常識にとらわれない斬新な発想! カタ破りな印象の車3選
くるまのニュース / 2020年11月11日 16時10分
高性能なスポーツカーはいかにも速そうなスタイル、高級セダンは重厚なデザイン、ミニバンならば背が高いなど、クルマのキャラクターは見た目でも判断できます。一方で、そんな常識にとらわれずに開発されたクルマも存在。そこで、型破りな印象の斬新なクルマを3車種ピックアップして紹介します。
■常識破りの斬新なクルマを振り返る
クルマは見た目が重要ですが、スポーツカーならば見た目にも速そうなフォルムで、SUVならばオフロード走行をイメージさせ、ミニバンならば背が高いというのが一般的な外観です。
多くのクルマは、見た目からそのクルマがどんなジャンルで、どんなキャラクターかを判別できる一方で、そんな常識にとらわれずに、斬新な発想で開発されたクルマも存在。
そこで、型破りな印象のクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「オデッセイ」
低重心化も実現して高い走行性能を誇った3代目「オデッセイ」
1980年代の頃、多人数乗車のワゴンといえば1BOXバンをベースとしたモデルが主流で、商用車のイメージが拭えず、室内の広さも見た目ほどではありませんでした。
そんな状況のなか、1994年にホンダはミドルサイズミニバンの初代「オデッセイ」を発売。乗用車のシャシをベースにしたミニバンはすでに存在しましたが、オデッセイは低床のより広い室内を実現し、6人乗りもしくは7人乗りの3列シート車として大ヒットを記録します。
その後、1999年には初代からキープコンセプトとした2代目が登場し、2003年には大きくコンセプトを変えた3代目がデビュー。
3代目オデッセイのボディサイズは、全長4765mm×全幅1800mm×全高1550mm(2WD)と、それまでのミニバンの常識を覆すほど全高が低く設定されました。
一方で、フロア構造の工夫による低床化設計によって、室内高は2代目よりも5mm高く確保され、室内は閉鎖的な印象はありません。
低い全高は立体駐車場に対応しただけでなく低重心化という副産物もあり、4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションと相まって、運動性能が高く評価されました。
2008年に登場した4代目も低全高を継承しましたが、現行モデルの5代目では再び大きくコンセプトが変わり、全高を高くして後部ドアがヒンジ式からスライド式に改められるなど、一般的なレイアウトのミニバンとなっています。
●ダイハツ「ミゼットII」
積載性よりも機動性と低価格が重視された「ミゼットII」
高度成長期が始まった1950年代は、日本のモータリゼーションが一気に開花した時代でもあります。
そうしたなか1957年に誕生した3輪軽トラックのダイハツ「ミゼット」は、個人商店を中心に小規模な荷物の運搬で大活躍しました。
その後、一般的な4輪の軽トラックや軽バンが主流となると、ミゼットの役目は終了しましたが、ダイハツは1996年にミゼットのコンセプトを受け継いだ軽トラックの「ミゼットII」を発売。
一般的に軽トラックは限られたボディサイズのなかで、いかに荷室の寸法を最大にするかが設計するうえで重要ですが、ミゼットIIは軽自動車規格のサイズよりも小さいボディで設計され、市街地での機動性を重視しており、装備も必要最低限とするなど初代ミゼットのシンプルさを継承していました。
外観で特徴的なのがフロントフェイスで、スペアタイヤを搭載するフロント部に丸目2灯を配置して、初代のデザインをオマージュ。
内装では、1シーターのひとり乗りで(後に2シーターを追加)、右側の窓だけが開閉可能となっており、メーターはスピードメーターと燃料計のみ、パワーステアリングやエアコンも無く快適装備はヒーターだけと極めてシンプルです。
価格は46万9000円(消費税含まず)からと安価に設定されていましたが、ベテラン作業員の技術を若い世代に継承する目的で、生産工程の多くはハンドメイドでした。
斬新なコンセプトとデザインが話題となったミゼットIIですが、機動力の高さというメリットよりも積載量の少なさというデメリットがあったためか、2001年に生産を終了。
東京モーターショーには乗用モデルも出展されましたが、残念ながら発売には至りませんでした。
■秀逸なパッケージングで3列シートを実現したコンパクトカーとは!?
●日産「キューブキュービック」
ショートワゴンで3列シート実現した優れたパッケージングの「キューブキュービック」
1998年に日産は、2代目「マーチ」のコンポーネンツを使って開発されたトールワゴンの、初代「キューブ」を発売。コンパクトなボディサイズながらマーチよりも広い室内空間を実現したことで人気となります。
そして、2002年にはキューブという車名にふさわしい「箱」をモチーフにしたデザインの2代目が登場。外観はスクエアな直線基調のフォルムで、左右非対称のリアゲートがアクセントになっていました。
箱型ボディとしたことから四隅の見切りの良さに定評があり、幅広い年齢層のユーザーから高い支持を得ました。
そして2003年には、この2代目キューブをベースに、ホイールベースを170mm延長して3列シート7人乗りとした「キューブキュービック」が登場。
ボディサイズは全長3900mm×全幅1670mm×全高1645mm、ホイールベース2600mmと現行モデルの「ノート」よりもひとまわり小さい寸法です。
外観のデザインはキューブと明確な違いはほとんど無く、リアドアが3列目シートの乗降性を考慮して長くなっている程度で、一見して見分けられないほどでした。
発売当初、搭載されたエンジンは98馬力の1.4リッター直列4気筒のみで、2005年のマイナーチェンジで1.5リッターを追加。
3列目シートの足元はかなり狭くシートバックも立っており、子ども用もしくは緊急用というレベルでしたが、全長4m未満の1BOX以外で3列シート実現したパッケージングは秀逸だったといえるでしょう。
キューブキュービックは一定のニーズがあり人気を獲得しましたが、2008年に3代目キューブの登場を期に一代限りで消滅してしまいました。
※ ※ ※
1981年に登場したホンダ初代「シティ」は、コンパクトカーの常識を覆すほど高い全高を採用。また、1985年に発売された軽ボンネットバンの初代「トゥデイ」は、ほかにはない低い全高で話題となりました。
見た目には真逆な印象ですが、どちらも明確なコンセプトで設計・デザインされており、実際にユーザーに受け入れられてヒットしています。
近年はこうしたクルマは少ない印象で、メーカーも冒険できなくなってしまったということでしょうか。
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