ」過信しすぎ? 「基本はシートベルト」 未だ100%達しないベルト着用率の現状

くるまのニュース / 2020年10月18日 7時30分

製造会社のデータ改ざん疑惑で、シートベルトについての関心が高まるなか、北欧の自動車メーカー「ボルボ」はクルマの交通安全に関するウェブセミナーを開催しました。衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術が発達したとしても、ボルボの担当者は「基本はシートベルト」と語りますが、現在の日本のシートベルト着用率はどの程度なのでしょうか。

■製造会社によるデータ改ざん疑惑でシートベルトに関心高まる

 シートベルトに関するデータの改ざんについて、2020年10月14日に複数のメディアが相次いで伝えました。

 各種報道では、経営破綻したエアバッグなど自動車安全部品の大手メーカー・タカタの事業を引き継いだ、ジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパンが製造するシートベルトの安全基準に対する疑問があるというものです。

 これら報道を受けて、同社は社内調査をおこなっていることをウェブサイトで明らかにしています。

 シートベルトでのシェアが国内トップという同社の製品が今後、リコールに発展するかどうかをしっかりと見届けたいと思います。

 そんな折、ボルボが安全技術に関して、世界各国をオンラインで結んだウェビナー(ウェブ上でおこなわれるセミナー)を開催しました。

 ボルボは世界に先駆けて、いま(2020年)から61年前の1959年に3点式シートベルトを開発したことで知られています。

 その頃の日本は、まだ腰部分だけを固定する2点シートベルトですら一般的ではなく、3点式シートベルトは画期的な発明に感じたはずです。

 1972年には後ろ向きチャイルドシート、1994年に世界初のサイドエアバッグ採用など、ボルボといえば、日本でも古くから「安全技術に優れたクルマ」という認識があります。

 最近ではネオクラシックカーとして人気が高い「240」シリーズに対しても、そうしたイメージが強いと思います。

※ ※ ※

 ボルボのウェビナーは日本時間の2020年10月15日午後10時から、スウェーデン、イタリア、ポーランド、アメリカ、日本を結んで「ボルボ スタジオ トーク」として開催されました。

 これは、未来に向けた交通安全における人々の命の大切さに向き合うキャンペーン「モーメント3」の一環として実施しているものです。

 近年、自動車の安全技術というと、いわゆる自動ブレーキである衝突被害軽減ブレーキや、アクセルとブレーキの踏み間違いによる加速抑制装置など、予防安全に関する先進技術への注目が高まっています。

 ボルボでもさまざまな予防安全技術を導入しており、自動運転技術についても早期の社会実装を目指しています。今回のウェビナーでも、そうしたことが主題だと思っていたのですが、まったく違う内容でした。

 ボルボが現在直面している、自動車の安全に関するチャレンジは何か。

 司会者からの質問に対して、ボルボカーズ・セーフティセンターのマリン・エクホルム所長は「基本は、シートベルトを適切に使用して着座し、安全なスピードで走ること。これを守っていただくことが、最大のチャレンジです」と答えました。

 衝突被害軽減ブレーキや車内ドライバーモニタリングシステムなど、先進技術だけでは自動車の安全を守ることはできず「シートベルトの着用を含めて、ユーザーに対する啓蒙活動が不可欠です」と強調しました。

 オンラインで参加した、ポーランド・ワルシャワの団体関係者もシートベルトの適切な使い方や、チャイルドシートの適切な装着方法を消費者に説明する活動を紹介。

 そのほか、イタリアやアメリカでは、免許の持たない子どもに対する交通指導や、大学生が他の学生に安全運転指導をする運動などを紹介しました。

■日本における現状のシートベルト着用率はどれくらい?

 それでは、日本ではシートベルトはどのように使われているのでしょうか。

 運転席でのシートベルト装着が義務化されたのは、1969年4月1日。後席でのシートベルトは2008年の改正道路交通法により着用が義務化されています。

シートベルト着用率は前席と後席で大きく異なるシートベルト着用率は前席と後席で大きく異なる

 警察庁によると、シートベルトの効果はふたつあると説明します。ひとつは、交通事故に遭った場合の被害を軽減すること。もうひとつは、正しい運転姿勢になることで疲労を軽減させることです。

 では、シートベルトの着用率はどれほどなのでしょうか。

 国土交通省と日本自動車連盟(JAF)は、2019年11月5日から11月21日にかけて「シートベルト着用状況全国調査」をおこなっています。

 調査対象者は、一般路では、運転者30万人、助手席約5万人、後席5.6万人。また、高速道路では、運転者5.6万、助手席1.9万人、後席1.3万人と、かなり大規模な調査でした。

 その結果、シートベルト着用率は、一般路では運転席で98.8%。14年前にあたる2005年調査の92.4%から上昇しています。

 助手席については、2005年の80.3%から95.9%へとさらに大きく上昇しています。

 一方で驚くべきことに、2008年に着用が義務化された後席では、39.2%にとどまっているのです。義務化直前の2007年調査時の8.8%に比べると、伸びてはいますが……。

 高速道路では、2019年時点で運転席が99.6%、助手席が98.3%、後席が74.1%となり、こちらも後席でのさらなる着用が求められる状況です。

 また、警察庁による「シートベルト着用関連統計」によると、シートベルト着用有無別死亡者数では、非着用死者の比率は、2019年が42.8%。

 過去10年間のデータで見ると死亡事故総数は減少しているものの、シートベルトを非着用で死亡した人の割合は40%台で推移しています。

 これを座席位置で見ると、シートベルトの非着用で死亡した人の割合は、運転席が41.9%、助手席が22.7%、そして後席が64.6%と高くなります。

 衝突安全、予防安全、双方の視点から、日本でも改めてシートベルト着用の重要性についてユーザー自身が認識する必要があると感じます。

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