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全面刷新もなぜほぼ一緒? N-ONEとハスラーは2代目でも見た目を維持する狙いとは

くるまのニュース / 2020年11月20日 7時10分

クルマのフルモデルチェンジでは、基本的に「変わり映え」を求めることから、外観デザインを大きく変更することが定番です。しかし、ホンダ新型「N-ONE」やスズキ「ハスラー」などでは、先代モデルから見た目を大きく変えていません。なぜ、同じフルモデルチェンジでも差があるのでしょうか。

■N-ONEとハスラーが見た目ほぼ変わらないワケ

 ホンダは、2020年11月19日に新型軽自動車「N-ONE」のフルモデルチェンジを実施し、2代目モデルとなりました。
 
 通常、フルモデルチェンジでは外観デザインが先代モデルから大きく変更されますが、なぜN-ONEはパッと見では大きな変化はなかったのでしょうか。

 フルモデルチェンジという商品力を高める手法は、米国の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)から始まったといわれています。

 外装や内装、車内設備を一新した同車種の新型モデルを出すことで、ユーザーの購買意欲を高めて販売促進に繋げるもので、クルマに限らずさまざまな製品でも同様の手法はおこなわれています。

 現代で例えると、最新のスマホを持っている人を見ると自分もつい欲しくなる、といった消費者心理へのアプローチに似ています。

 では、なぜ新型N-ONEは、外観デザインを先代モデルから大きく変更しなかったのでしょうか。

 N-ONEは、1967年に発売されたホンダ初の市販軽乗用車「N360」をモチーフに、Nシリーズの基本思想である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」というコンセプトを受け継いで開発されました。

 初代モデルは2012年に登場し、同年度には5万5309台を販売、翌2013年度は8万2791台を販売。

 今回のフルモデルチェンジでは、初代モデルから支持されている「丸・四角・台形」を基本の形を大きく変更していません。

 しかし、細かな部分では、外形に沿ったリング型のランプに軽自動車初のLEDデイタイムランニングランプを採用することで、昼間の走行時の視認性を向上。ウインカー使用時にはリングが点灯するなど、N-ONEを象徴するフロントフェイスをより一層磨き上げています。

 新型N-ONEのデザインについて、担当者は次のように説明しています。

「N-ONEは先代のデザインが大変好評でした。かつてのN360の思想を受け継いでおり、今回の新型でもその思想や先代で高評価を頂いた部分を残しつつ、細かな部分で最新機能やトレンドを取り入れています。

 もちろん、最初から先代と同じデザインにすると決まっていた訳でなく、色々な方向性のデザインコンセプトが作られたなかで、最終的に商品化に至ったのがこのデザインなのです」

 また、2020年1月に発売されたスズキの2代目「ハスラー」も先代から大きくデザインを変更していません。

 これついて、スズキは「スクエアなボディや遊び心のあるデザインが好評だったことや、軽SUVといわれるジャンルの先駆けだったこともあり、見た目は大きく変えていません。ただし、機能面や使い勝手においては、現在のニーズを反映しています」と説明しています。

※ ※ ※

 これらの外観デザインを先代モデルから大きく変えない背景について、国産メーカー系の元デザイン関係者は次のように説明しています。

「好評だったデザインを変えるというのは、とても決断力がいることです。

 過去にも、デザインを大幅変更したことで販売低迷したモデルも多くありました。

 とくに、軽自動車では、ボディサイズの規格が決まっているため、制限のなかでデザインする必要があるのと、軽自動車のような大衆モデルでは、親しみやすさが重要です。

 さらに、デザインが良いことはもちろんですが、デザイン性よりも機能や使い勝手、価格などにユーザーの関心が高いこともあるため、一度評価を受けたデザインを継承して、それ以外の魅力を増すことに注力するのです」

■RAV4はデザインを大幅変更で大成功!?

 前述の軽自動車のように、外観デザインを大きく変更していないフルモデルチェンジもありますが、基本的なフルモデルチェンジでは、「変わり映え」を訴求するためにも、デザインを大きく変更することが多いです。

 しかし、基本的にはそのモデル毎のコンセプトを継承しているため、内外装で引き継がれる部分はあります。

 そのなかで、内外装を大きく変えて再登場するというクルマもあり、最近では、トヨタのSUV「RAV4」がその代表的な例です。

 かつて国内で販売されていた初代から3代目は、当時SUVの主流であったオフロードタイプと一線を画した街乗りメインのオンロードタイプとして、現在に至るSUVブームの発端的な存在でした。

 しかし、4代目は海外向けのみの販売であったため、一度国内市場から撤退したRAV4でしたが、2019年4月にフルモデルチェンジされ5代目となるモデルが国内で販売されます。

 5代目RAV4はそれまでと一転し、オフロードタイプとして登場。わずか3か月で約1万7000台を販売する好調ぶりを見せ、トヨタでは3代目「プリウス」以来となる2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、名実ともに人気車種となりました。

RAV4は現行の5代目モデルとなり、タフなデザインや悪路走破性を高めた(画像:特別仕様車 Adventure “OFFROAD package”)RAV4は現行の5代目モデルとなり、タフなデザインや悪路走破性を高めた(画像:特別仕様車 Adventure “OFFROAD package”)

 しかし、RAV4のような例は少ないといえます。思い切ったフルモデルチェンジは成功すれば大ヒットが見込めますが、失敗すればそのクルマの人気を下げかねません。

 では、フルモデルチェンジで大きく変化させる際の意図とは、なんなのでしょうか。前出の元デザイン関係者は次のように説明しています。

「フルモデルチェンジで大きく変化させる場合に考えられる要因は、ひとつはモデルライフが長く例えば登場から10年近く経過しているモデルです。

 十年一昔といいますが、昨今ではトレンドの移り変わりが早く、内外装、機能など大きく変えなければいけない場合があります。

 次に伝統のあるモデルや主力モデルのテコ入れの場合です。

 長くラインナップされるモデルでは、伝統を守りつつ、前述のように時代に合わせた変化も求められます。そのため、大きく変化させることがあります。

 例えば、登場から65年以上経つクラウンが代表的で、歴代モデルのなかではデザインが評価されるモデルと不評だったモデルの差があるのもそのためだといえます。

 そして、主力モデルのテコ入れですが、メーカーにとっての稼ぎ頭が販売低迷した場合に、『新しく変わった』というアピールも含めて、大きく変化させることもあります」

※ ※ ※

 このように、同じフルモデルチェンジでも、そのジャンルやクルマ毎の立ち位置などにより、変化の度合いが異なることが分かります。

 しかし、クルマの評価は、最終的にユーザーが購入するかに掛かっており、デザインが素晴らしくても、販売台数が伸びなければ失敗とされます。

 新たに登場した、新型N-ONEはユーザーからどのような評価を受けるのか、注目せずにはいられません。

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