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なぜ最高速を引上げ? 死亡事故減少目指すも 岩手では全国初運用開始

くるまのニュース / 2020年11月17日 18時10分

日本の高速道路は基本的に普通車の最高速度は100キロとなっていましたが、2020年9月16日に東北自動車道の岩手県内にある花巻IC-盛岡南IC区間で全国初となる最高速度120キロの本格運用が始まりました。なぜ最高速度は120キロに引き上げられたのでしょうか。

■なぜ最高速度を120キロにするのか

 2020年9月16日、東北自動車道の岩手県内にある花巻IC-盛岡南IC区間で全国初となる最高速度120キロの本格運用が始まりました。
 
 以前から全国各地で交通事故をゼロまたは減少の動きを推進しているなかで、なぜ最高速度を引き上げられることになったのでしょうか。

 これまで、高速道路における最高速度は基本的に普通車・自動二輪車が100キロ、大型貨物では80キロとなっており、高速道路の最高速度は半世紀以上にわたり変更されていませんでした。

 しかし、欧州などと比べて最高速度が低いことや道路構造上で問題ないこと、そして実際の交通事情では最高速度以上出していることなどもあり、2017年から試験的に一部の区間で120キロまで最高速度を引き上げていました。

 その区間は、前述の花巻IC-盛岡南IC(約27キロ)と静岡県の新東名高速道路の新静岡IC-森掛川IC(約50キロ)で、試験開始当時は110キロ、2019年には120キロで安全性の検証がおこなわれていました。

 なお、新東名高速道路の試験に関して、2016年におこなわれた「高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する調査研究」委員会での提言では、以下のように説明されています。
 
「高速道路の最高速度引き上げに関して約87%のドライバーが受け入れています。

 そのうえで、設計速度120キロの高規格高速道路のなかで新東名高速道路は、“渋滞の発生が少ないこと”や“死傷事故率が低いこと”などのことから試行の対象となりました。

 そのなかでも、新静岡ICから森掛川ICの区間は、『3車線の区間の割合が高いこと』『1キロ当たりの交通事故率が低いこと』『霧や大雨等、視認不良時による最高速度の規制実施が少ないこと』などの理由から試行区間として選定しました(一部中略)」

 では、最高速度を120キロに引き上げることは安全性において問題ないのでしょうか。

 実際に警察庁が新東名高速道路と東北自動車道で試験をおこなった際には、試験前後の死傷事故件数には大きな変化は無かったといいます。

 しかし、それまでとは最高速度が異なることには変わりはありません。120キロ区間で注意すべきことについて、元高速道路交通警察隊員は次のように話します。

「速度が上がるなかで、注意しなければいけないのはICやSA/PAから本線に合流してくるクルマと自車の速度差です。

 運転に慣れていない人は加速車線で十分な加速が出来ないまま本線に合流する可能性があります。そこに、120キロで本線を走行してくるクルマと衝突事故を起こした場合には、大惨事になりかねません。

 そのため、本線に合流する人は十分な加速をおこない、本線を走行している人は合流してくるクルマの動きに注視することが大切です」

※ ※ ※ 

 今後、最高速度が120キロに引き上げられる可能性がある場所として、2020年11月現在では新東名高速道路の御殿場JCT-浜松いなさJCT、東北自動車道の浦和IC-佐野スマートIC、常磐自動車道の柏IC-水戸IC、東関東自動車道の千葉北IC-成田JCTとなっています。

■勘違いしないで! 120キロ制限は最低速度ではない!

 2017年に最高速度を試験的に引き上げる際には、「公式で110キロ出せる!」や「120キロで巡航出来るのは楽!」というような声が相次ぎました。

 しかし、前出の元高速道路交通警察隊は、この区間における走行上の注意点を次のように説明しています。

「120キロということが注目され、この決められた区間では120キロを出さなければいけないというイメージを持っている人が見受けられますが、あくまでも法律上の最高速度が120キロということで、120キロで走らなければいけない訳ではありません。

 また、この区間は100キロで走行している前走車に対して、後方から120キロで迫りあおった場合などは、俗にあおり運転といわれる妨害運転の対象になる可能性もあります。

 そのため、最高速度が引き上げられたとしても、従来どおりに交通安全を意識した運転がドライバーには求められます」

最高速度120キロの施行区間が終わることを示す標識最高速度120キロの施行区間が終わることを示す標識

 冒頭の東北自動車道の岩手県内にある花巻IC-盛岡南IC区間は、2020年8月下旬に最高速度120キロ引き上げに関する交通規制基準を改正や、標識変更などが改修されたことを受けて本格運用されました。

 なお、新東名高速道路の御殿場JCT-浜松いなさJCTに関しては、同区間における6車線化事業(片側3車線)の工事完成と同時期に最高速度を引き上げる本格運用予定しています。

 6車線化の工事に関して、2020年9月末時点で約7割が完成しており、残りの部分も2020年度内の完成を予定しているといいます。

 そのため、御殿場JCT-浜松いなさJCTの最高速度120キロ制限は早くとも2021年4月以降となるようです。

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