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約10年後の車は何で判断? ガソリン車はエンジンでも EVはモーター差が評価の対象になるのか

くるまのニュース / 2020年12月27日 9時30分

これまでのガソリン車やディーゼル車では、搭載するエンジンによってある程度の評価軸が決まっていました。しかし、EVが普及するとモーターの性能差がその評価対象となるのでしょうか。

■EVの性能差はどう決まる?

 電気自動車(EV)と従来型のガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車(以下、ガソリン車)との大きな違いは、動力源がモーターかエンジンという部分です。
 
 しかし、ガソリン車であれば排気量や最高出力が性能差としてわかりやすいですが、EVの性能は心臓部であるモーターの差と考えてよいのでしょうか。

 世界中で「脱ガソリン車化」が叫ばれる昨今、ついに日本でも2030年代半ばを目処にしたガソリン車の新車販売規制がおこなわれるとの報道がありました。

 詳細は明らかにされていませんが、将来的なクルマの電動化に向けて、確実に進んでいることは間違いないといえます。

 電動化したクルマ、すなわち「電動車」には、文脈によってハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)なども含まれる場合がありますが、多くのユーザーがイメージするのは電気自動車(EV)でしょう。

 HVやPHVと異なり、内燃機関を一切持たないEVは、エンジンの代わりにモーターを搭載しています。

 2010年に世界初の量産型EVとして登場した日産「リーフ」の諸元を見ると、ベースグレードで最高出力150馬力、最大トルク320Nmという数値です。

 一方、上級グレードである「e+」は、最高出力218馬力、最大トルク340Nmと、ベースグレードに比べて大幅にパフォーマンスが向上しています。

 どちらも、同じEM57という型式のモーターを搭載しており、モーター自体に大きな違いはありません。

 この差を生むのは、モーターの動力となるバッテリーです。リーフの場合、ベースグレードは40kWh、「e+」は60kWhの最大電力量を発生するリチウムイオンバッテリーを搭載しています。

「kWh(キロワットアワー)」とは、1時間に発生する電力量であり、ベースグレードでは1時間に40kW、「e+」では1時間に60kWの電力をモーターに供給する能力があることを意味しています。

 バッテリーの性能は航続距離にも影響し、kWhで表される数値の大きいほうが、大容量のバッテリーとなり、基本的には航続距離も大きくなる傾向です。

 つまり、モーターの性能はもちろんですが、EVの場合はモーターと同様、あるいはそれ以上にバッテリーの性能が重要といえます。

 したがって、EVのスペックを見る際は、モーターだけでなくバッテリーも含めたシステム全体を見る必要があります。

 国産系のパワーユニット担当者は次のように話します。

「これまでは、エンジン性能である程度のクルマに対する評価が決まっていました。

 ざっくりと『パワー(馬力)があれば早くて良いクルマ』や『燃費が良ければエコなクルマ』というようなイメージです。

 しかし、EVになればもちろんそれまでの馬力や燃費(電費)は存在しますが、モーターやバッテリーなどさまざまな要素が複合的に組み合わさるため、一概にモーターが高性能だから良いとは限らないといえます。

 現時点のEVは、1回の充電でどれほどの航続距離があるのかがEVの評価軸として重要なウエイトを占めています。

 しかし、従来のクルマにおいて軽自動車やコンパクトカーと大排気量モデルとでは、そのコンセプトやキャラクターが異なるのと同じで、その用途によってEVも都市型コミューターや長距離向けなどと区別化されることが予想されるため、EVの評価軸もそれぞれのモデルによって変わってくるのではないでしょうか」

■EVはニーズに合わせた味付けが無限大に可能?

 しかし、EVの総合性能という点では、単にモーターとバッテリーのスペックを見るだけで十分とはいえません。

 バッテリーからモーターにどのように電力を供給するかというソフト面も重要となるからです。

 内燃機関車の場合も、アクセル開度に応じたガソリンの散布量などをチューニングすることで、モデルごとの運動特性を演出することが可能ですが、EVは、内燃機関車よりもさらに柔軟に調整することが可能とされています。

 もちろん、モーターやバッテリーの限界性能を超えることはできませんが、限界性能の範囲内で、加速性能に重点を置いたり、反対に航続距離を重視したりということが可能です。

 しかも、理論的にはソフトウェア上でそうしたチューニングが可能であるため、ニーズに合わせた味付けができるのもEVの大きな特徴だといえます。

 米国のEVメーカーであるテスラは、最高出力が1000馬力を超えるようなモデルや、スーパーカーも太刀打ちできないほどの加速を誇るモデルが発表されています。

 これらは、従来のような超高性能エンジンを開発・搭載することに比べれば、ソフトウェアである程度は調整できる分、そうしたバリエーションづくりはEVのほうが得意といえるでしょう。

世界中で販売好調なテスラ「モデルS」世界中で販売好調なテスラ「モデルS」

 このように考えると、EVは単にハードウェア上のスペックでは語れないということになります。

 とくにソフトウェアの設定などは、諸元表やカタログなどから読み取るのは難しいかもしれません。

※ ※ ※

 内燃機関車にもいえることですが、現代のクルマは単にスペックのみだけで良し悪しを判断できるようなものではなくなっています。

 微妙なステアリングも操作感や、内装の手触り、あるいはディスプレイオーディオなどの最先端装備の機能性など、現代のクルマの判断基準はさまざまです。

 そして、EVの時代ではとくにその傾向が顕著になるといわれています。

 結局のところ、実際に試乗してみなければわからないというのは、EVも内燃機関車も同じといえるでしょう。

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