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フェラーリ「F8スパイダー」に乗って分かったクーペより選ばれる理由とは

くるまのニュース / 2020年12月25日 19時10分

フェラーリの8気筒ミッドシップのスタンダード・モデル「F8トリブート」のスパイダーモデルがついに日本上陸。スーパーカー大王こと山崎元裕氏の評価はいかに。

■F8でもオープンモデルは、トンネルバックスタイルを踏襲

 フェラーリが現在の8気筒ミッドシップのスタンダード・モデル、「F8トリブート」を発表したのは2019年2月のこと。それから約半年、同年9月にそのオープン仕様としてRHT=リトラクタブルハードトップを採用した「F8スパイダー」は誕生した。

 クーペから若干遅れて、現在ではRHT仕様のスパイダーが誕生することは、フェラーリのカスタマーにはすでによく知られるところとなっているから、ふたつのスタイルを楽しめるスパイダーの誕生を待ち望んでいたカスタマーも多かっただろう。

 F8トリブートと同様に、フェラーリのチェントロ・スティーレ(スタイリング・センター)が担当したF8スパイダーのボディは、まさに究極のエアロダイナミクスと評してもよい仕上がりだ。

 後傾マウントのフロントラジエーターなど、熱対策も徹底しており、フロントにはF8スパイダーの前身ともいえる「488ピスタ・スパイダー」同様にSダクトがさらに改良されて採用され、ダウンフォース量を増加させている。

 リアセクションも同様にエアロダイアミクス向上のためのさまざまな工夫が見られる。クローズ時に表れるリアセクションのトンネルバックのデザインも、古くからのフェラーリ・ファンには懐かしい。

 インテリアは機能性を重視したデザインだ。ドライビングに関するほとんどの操作は、ステアリングホイールと、その左右にレイアウトされるダイヤルスイッチでおこなうことができるから、ドライブ中に視線を大きく動かすのは、ルームミラーとサイドミラーを確認する時くらいだ。

 ステアリングは一般的なモデルと比較すると小径だが、その操舵はリニアで、微小なステアリング操作でもコーナーでは狙ったラインをきちんとトレースできる。

 ステアリング上のマネッティーノで通常使用するのは、ウエット、スポーツ、レースという3つのモードだろう。その中でもスポーツはもっとも一般的なモードで、乗り心地もこのスポーツ・モードならば強い突き上げを感じたりすることはない。一方コーナーでの安定感は十分に魅力的で、左右に連続するコーナーをクリアするような場面ではとくに走りが楽しく思える。

■F8は、クーペよりスパイダーの方が人気

 RHTは、オープン、クローズともに必要な時間は14秒。走行中でも車速が45km/h以下ならばその操作が可能だから、突然の雨や気分次第でオープンエアの爽快感を楽しむことができる。

フェラーリのプロダクトモデルの中で、コスト・パフォーマンスを考えるのならば、もっとも魅力的な1台といえる「F8スパイダー」フェラーリのプロダクトモデルの中で、コスト・パフォーマンスを考えるのならば、もっとも魅力的な1台といえる「F8スパイダー」

 驚かされたのは、このオープンエア走行での風の巻き込みで、サイドウインドウを閉めていれば、エアの流れは高速道路上でもわずかに頭上に感じるのみで、快適さはほとんど損なわれない。

 それにプラスして、背後からV型8気筒エンジンのサウンドがBGMとしてより鮮明に伝わるのだから、クーペのF8トリブートではなくF8スパイダーを選ぼうと考えるカスタマーが多いのも理解できる。

 V型8気筒エンジンは、排気量が3.9リッターのツインターボだ。吸気システムには「488チャレンジ」でのノウハウが使用されており、吸気損失の低減が図られているという。

 注目の最高出力は720ps、最大トルクは770Nmと発表されているが、これはもちろんF8トリブートと同一のスペックになる。組み合わされるトランスミッションは7速DCT。

 乾燥重量はクーペのF8トリブート比で70kgの増加となるが、これはRHTに加えて各部の補強によるものであることは、試乗を始めてすぐに気づいた。なにしろこのF8スパイダーは、路面の凹凸を拾っても、そのボディに弱さを感じるところが一切ないのだ。

 さらにV8エンジンは、ターボラグを一切感じさせないのが大きな魅力だ。最大トルクの770Nmは3000rpmで発揮されるので、DCTをオートマチック・モードにして、仮に7速で走行していたとしても、アクセルペダルを踏み込めば瞬時にシフトダウンが実行され、F8スパイダーは加速体勢に入る。

 マニュアル・モードを使えば、3000rpmあたりから明確に変わるエンジンサウンドを心地良く楽しむことも可能だろう。

 ちなみにF8スパイダーには、レッドラインの8000rpmまでエンジンスピードの上昇スピードを衰えさせないウォール・エフェクト機能や、急加速時に伝達トルクを最適化するアダプティブ・パフォーマンス・ローンチ機構などが備わっているから、走りに関しての性能はパワーユニット、シャシともにほぼ完璧に実現されているともいえる。

 スパイダーの登場で、F8シリーズのセールスにはまた大きな加速度がつくことは間違いのないところだろう。その中でもこのF8スパイダーは、あえてコスト・パフォーマンスを考えるのならば、もっとも魅力的な1台。気になるのは、納車までにどれほどの時間が必要になるのかという、いつもの問題だけだろう。

●FERRARI F8 SPIDER
フェラーリF8スパイダー
・車両価格(消費税込):3657万円
・全長:4611mm
・全幅:1979mm
・全高:1206mm
・ホイールベース:2650mm
・車両重量:1400kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:3902cc
・エンジン配置:リア縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:7速DCT
・最高出力:720ps/8000rpm
・最大トルク:770Nm/3250rpm
・0-100km/h:2.9秒
・最高速度:340km/h
・公称燃費(WLTC):7.7km/L
・ラゲッジ容量:200リッター
・燃料タンク容量:78リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)ダブルウィッシュボーン式
・ブレーキ:(前)Φ398mmベンチレーテッド・ディスク、(後)Φ360mmベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)245/35ZR20、(後)305/30ZR20
・ホイール:(前)9.0Jx20、(後)11.0Jx20

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