眩しくても強制点灯!? 薄暮時に早めのライト点灯を義務化する理由

くるまのニュース / 2020年11月19日 9時10分

夕暮れ時や薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯するオートライト機能が2020年4月から販売される新型車に義務化されています。いままでもヘッドライトスイッチには「オート機能」がついていましたが、わざわざ義務化する理由は何なのでしょうか。

■ヘッドライトの自動点灯機能で交通事故減少に期待

 夕暮れ時や薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯する「オートライト機能」ですが、2020年4月以降に販売される新型車への搭載が義務化されました。

 オートライト機能とは、クルマに搭載されるセンサーが周囲の明るさを検知して、自動的にヘッドライトの点灯をしてくれる機能です。

 それまでのヘッドライトでも自動でヘッドライトのオン/オフをしてくれる「オート」機能はありましたが、新しい道路運送車両の保安基準が改正され、明確な基準で法整備され義務化され、継続生産車のオートライトは2021年10月から義務化されます。

 また、定員11人以上のバスなどの乗用車や、車両総重量3.5t超のトラックは、新型車が2021年4月から、継続生産車が2023年10月からとなっています。

 では、オートライト機能がなぜ義務化されたのでしょうか。

 もともとは、日中でも薄暗い時間帯にヘッドライトを点灯することで、対向車や歩行者などの視認性が高まるだけでなく、自車の存在を周囲にアピールするために「早期のヘッドライト点灯」の優位性が議論されていました。

 一説には、ヨーロッパの地形や日照に関係して「早期のヘッドライト点灯」が広まったといわれています。

 自動車先進国が多いヨーロッパですが、緯度が日本よりも高く、日陰が多いうえに薄暗い時間が長いのです。

 そこでまずは「デイタイム・ランニング・ランプ」が2011年にヨーロッパで義務化されました。

 これは、日中でも前方からの視認性を向上させるためのランプで、日本の保安基準でも2016年に「昼間走行灯」として明記されるようになっています。

 ただし、ヘッドライトを点灯しなくても比較的前方を明るく照らすデイタイム・ランニング・ランプだけで走行するクルマが急増。

 リアのテールランプとは連動していないため、後続車からの視認性の低さから、テールランプも連動したオートライト機能が2015年1月からヨーロッパで義務化されています。

 その頃日本でも、「交通政策審議会」と呼ばれる有識者の会合で「薄暗いなかでのヘッドライトの点灯」の優位性と交通事故の抑制の可能性が議論され、国土交通省主導で法整備化が進みました。

 これには交通事故が発生しやすい時間帯が大きく影響しています。

 警察庁交通局が発表した「交通事故の発生状況」によると、事故発生の72.7%が昼間、27.3%が夜間となっており、一見昼間の事故のほうが多いのですが、死亡事故率は夜間のほうが昼間の2.7倍も高い結果が出ています。

 時間帯別では「16時から18時」が高く、とくに歩行者をも巻き込んだ交通事故では20%以上の確率になるなど、夕暮れどきの事故が非常に多いことがわかります。

 これは、周囲の暗さに対してヘッドライト点灯が徹底されていなかったため、高齢者が被害者となるケースも多かったことも大きな影響を与えたようです。

 そこでヨーロッパで義務化されたオートライト機能の重要性が日本でも高まったのです。結果こそまだ出ていないものの、オートライト機能は交通事故数の減少に役立つことが期待されています。

■どれくらい暗くなったらヘッドライトが点灯する?

 日本で義務化されたオートライト機能は、「周囲の照度が1000ルクス未満になると、2秒以内に点灯」という基準があります。

 この1000ルクスというのは、薄暗くなる手前くらいの明るさで、周囲のクルマもはっきり認識できるけれど、前走車のブレーキランプや信号が目立ちはじめた程度で、感覚的にはかなり早めの点灯という印象を受けます。

早めのヘッドライト点灯が事故減少につながる(イメージ)早めのヘッドライト点灯が事故減少につながる(イメージ)

 この1000ルクス未満という基準ですが、じつは車内から周囲の状況を認識する以上に、歩行者から見た場合のクルマの存在が認識しにくくなる明るさといわれています。

 薄暗くなることでクルマと周囲の建物などが同化しはじめ、距離感や速度感を感じにくくなるのだそうです。

 また「周囲の照度が7000ルクス以上になると、5秒から300秒以内に消灯」という機能も付いていますので、トンネルなどで自動点灯したヘッドライトも通過後5秒程度で自動消灯してくれるということです。

 そして日本独自の保安基準となっているのが「走行中の手動によるオン/オフ機能はなし」(ただし駐停車状態の場合は消灯可能)です。

 周囲が一定の暗さになると、自動で消灯したあと、走行が終わるまでは消灯できないという仕様になっています。

 これは道路交通法でも明記されている「ヘッドライト点灯は日没から日の出まで」に準じた設定として、明るさが法整備(義務化)によって数値化されたということです。

 オートライト機能のメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

 なによりヘッドライトの点け忘れがなくなるので、夜間など周囲が暗い状況での安全性が高まるのは確実です。

 たとえば、大型の商業施設などの立体式駐車場は照明も明るく、未点灯のまま走行してしまうこともありましたが、そのようなうっかりミスがなくなります。

 またトンネルや悪天候での走行は、その距離や時間帯によってヘッドライトをつけるか迷うところでしたが、今後は自動で点灯してくれますので非常に助かる機能だといえます。

 今回の義務化クルマのドライバー以上に恩恵がありそうなのが歩行者です。

 1000ルクス未満の明るさになると、ヘッドライトがついていないクルマの存在は気づいても、距離や速度感が掴みにくいため、早期のヘッドライト点灯で距離感や速度感も把握しやすくなり、飛び出しや無理な横断などが減ることも期待されています。

 今回の義務化は、「2020年4月以降の新型車」となっており、現状ではすべてのクルマに義務化されたわけではありません。

 オートライト機能がついていないクルマはどうすべきでしょうか。

 その場合、1000ルクス未満になる前にヘッドライト点灯を心がけるということに尽きます。感覚的には日没30分前より早くてもいいかもしれません。

 とくに交通事故が多発するといわれる17時から18時にはヘッドライトを点灯させましょう。

※ ※ ※

 点灯するのを忘れそうな人や、自分のクルマにオートライト機能を搭載したい人はオートライト機能の後付けキットが販売されています。

 メーカーによって、通常タイプと車速連動タイプがあり、車速連動タイプには信号待ちなどで一時停車中にヘッドライトを消灯する機能を盛り込んでいます。

 後付けキットの装着手順としてはハンドル下のコラムカバーを外し、純正ライトスイッチからヘッドライトに伸びている配線にキットをつなぎ、本体の電源を同じように常時電源から分けてもらう配線処理が必要になります。

 自分でヒューズなどを交換した経験がある人であればDIYでもできますが、自信がない人はショップに頼んだほうが楽かもしれません。

 後付けキット本体の価格は5000円前後。取り付け作業費込みで1万円もしない金額でオートライト機能を装着できます。

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