700馬力の日産最強「ジュークR」 限定5台のラスト1台がお得な3700万円!
くるまのニュース / 2020年11月2日 11時10分
日産「GT-R」のパワートレインを載せた限定5台の超希少車「ジュークR」の1台を、ドイツの中古車販売店で見つけました。
■最高出力700馬力まで引き上げられたジュークR
日産が世界に誇るスポーツカー「GT-R」のパワートレインを、コンパクトSUVである「ジューク」に載せて開発されたのが「ジュークR」です。
限定5台という超希少車であるため、なかなかお目にかかれませんが、今回ドイツの中古車販売店で販売されている1台を見つけました。
見るからに奇抜なクルマともいえるこのジュークRは、2011年10月4日に日産の欧州法人が「ジューク-Rプロジェクト」として展開したもので、限定5台を販売しています。
しかも今回売りに出されているものは、イギリスのチューニングメーカー「サヴァーン・ヴァレー・モータースポーツ」が、ジュークRのエンジンをさらにチューニングした特別なモデルです。
エンジンはGT-Rに搭載されている「VR38DETT」エンジンをベースに、SVM製1050ccインジェクターや専用のインテーク、エキゾーストシステムなどでチューニングし、最高出力は700馬力まで引き上げられたものです。
通常のジュークRは、最高出力545馬力となりますので、さらに大幅な馬力アップに成功していることがわかります。
元々コンパクトSUVのジュークにV6ツインターボエンジンを搭載したため、エンジンルームを見ると、ギチギチに詰め込まれているのがわかります。
しかし、ただ単にエンジンが入れば良いというものでもありません。適切な前後重量配分を得るために、ジュークRもGT-Rのようにフロントミッドシップレイアウトが採用されています。
可能な限りエンジンを中央に寄せられるのは、トランスミッションを後方に搭載する「トランスアクスル方式」が採用されているからです。
ちなみにミッションは6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が採用され、フォーミュラカーのようにハンドル裏に備え付けられたパドルで変速します。
エクステリアは、ジュークの特徴的なデザインを活かしつつ、700馬力のエンジンパワーを持て余すことがないよう、さまざまな工夫を凝らしています。
フロントバンパーはV6ツインターボエンジンを効率よく冷却するため、開口部を大きく広げています。また、GT-Rのボンネットにも採用されている「NACAダクト」もしっかり引き継がれました。
さらに、200km/hオーバーでも車体が安定するように、車体のいたるところにエアロパーツが装着されており、もっとも大きなエアロパーツであるリアスポイラーは2分割タイプを採用。これによって、リア周りもスパルタンな印象が与えられています。
ベースがコンパクトSUVであるため、ほかのスポーツカーと比べるとホイールベースが短く、クイックに旋回できることから、コンパクトなサーキットであればスーパーカークラスのタイムを叩き出せるポテンシャルがありそうです。
■購入可能なジュークRはこの1台だけ!?
コックピットを見てみるとGT-Rそのもの。それもそのはずでハンドルやインパネ周り、ブレーキやアクセルペダルなどはGT-Rの部品をそのまま流用しています。
ハンドル中央にはしっかり「GT-R」のエンブレムが付けられているため、一度コックピットに乗り込むと「背の高いGT-Rに乗っているのでは?」と錯覚するのではないでしょうか。唯一センターコンソールは、ジュークのデザインをそのまま残しています。
カーボンシェルのバケットシートには4点式シートベルトを採用。ロールケージも取り付けられています。
助手席のシート下には消火器が設置されており、サーキットを走り回る気満々な雰囲気を漂わせています。
実はこのジュークR、市場に販売されている最後の1台です。なぜならこれまで生産された5台のうち、2台を日産が保管用として所有し、残りの2台はすでに廃車となってしまったからです。
かつて日産がGT-Rのパーツを多用して開発した「ジュークR」。(当時のシェイクダウンの様子)
しかも、走行距離は20kmと、ほぼ新車の状態で販売されているのにも驚きで、世界限定5台の1台が新車の状態で残っているのは、もはや「博物館に展示できるクルマが売りに出されている」といっても過言ではありません。
販売価格は日本円で3700万円程度です。2010年販売当時の値段は、日本円に換算すると4500万円から5000万円程度でしたので、少しだけ「お得」になっているようです。
この先さらに値段が落ちるのか、あるいはプレミア価格が付くのか現時点では読めないところではありますが、世界に1台しかない走行可能なジュークRが3700万円で販売されているのは、むしろお買い得と考える方が良いかもしれません。
※ ※ ※
ジュークRは話題作りの一環として生産されたクルマであることは間違いありません。
しかし、このような「一体何を目指しているのかわからないクルマ」をあえて日産が世に送り出したこと自体に、大きな価値があるといえるのではないでしょうか。
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