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なぜ復活!? 2021年に日本再参入するドイツブランド「オペル」 の勝算とは

くるまのニュース / 2021年1月3日 11時30分

「ヴィータ」「オメガ」など、かつてヒットモデルが登場したオペルが日本市場から撤退したのは2006年。それから15年、2021年にオペルブランドが日本に再上陸する。そもそもオペルとはどんなブランドなのか。オペルに勝算はあるのか。

■最初の自動車製造から120年を超える歴史を持つ

 2020年2月18日、プジョー、シトロエン、DSのブランドを展開するグループPSAジャパンは、オペルの日本市場への再参入を発表した。

 その直後に世界的な新型コロナウイルス感染拡大があり、欧州にあるオペルの工場でも生産を停止する事態に陥ったため、当初の導入スケジュールは多少ずれたというが、それでも2021年内には日本でオペルブランドを展開する予定だという。

 再参入というように、オペルは過去、日本市場で発売されていたこともあり、2006年の撤退が直近の動向となる。

 そのオペルが、15年ぶりとなる再参入を表明したのだ。その背景にはいったい何があったのか。オペルとは、どのようなブランドなのか。また、オペルの日本市場での勝算はあるのだろうか。

 オペルは欧州ではシェアが高く、その歴史も非常に長い。創業はなんと1862年。日本でいえば幕末の文久元年となる。明治維新による明治元年の1868年よりも6年も前だ。カール・ベンツが自動車を発明する1886年よりも24年も前のことになる。

 当初はミシンを製造していたが、1899年にオペル第一号車「システム・ルッツマン」を世に送りだす。そして第一次世界大戦前までに小型車をヒットさせ、当時のドイツ最大の自動車メーカーに成長していた。

 しかし、1920年代に創業一族の主要メンバーが死去したことを鑑み、オペルは1929年に大きな決断を下す。それがアメリカのGMとの資本提携だ。以降、オペルはGM傘下のブランドとしての歴史を歩むことになる。

 第二次世界大戦によってドイツは荒廃するものの、オペルは戦後わずか1年で生産を再開。GMもすぐに復帰したことで、オペルの戦後復興は順調に進んでいった。

 ちなみに1952年から日本でもオペルが発売されている。

 その後、欧州では小型や中型のファミリーカーとしてオペルは高い評価を得て、販売を伸ばしていく。1970年代にはワールドカー構想をもとに、オペルの「ニューカデット」をベースにした兄弟車が世界のあちこちで生まれた。日本では、当時GMと提携していた、いすゞより「ジェミニ」が生まれている。

 一方、日本市場ではオイルショックの影響でオペルの輸入が1980年代前半まで一時中断している。

 そして1993年、日本で大きな動きがあった。それは輸入車販売大手のヤナセが、オペルを扱うようになったのだ。さらに1995年には、エントリーモデルとなる「ヴィータ(欧州名:コルサ)」が日本に上陸。なんと200万円を下回る手ごろな価格で大人気になる。

 当時、輸入車といえばイコール高級車であり、大衆車としてのドイツブランドの登場に、オペルが注目されることになった。ただし、その後のオペルの販売は伸び悩み、結局、2006年に日本から撤退してしまったのだ。

■オペルの属する「グループPSA」とは

 オペルとGMとの関係は、はるか90年ほども前の1929年から続いていたが、2017年にオペルはGMとの関係を断ち切り、グループPSAに参加することになる。

 グループPSAとは、プジョーとシトロエン、DSの3ブランドを発売するフランスの自動車メーカーだ。ここにオペルが加わることで、欧州におけるシェアはフォルクスワーゲングループに次ぐ2位となった。

 さらにグループPSAは、2019年の暮れにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)との合併にも合意しており、合併後にできるグループ「ステランティス」は、将来的には生産台数870万台、世界シェアは4位になる予定だ。そうした、グループPSA、FCAのなかで、オペルは唯一のドイツ・ブランドということで、技術面などで非常に重要なポジションを担うことになるだろう。

2021年に日本上陸予定の2列シートミニバン、オペル「コンボライフ」。プジョー「リフター」、シトロエン「ベルランゴ」と兄弟車の関係になる2021年に日本上陸予定の2列シートミニバン、オペル「コンボライフ」。プジョー「リフター」、シトロエン「ベルランゴ」と兄弟車の関係になる

 グループPSAのメンバーになったオペルは、合流後に経営計画となるPACE!を発表している。

 内容は多岐に渡るが、注目点は「2020年代の半ばまでに、欧州以外の市場での販売台数を10%にする」とある。逆にいえば、オペルはほとんど欧州市場だけで戦っていたブランドであったのだ。

 この計画に沿ってオペルは、アジア、アフリカ、南米での存在感強化に努めるという。さらに2022年までに新たに20の市場への参入が謳われている。その計画があるからこそ、日本への再参入が決まったのだろう。ちなみに、日本以外にもロシア市場への再参入、コロンビアとエクアドルへの市場参入もおこなうという。

 また、経営計画PACE!では、電動化の推進も謳われており、2024年までには完全な電動化をおこないたいという。その具体例として挙げられるのが、2019年にフルモデルチェンジした「コルサ」だ。Bセグメントのコンパクトカーであるコルサには、純粋な電気自動車仕様の「コルサe」が用意されており、グループPSAのなかでも電動化の急先鋒といえる存在だ。

 そして2021年に日本に導入される予定なのが、そのコルサと「コンボライフ」、そして「グランドライドX」の3モデルだ。

 コルサは、1995年に「ヴィータ」の名で大ヒットを記録したコンパクトカーだ。今回も商標の問題でコルサの車名は使えず、日本ではヴィータ名になると予想される。

 しかも今回は、電動化モデルの導入もアナウンスされている。当然、電気自動車のコルサeも発売されるだろう。ちなみにコルサの欧州での価格は1万3990ユーロ(約160万円)から。コルサeは2万9900ユーロ(約350万円)となっている。

 コンボライフは、スライドドアを備えるコンパクトなミニバンだ。2018年に誕生した現行モデルの現地価格は1万9995ユーロ(約230万)から。またグランドランドXは、CセグメントSUV。こちらの現地価格は2万3700ユーロ(約265万円)から。グランドランドXにはプラグインハイブリッド版も導入が予定されているという。

 2021年に日本への導入が予定されているのは、コンパクトなハッチバック、スライドドアのミニバン、そしてコンパクトSUVだ。これらはどれも日本車でも人気のジャンルばかり。しかも、どのモデルも欧州での販売価格を見ると、日本車と遜色ないレベル。ドイツのプレミアム・ブランドとは異なる価格帯で、日本に再参入することは間違いないだろう。

 つまり、再参入するオペルの強みは1990年代の時と同じくコストパフォーマンスだ。

 ドイツ車ならではの高速走行性能を備えつつも、他のドイツ車とは違うリーズナブルさがある。グループPSAへの合流もあり、生産コストは大幅に圧縮されている。今後は、車種アーキテクチャーを9つから2つまで減らす計画さえもあるという。

 ただし、1990年代から2000年代初頭のオペルは、品質面での不満もあった。それが2006年の撤退の理由のひとつとなっている。今度の再参入では、そこをクリアしつつ、しかもリーズナブル。それを実現できれば、オペルの日本での足場も固まるのではなかろうか。すべては品質にかかっている。

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